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Archive Interview- パット・トーピー[MR.BIG]
- Interview & Translation:Shinobu Tanno
- Photo:Takashi Yashima
2月7日はMR.BIGのドラマーとして、日本のファンからも愛されたパット・トーピーの命日。2018年の急逝から2021年に3年目を迎える。テクニックとグルーヴを高次元で兼ね備えたスタイルで、ロック・シーンを牽引し続けてきたパット。ここではその偉大なる足跡を語り継ぐべく、MR.BIG結成当初、1990年のアーカイヴ・インタビューを公開! 彼が信念のドラマーであったことがわかるだろう!
セットに座ってみて初めて、足も使わなくちゃいけないって気づいたんだ
●出身地と生年月日を教えてください。
パット 出身はオハイオ州クリーブランドの小さな町ペインズヴィル。59年12月13日生まれだ。
●ドラムを始めたきっかけは?
パット 僕が7歳の頃、家族にピクニックに連れていってもらって、ポルカのバンドに合わせて踊ったりしてたんだ。僕だけはなぜかドラムの人の後ろに座って、叩くのをじっと見てたんだ。とにかくドラムを叩いてみたかったんだね。ロックンロールとは関係ないところから関心を持ったんだ。
●じゃあ、セットに初めて座ったのは?
パット 確か11歳のとき。近所にドラム・セットを持ってるヤツがいてね。それまではスティックを持って練習してたんだけど、セットに座って初めて足も使わなくちゃいけないことに気づいて(笑)。それまでは母親に買ってもらったスティックと練習用のパッドで自己流にやっていただけだったからね。14歳になって学校のバンドやハイ・スクールのマーチング・バンドに入って、ルーディメンツとかを一通りやったよ。
●好きだった音楽は?
パット まずビートルズが大きな存在だった。僕より姉の方がロックに関心があったみたいで「ホラ、これを聴いてみなよ」って感じでツェッペリンとかを教えてくれたんだ。そのあとは自分でいろいろ聴き出して、ジョン・ボーナムが大好きになった。彼のパワーとシンプルなアプローチがとにかくパーフェクトだと思った。あとはバディ・リッチ。彼のようにドラムをマスターした人は他にいないんじゃないかな。
僕はロックと合わせてジャズ・ドラムも叩きたかったから、トニー・ウィリアムス、ロイ・ヘインズなど、ビッグ・バンド時代のドラマー達とかも聴いた。いろんなものを吸収したくて50年代のレコードとか一生懸命買い漁っていたよ。とにかく1つのジャンルにこだわらずにあらゆるタイプの音楽を学びたかったんだ。ラテン、ジャズ、ロック、マーチング・バンド、何でもね。たくさん学べば学ぶほど柔軟なドラマーになれると思ったんだ。小さい頃に「1つのことばっかりやってちゃダメ。いろんなことをやらないと」ってアドバイスされたんだけど、その言葉がなぜかいつまでも頭から離れなかったんだ。
●今までのバンド歴は?
パット 両親がアリゾナ州フェニックスに引っ越して僕もそこのハイ・スクールに通ったんだ。19歳のとき地元のトップ40のコピー・バンドに入ってツアーに出たんだ。それが初めてのツアーで、カナダに行ったりもしたよ。やがてトップ40バンドに飽きてしまって、自分の曲を書いたり、まともなバンド活動がしたくなってカリフォルニアへ移った。少しずつレコーディングの経験をしながら、ドラムの練習を積んでいったんだけど、なかなか大変な生活だったよ。昼はパート・タイムの仕事をして夜は練習。1日中くたびれきっていたと思う。
それでエクスポージャーというバンドを結成したんだけれど、ベースにはジェフリアやハウス・オブ・ローズで活躍したチャック・ライトがいたんだ。あとは今、ソングライターとして活躍中のジーン・ブラックもいた。彼はハートの『ネヴァー』を共作した人だよ。キーボードにはジョン・パーデル。彼もモトリー・クルーの『ガールズ、ガールズ、ガールズ』を共同プロデュースしたりポイズンの一番新しいアルバムを手がけたりしている。このバンドはもう一息でデビューというところまでいったんだけど、解散しちゃったんだ。すごく気に入ってたバンドだったんで悲しかったけど、しょうがないからバック・バンドのドラマーの仕事を探すことにしたんだ。
それで「セント・エルモス・ファイアー」や「ノーティ」のジョン・パーのバック・バンドで叩くことになったんだ。85年のことで僕にとって初めての大規模なツアーだったよ。ティナ・ターナーやハートのオープニングをつとめたよ。その後ロサンゼルスのテレビ用のセッションをやったりした。ベリンダ・カーライルがロバート・パーマーのオープニング・アクトを務め、そのときのバンドのドラマーを探してるって聞いて、楽しそうだからオーディションを受けたんだ。無事に受かってツアーに出たってわけ。
●そのあとがMR.BIG?
パット いや、その後はテレビ番組でいろんなアーティストとのセッションをやったよ。例えばロジャー・ダルトリー、ボブ・ゲルミフ、マリリン・マーティン、デビー・ギブソン、マイク&ザ・メカニックスとかね。あとザ・ナックというバンドを覚えているかい? 彼らが再結成するという話があって、元ブラッド、スエット&ティアーズのドラマー、ボビー・コロンビーがそのプロジェクトに関わっていて、彼から電話がきたんだ。オリジナル・ドラマーがクビになったところで、「よかったらやってみないか」って誘われたんだ。デビューした頃のナックはすごくエネルギッシュで僕も好きだったから“とにかく試しにやってみるか”という感じで行ったんだ。これが予想以上に素晴らしいバンドでサウンドトラックの仕事とかもやったんだけど、あともう少しってところで話が流れてしまったんだよね。
で、しばらくしたある日、スタジオでビリー(シーン)と出会ったんだけど、不思議なことに、「初めて会ったその日に、彼はデヴィッド・リー・ロスのバンドを辞めたんだよ。彼と一緒に活動するなんて、そのときは夢にも思わなかったけど、いろいろ話して友達になったんだ。6ヵ月後に新しいバンドを始めるからやってみないかって誘われて、今日に至るわけだ。