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    Interview−マット・チェンバレン

    • Interview:Rhythm & Drums Magazine/Translation & Interpretation:Akira Sakamoto

    ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーンら重鎮から、ロード、ブレイク・ミルズなどの新鋭まで、幅広いアーティスト達が信頼を寄せるLAのトップ・ドラマー=マット・チェンバレンが、今春にEP『Foundry』を発表。9月16日発売のドラマガ10月号では、念願のマットの独占インタビューが実現した。ここでは未掲載分も含む一部をチラ見せ公開! 気になる全編はドラマガ10月号でぜひ!!

    僕自身はこれがどんな種類の音楽なのか説明できないけど
    自分にどんなことができるのかをいろいろと実験するのが楽しいんだ

    ●今年発表したEP『Foundry』ですが、基本的にはグランジとエレクトロニックの融合という実に興味深い内容でした。

    マット そうだね。僕はここ15年ぐらいモジュラー・シンセにハマっていて、このアルバムでもアコースティック・ドラムとモジュラー・シンセを組み合わせるのが目的だったんだ。このコンセプトの作品はこれからも発表するつもりで、これが第一弾というわけだ。

    ●あなたが使っているモジュラー・シンセは、ユーロラックにいろいろな機能を持ったモジュールを組み込んだものですか?

    マット そうそう。とにかくたくさんの種類のモジュールがあるから、キリがないんだ(笑)。誰かが面白そうなモジュールを使っていたら、「おお、僕もあれが欲しい!」って思うけれど、個々のモジュールはそれほど高価なものじゃないから、ギター用のコンパクト・エフェクターを買うような感覚で試せるしね。まあ、気がついたら何千ドルも使っていたということになるんだけれど(笑)、今はそういうのにハマっているんだ。

    ●なるほど。ソロ・アルバムとしては2016年発表の『Comet B』以来となりますが、コンセプトは『Foundry』もその延長線上にあると言えますか?

    マット 『Comet B』は、クリス・コームスのペダル・スティール・ギターにシンセサイザーとドラムという、あまり一緒に鳴らすことのない楽器を組み合わせた作品で、サウンドとしてはとても気に入っていたんだ。あのアルバムもエレクトロニックな要素を盛り込んでいたから、新作は確かにその延長と言えるだろうね。僕はギターが少し弾ける程度だから、作曲は主にAbletonのLiveでやっていて、それに僕のドラムや他の人達の演奏を重ねているんだ。エレクトロニックっぽい要素が入るのは、こうした作曲法の影響もあるかもしれない。僕自身はこれがどんな種類の音楽なのか説明できないけど、とにかく自分にどんなことができるのかをいろいろと実験するのが楽しいんだ。

    『Foundry』
     Matt Chamberlain

    ●パンデミックで思うように活動できない状況を、うまく創造の機会に利用している感じですね。

    マット そう努力しているよ(笑)。幸い、何年も前に作った自分のレコーディング・スタジオがあって、朝起きてスタジオに行って作業して帰宅するというルーティンを、パンデミックが起きる以前から毎日繰り返していたしね。それにパンデミックが起きてからでも、リモートでいろんな人達のためのセッションの仕事も続けることができている。iPadでZOOMを利用してコミュニケーションを取ったり、プロトゥールスのAudiomoversというプラグインを利用したり、ファイルをメールでやり取りしたりしてね。

    ●『Foundry』のレコーディングで使ったというYamaha PHXの詳細を教えていただけますか?

    マット キックが22”×16”、タムが12”と13”、フロアが16”と18”、スネアは14”×7”のステンレススティールで、フープはドライなサウンドのダイキャスト製を組み合わせているよ。ヤマハは大きなメーカーでありながら、クラヴィオットやノーブル&クーリーみたいなブディック・ブランドに比肩しうるスネアを作っちゃうっていうのは、すごいよね。

    ●話はガラリと変わりますが、過去にはデヴィッド・ガリバルディにレッスンを受けていたそうですね?

    マット 14、5歳の頃だね。彼は僕の最初のドラムの先生で、2年間習ったよ。あとはマレイ・スピヴァックにも習った。彼は伝説的なハンド・テクニック専門のドラム教師で、僕が習ったときには80歳ぐらいだった。僕にも勧めてくれたんだ。彼はドラム・キットというものがなかった20~30年代にヴォードヴィル・ショウなどのドラマーを務めた人で、「ドラム・キットなんてものは一時的な流行に過ぎないんだから、ハンド・テクニックをしっかり身につけてオーケストラでも演奏できるようにならなきゃダメだ」って言ってたけれどね(笑)。あと、50年代に西海岸のジャズ・シーンで活躍して、四肢の独立性のための練習法でも知られたチャック・フローレスにも習ったことがある。そんなわけで、大学に入る以前からいろんな人のレッスンを受けていた。

    ●毎日のウォームアップなどに決まった練習をしていますか?

    マット 30分ぐらいかけてじっくりとウォーム・アップする必要があるときには、練習パッドでジョー・モレロの『Master Studies』の最初の数ページにある、8分音符と3連符のパターンを叩くか、あるいは他の教則本のランダム・スティッキングみたいなのをやったりすることもある。シングル、ダブル、パラディドル、トリプル、クワドラプルなどを組み合わせてね。

    マットの独占インタビューの本編はドラマガ10月号をチェック!

    ドラム・マガジン2021年10月号は、ドラマーならば誰もが気になる”足回り”にフォーカスした”Foot Work”の総力特集! フット・ワークをテーマにした特別対談を皮切りに、9名のトップ・プロの”足技”を超至近距離から捉えた動画連動のthe Focus Special、プロ・ドラマーの60名に足回り事情を聞くDrummer’s Drummer、そしてドラマガの人気企画=フット・ペダル踏み比べ、さらにレジェンド・ドラマーの”足元”考察など、さまざまな角度から”ドラマーの足回り”に大接近。

    マットのアーティスト特集では、約1万字に渡るロング・インタビューの他、彼の大ファンである神谷洵平が選ぶマットの名盤10選を紹介。もう1人のアーティスト特集はイギリスのNo.1スタジオ・ドラマーのアッシュ・ソーン。USとUKのファースト・コールが揃い踏みです!!