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yukihiro[Petit Brabancon]〜最新作で繰り広げられた音楽的アプローチに迫る〜【Interview】
- 取材&文:編集部/取材協力:西本勲
yukihiroと京を中心に結成され、2021年末から本格始動したPetit Brabancon。昨夏に1stアルバム『Fetish』のリリースし、初の全国ツアーを敢行。4月には”KNOTFEST JAPAN 2023″に出演するなど、持続的/精力的に活動する彼らが6曲入りの EP『Automata』を発表。ヘヴィな楽曲が並んだ『Fetish』とはまた違うバラエティに富んだ内容で、底知れぬ”深さ”を感じさせる音世界を展開。本作を引っさげ、2回目の全国ツアーを直前に控えたタイミングで、yukihiroに話を聞くことができた!
曲を演奏するときは
その曲に合った音色を出そうとしている
●Petit Brabanconの結成が発表されたときには、もっとスローなペースで活動していくのかなと勝手に想像していたのですが、ツアーに作品リリースと精力的ですよね。こういった活動のペースは想定されていたんですか?
yukihiro そんなに計画を立てていたわけではなくて、順当にやっているという感じです。
●4月にはKNOTFEST JAPAN 2023にも出演されましたが、ああいうフェスに出るのは今までにあまりなかったですよね?
yukihiro 海外アーティスト主催のフェスに出るのは初めてでしたけど、ほぼトップだったので、フェスに出ている実感はあまりなかったです。お客さんの反応も初めての感じで、すごく新鮮でしたね。
●スリップノットやKOЯNのステージはご覧になりましたか?
yukihiro 全然見れなかったですね……朝が早かったから最後まで体力が持たなくて(笑)。本当は見たかったんだけど。
●トップ・バッターでしたからね。今回、EP『Automata』がリリースされるという話を聞いたときに、KNOTFEST JAPAN 2023の流れもあったので、『Fetish』よりもさらにヘヴィな音像を勝手にイメージしていたのですが、バラエティに富んだ印象を受けました。前作のファースト・アルバムとはあえて違う内容にしようという意図はあったんでしょうか?
yukihiro そこまではなかったですね。ただ、今回のEPのリード曲でMVにもなっている「孤動」ありきみたいなところで始まったという感じです。
●EPのきっかけになった「孤動」がメロディックな曲だったからこそ、今回のEPがバラエティに富んだように聴こえたのかもしれないですね。
yukihiro そうかもしれません。
●『Fetish』のときはドラムは自宅スタジオで録音したという話でしたが、今回も?
yukihiro 一緒です。
●1日目にフレーズを考えて、2日目に練習をして、3日目に録音するというサイクルも同じでしたか?
yukihiro はい。
●自宅録音の場合、OKテイクを判断するのはなかなか難しいかと思うのですが、ジャッジの基準みたいなものはどこに置いているんですか?
yukihiro できたと思ったら止めるようにしています。
●その“できた”という到達点について詳しく教えていただけますか?
yukihiro 例えば3日間のサイクルがあったとして、アレンジを考えるところから始めるんですが、叩き続けてドラムのフレーズを固めて、1曲通して叩けるようになったら、何回か繰り返して叩いて。“今できたな”と思ったら、そこまで細かいジャッジをしないようにしています。気になるところがあったとしても、できたと思えたなら、それで良いという感じで進めました。
●自宅録音の場合、時間を気にせずに録れるという利点があるので、納得いくまで突き詰めるのかと思ったのですが、逆なんですね。
yukihiro 最後まで詰めることはできるんですけど、細かいところが気になると、本当にそこばかり気にしてしまって、あまり良くない方向に行ってしまうな、と。今のレコーディングを始めたばかりの頃にそういう経験をしたので、ジャッジの仕方を変えました。
●過去のインタビューでは“最終形で録りたい”と1週間以上かけて録ることもあったとおっしゃっていたので、驚きです。楽器はいつもの黒のMasters Premiumですか?
yukihiro そうですね。
●スネアはどうですか?
yukihiro ライヴではブラスのピッコロを使っているんですけど、レコーディングでは自分のモデルのウルトラキャストです。
●1台だけですか?
yukihiro 1台です。セッティングも一切変えていないです。
●チューニングは曲によって変えましたか?
yukihiro チューニングは緩んだら締めるぐらいですね。
●曲によって音が違って聴こえたので、叩き方を変えているんでしょうか?
yukihiro そうですね。曲を演奏するときは、その曲に合った音色を出そうとしているんです。曲に“ハマったな”と思う音色が出せたら、その音色をその曲ではキープしようと思っています。叩く強さやテンポによっても変わると思いますし、あとは叩く位置ですね。ピッチ感を考えて、真ん中を叩くこともあれば、端を叩くこともありました。
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各楽曲のドラム・アプローチについて