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    Archive Interview- パット・トーピー[MR.BIG]

    • Interview & Translation:Shinobu Tanno
    • Photo:Takashi Yashima

    良いドラマーであるには、決意が固くないとダメ
    どんなに批判されても自分のやってることに自信を持つべきだ

    ●よくやっている練習はありますか?

    パット ツアーに出ると、ほんとに練習する時間がなくてね。ドラム・セットを見るのはショウのときだけなんだ(笑)。でもスティックはいつも持ち歩いてるよ。よくやるのが、パラディドルでシングル→ダブル→トリプル→ダブル→シングルの順でなるべく均一にやるっていう練習。セットではそれを手と足でやったり、いろんなコンビネーシキョンで試しているよ。

    ●スタジオとライヴでのアプローチの違いは?

    パット まずスタジオではひと回り小さいセットを使ってる。ライヴで10″、13″、15″、16″のタム類がスタジオだと10″、12″、14″、16″になるんだ。バスドラもライヴではツーバスだけど、スタジオでは1つだ。

    ●ということは、ツイン・ペダル?

    パット そう。ツーバスのフレーズが入ってるのは「アディクテッド・トゥ・ザ・ラッシュ」だけだけど、あれがワンバスだったら半端じゃないよ(笑)。ライヴでのプレイはもう少しワイルドで、シンバル・プレイはキース・ムーンみたいなアプローチになっている。かなりインプロヴァイズが多いね。スタジオでも多少インプロヴァイズするけど、レコーディングの前は、どのドラムをどのように叩くかとかしっかり計算しているよ。ベルの音とかにも細心の注意を払っているし。スタジオで小さいセットを使うというのは、小さめのタムを低くチューニングした方が、大きいタムを高くチューニングするよりいいトーンが得られると思うからなんだ。倍音のコントロールもしやすいしね。

    ●ビリーは弾きまくるタイプのペーシストですが、コンビネーションの面で気をつけていることは?

    パット 初めてビリーとプレイしたときに、これは普通じゃないってのはすぐわかったけど、無理に何かを調整する必要はまったくなかったね。ビリーのタイム感覚は本当に驚異的なんだよ。ビリーが高い方で細かいフレーズを弾いてるときは低い方が薄くなるから、僕はなるべくソリッドに叩くようにしているけど、彼がまたビートにもどってくるときはピッタリ合ってる。ベーシストとドラマーが一緒に音を出せば、15秒もしないうちにうまくいくかいかないかわかってしまうもんだ。ビリーとは10秒もしないうちにうまくいくだろうって思ったよ。

    1990年 No.29に掲載されたパットのインタビュー。誌面がこちら!

    ●ドラム・セットについて教えてください。

    パット もともとジョン・ボーナムに強く影響されて、以前はワンタム、ワンバスのセットだったんだ。今のツーバスのセットにしたのは1年半くらい前。バンドではMR.BIGが初めてだけど、練習は3年くらい前からやってたんだ。それまではボーナム命で頑固にワンバスでやってた。ところが、僕がジョン・パーとのツアー中でロスにいたときだったんだけど、デヴィッド・リー・ロスがドラマーを探してるっていう電話がかかってきたんだ。話を聞くとツーバス・プレイヤーが必要だってことで、ごまかすのも嫌だったからその場で断わってしまった。だけど後から考えて、ワンバスにこだわってると自分で自分に制約をつけてるみたいであまり賢くないと思ったんだ。それでツイン・ペダルをやり始めたわけ。デヴィッド・リー・ロス・バンドのアルバムに入ってた「シャイ・ボーイ」とかに合わせて練習したんだけど、今じゃアンコールでやっているんだから(笑)。

    ●練習しておいてよかったですね。

    パット まったくだね(笑)。

    ●良いドラマーには何が必要でしょう?

    パット 決意が固くないとダメだね。どんなに批判されても自分のやってることに自信を持つべきだ。定職を見つけろとか資格を取れとか、親に言われたりするかもしれない。だけど、どんなことも念じていれば、いつか現実となって手に入れることができるんだと信じるべきだよ。バンドの中で言えば、ドラマーはバンドの背骨だとよく言われるけど、その通りだと思う。ただMR.BIGの場合、楽器はビリーとポール(ギルバート/g)と僕の3人だから、ソリッドでなおかつカラフルでクリエイティヴな姿勢を持っていなきゃいけないと思う。バンドでやるときは、1つのチームの一員としてわがままは通らないと思うけど、それと同時にある種の過激さも必要だと思うね。

    ●あなたにとってのベスト・アルバムを3枚選んでください。

    パット まず『レッド・ツェッペリンⅠ』。次にトニー・ウィリアムスの『ビリーヴ・イット』。どちらも聴きすぎて擦り切れちゃったよ。とにかく学校から帰って毎日欠かさず聴いていたから。3枚目は……そうだな、イエスの『こわれもの』かな。シンバルのサウンドが最高だね。

    ●自分のドラミングにはどんな特徴があると思いますか?

    パット 僕はなるべく曲の中でしっかりと計画を立ててプレイするようにしてる。いろんなカラーを取り入れて、特に僕にとってはシンバル類の使い方が重要なポイントになると思う。曲にちょっとしたスパイスを与えて、他とは違う仕上げにしないとね。その点、スチュワート・コープランドはすごいよね。細かいシンバルを入れても、絶対曲の邪魔をしないし。ああいうのはいいね。

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