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【Archive Interview】TOTOの来日が決定! 新たにドラムの座を担うロバート”スパット”シーライトのルーツを探る!!
スティーヴ・ルカサーとジョセフ・ウィリアムスを中心とした新体制で、7月に初の来日を果たすTOTO。ジェフ・ポーカロやサイモン・フィリップスらに代わって、ドラムの座を務めるのがロバート”スパット”シーライト。今やグラミーの常連となったスナーキー・パピーの初期メンバーで、鍵盤奏者としてジルジャン・ライヴの音楽監督を担うマルチな才人。ここでは本誌初登場となった2013年のインタビューを抜粋してお届けしよう!
インプロヴァイズしたり、
クリエイティヴなことをやりながら
グルーヴさせることに楽しさを感じるんだ
●本誌初登場ということで、あなたの音楽的なバック・グラウンドを教えていただけますか?
ロバート 俺はテキサス州のダラス出身で、父親も母親も姉も妹もミュージシャンという音楽一家なんだ。みんな楽器をやっていて、ドラムの担当は俺だったんだ。始めたばかりの頃からすごく自然な感じでビートが刻めたよ。あとは叔父がDJでたくさんのレコードを持っていたから、それをよく聴いていたな……アース・ウィンド&ファイアやジェームズ・ブラウン、AC/DCやU2とか、とにかくいろんな音楽を聴いていたよ。
それからダラスの高校に行ったんだけど、そこはエリカ・バドゥ、ロイ・ハーグローヴ、ノラ・ジョーンズなんかも行ってた学校で、そこで音楽の技術的なこと学んだ。楽譜の読み方や映画音楽の書き方、ピアノなどドラム以外のこともたくさんやったよ。そのあとは”Weatherford College”っていう2年制の大学に入学した頃、スヌープドッグのドラムをやる機会をもらえて、在学中にプロとしてのキャリアをスタートさせたんだ。
でも本当の意味でのキャリアの始まりはカーク・フランクリンの仕事で、彼の元でかなりのキャリアを積んだし、その経験があったからこそ他のゴスペル・アーティスト達にも繋がったんだ。俺はゴスペルもやるし、ヒップホップもやるからエリカ・バドゥやチャカ・カーンとやる機会をもらえたし、セリーヌ・ディオンやボブ・カーライルなどいろんなジャンルの人達とやらせてもらうことができた。そういったいろんなジャンルの人達と演奏できたことが、俺の“音”として積み重なっていって、自分のプレイに取り入れて来ているんだ
●ドラムのテクニックはどのように習得しましたか? 教会で学んだこともやはり大きいのでしょうか?
ロバート まだ完璧じゃないよ(笑)。時間と共に身についてきたんじゃないかな。俺のテクニックはすごく癖があるし。俺は左利きなんだけど右利き用のセットを使っていて、かなりの割合でオープン・ハンドでプレイしている。場合によっては普通の右利きの叩き方に変えて叩いたりもする。時間と共にそれが自然になってきたけど、テクニックっていう言葉はちゃんとプロでやり始めるまで俺の辞書にはなかったよ(笑)。
過去の先生の多くが俺の才能を認めてくれていたけど、みんな最も良い音で聴こえるように叩くようにとだけ言っていたんだ。自分が人に聴いてもらいたい音で演奏すること以外に完璧な奏法なんてないってね。それを頭に入れて、常にさらに上の演奏を目指しているし、それで今の俺があるんだ。
●同じテキサス出身の素晴らしいドラマー達がニューヨークで活躍していますが、そういった同世代のドラマー達からの刺激、影響はありますか?
ロバート テキサスには2つのメジャーな都市があって、1つは俺が生まれ育ったダラスで、もう1つがエリック・ハーランドやクリス・デイヴ 、ケンドリック・スコットなんかはヒューストン。アル・ジャロウで叩いていたマーク・シモンズもテキサス出身で、今名前を挙げたドラマー達がまず最初に憧れていた存在なんだ。
マークはよくダラスにも来ていたんだけど、彼のドラムはそれまでに見たことも聴いたこともないような演奏で、クリス・デイヴのプレイにちょっと似ているかもしれない。とにかく彼は独特で他のドラマーとは違っていたんだ。だから俺達はマークから影響を受けたけど、同時にそれを昇華させて、それぞれが自分のドラム・スタイルを創っていったんだ。
アール・ハーヴィンっていうドイツに住んでいて、Sealでやっているドラマーがいるんだけど、彼も素晴らしいドラマーでダラス地域の影響をすごく受けている。それからジェイソン・トーマスは、ロイ・ハーグローブとかRHファクター、マーカス・ミラーとかとやったりしているドラマーで、俺の親友なんだけど……彼や他のダラスのドラマーの何人かを含め俺達は一緒に育ってきて、一緒に練習して一緒にうまくなってきたんだ。
それは“シェディング”と呼ばれるものなんだけど、俺達はシェディングをして一緒に練習していたよ。1人1人が自分の技を出してお互いを高め合っていたんだ。“シェディング”ってのはアメリカのミュージシャンの間で使われる言葉なんだけど、俺個人としては“練習”(プラクティス)でいいと思っている。“練習”したら何かを得るよね。でもシェディングって言葉の本来の意味は失うってことなんだ。その単語は本当は俺は嫌いなんだけどもうすでに定着してしまっているからその方がわかりやすいこともあるよね。
●今、名前の挙がったドラマー達は手数が多い、テクニカルなスタイルですが、あなたはもっとグルーヴを重視したドラムですよね?
ロバート 正しい考察だね(笑)。俺はゴスペル・チョップみたいなドラムはあんまり好みじゃないんだ。もちろん手数の多いドラマーはみんなすごいと思うよ。でも、ドラマーは音楽の中で“叩く”ことよりも“歌わせる”ことが大事なんだ。
Snarky Puppyでの俺の役割はグルーヴさせることで、インプロヴァイズしたりクリエイティヴなことをやりながらグルーヴさせることに楽しさを感じるんだ。そうやって俺は曲の良さを壊したり、主役のアーティストから注目を奪ったりするようなことなく、クリエイティヴな自分を出す良い方法を見つけた。プロの仕事が欲しければ、テクニック以外の大事なことも身につけていないとダメだしね。まぁだから俺は幸運にも今ブルーノートにいることができているんじゃないかな(笑)。
TOTO 2023〜ジャパン・ツアー〜
7/10(月)福岡サンパレス ホテル&ホール
7/12(水)金沢・本多の森ホール
7/14(金)名古屋国際会議場 センチュリーホール
7/15(土)丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
7/17(月・祝)広島JMSアステールプラザ 大ホール
7/19(水)仙台サンプラザホール
7/20(木)岩手県民会館
7/21(金)日本武道館
詳細はこちら→https://udo.jp/concert/TOTO2023