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Interview – 伊地知 潔[ASIAN KUNG-FU GENERATION、PHONO TONES]

  • Photo:Tetsuya Yamakawa

叩きたいフレーズよりも
鳴らしたい音の方が増えてきましたね

本誌2022年7月号では後藤正文と共にASIAN KUNG-FU GENERATIONの“歌とドラム”対談で登場いただいた伊地知 潔。ドラマガWebでは、そんな彼のソロ・インタビューを公開! 彼が所属するもう1つのバンド=PHONO TONESも結成10周年という節目を迎え、アルバム『BUBBLE』をリリース。7年の歳月を費やし完成させた周年作の制作を中心に、“伊地知ドラミング”の現在に迫る。

本誌2022年7月号では、後藤正文との“アジカン対談”が実現!詳細は本インタビュー3ページ目下部をチェック!

PHONO TONESとして
どういう音を鳴らしたいのか
それを7年間探していました

●本誌ではASIAN KUNG-FU GENERATION結成25周年おめでとうございますでしたが、こちらではPHONO TONES結成10周年おめでとうございます!

伊地知 ありがとうございます。

●『BUBBLE』は前回のアルバムから7年ぶりのリリースですけれども、バンドとしていろいろと紆余曲折があったとうかがいました。

伊地知 3枚目(『Along the 134』)まではある程度方向性が見えていたり、セッションしてみて、“うちらってこういうことを今やりたいんだよね、バンドとしてもこういう音を鳴らしたいよね”っていうのが見えてきて、どんどん曲ができるという感じだったんです。それで進んでいたところが大きかったんですけど、この7年間はそれを探していたというか、やりたいことはいっぱいあるんですけど、何か定まらない、統一感がなかったんですよ。ストックはたくさんあったんですけど、レコーディングまで辿り着く曲がいまいちなかったというか。

それで、いろんなやりたいを消化しながら、リファレンスとなる音楽をみんなで共有して、お互いのプレイリストを交換したりして、そうしたらPHONO TONESとしてどういう音を鳴らしたいのかというのが見えてきて。それが今回はファンキーなもので、サウンドはけっこうロックだというのがわかったんですよ。それで1年くらいで今回の曲を作って、レコーディングも去年の今頃だったので、できたてホヤホヤの10曲をレコーディングした感じです。

●そうなんですね。それは誰かが上げてきたデモなどで“これだ”といった感触があったのでしょうか?

伊地知 そうですね。宮下(広輔/ペダル・スティール)が作ってきた曲が、Vulfpeckに影響されたような、“そういうスタイルの曲って面白いな”という感じで作った曲だったんです。ペダル・スティールって、ハワイアンやカントリーみたいな優しい印象を与えると思うんですけど、PHONO TONESはそれをロック・テイストでやることが今までオリジナリティだと思ってて、でもそれだけだと少し物足りなくなってきた感じもあったんですね。けれど、宮下がペダル・スティールでカッティングをやり始めて、今回さらに可能性が広がった感じがします。それがファンクでロックなアプローチというテーマにつながっていると思いますね。

●カッティングの他にも、振りきった歪みがすごく印象的でした。

伊地知 ペダル・スティールであれだけ歪ませるのは、なかなかないですよね。ああいう雰囲気もすごくかっこいいなと思って。バンドの中で、それが今すごくしっくりきてますね。

●サウンドで言えば、バンドの生々しさというか、一体感もすごく感じました。

伊地知 一発録りに近い形で録ったんです。“せーの”で4人でやって、本当に気になったところを各自でブラッシュアップしていく方法にしました。というのも、ペダル・スティールって、音程を取るのがなかなか難しい部分もあって、でもそこが実はすごく味があってカッコ良かったりするので、正確な音程はそこまで気にせずに、テイクを重ねず、フレッシュなものを録ろうと。なので、音決めをしたら3テイク以内に収めると決めて録っていきましたね。音色が変わる部分とか、ソロ・パート、あとエレピからオルガンに切り替わる部分は後から録って重ねていますけど、ベーシックとなるトラックは4人で“せーの”で録っています。あと時間もそんなになかったので、決めたらすぐ録るを心がけて。迷ってる暇もなかったですけど、それはそれで楽しかったですね。

●そうだったんですね。ドラムに関して言うと、スネア1つにしてもサステインの感じが生々しいというか、そういった音作りも奏功しているような気がします。

伊地知 PHONO TONESは自分でチューニングもしているんですけど、今回はほとんどアンビエント、部屋鳴りを中心に音を作っているんですよ。自分が感じている音とかなり近いものが録音できるし、キットのバランスもすごくわかりやすいんですよね。“キック、ハット、スネアがこのくらいの音量で鳴っていたらバランスがいいかな”という感じがそのまま録音できるので。ある程度スキルはいるんですけど、でもその方がすごく合っているなと思います。

-Next-
感動しながら、ゾクゾクしながら
その曲が盛り上がっていくのを共有できた