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    Archive Interview 茂木欣一[フィッシュマンズ]① 〜1992年12月号〜

    フィッシュマンズというバンドはすごく器用なバンドだと思う。技術的という意味じゃなくて、いろんな音楽のオイシイところだけをちゃっかり拝借してくるのがとてもうまいのだ。今回リリースされたセカンド(『King Master George)もレゲエ、ポップス、ジャズ、etc.のごった煮。こりゃドラマーは大変だ。

    高校のときのバンド仲間にフィッシュマンズの曲を聴かせると
    “お前ここまで変わる?”って言われました(笑)

    『King Master George』(92年発表)

    ●DM初登場ということで、まずはプロフィールから聞いてみたいんだけど。

    茂木 1967年生まれで、東京出身です。ドラムを始めたのは小学校6年くらいのとき。うちは父がクラシックとかが好きで、いつも音楽は流れてたんですけど、その中でもパーカッシヴな音に耳が行ってましたね。テンポの速い曲とか。箸でものを叩いたりとかしてましたね(笑)。

    ●小学校で始めというのは早いね。いきなりセットを買ってもらって?

    茂木 いやいや、初めは学校の机とか(笑)。一人用の机で、中のものを抜きながら叩いたりして、楽しんでました。あと姉がポップスとか大好きで、それを何気なく聴いているうちにドラムに興味を持つようになったというのもありますね。その頃、ロッド・スチュワートの「アイム・セクシー」なんかが流行ってて、そのとき初めて輸入盤を買ったんですけど、音の感じが全然違うなと思って、それが耳に入って、興味を持ったという感じです。

    ●最初にバンドを組んだのは?

    茂木 高校1年のときです。それまで家で机を叩いたりとかしてましたけど、人前で演奏したのは高校に入ってからです。

    ●それはどういうバンドだったの?

    茂木 佐野元春のコピー・バンドだったんですよ、なぜか(笑)。個人的にドラムが好きというより、あの人の楽曲が好きで。

    ●その頃に影響を受けたドラマーは?

    茂木 圧倒的にキース・ムーンなんですよ。中3の頃か何かに聴いて。だからその佐野元春バンドをやりながら、家ではキース・ムーンのレコードに合わせて練習してましたね。フーのレコードは全部集めましたね。他にはジミヘンとかが好きでした。

    ●その手のバンドはやった?

    茂木 やりました(笑)。高2くらいのときに。そのバンドでは、叩きながら歌も歌ってみたいな(笑)。歌うのも大好きなんですよ。

    ●フィッシュマンズを組んだのは?

    茂木 それは大学に入ってからです。ヴォーカルの人(佐藤伸治)と出会って、それから……。

    ●フィッシュマンズの音楽性は、それまでやっていたものとは随分違うよね。

    茂木 それまで聴いてきたものがフーとか、洋楽が多かったんで、日本語っていうのをあんまり意識してなかったんですよ。それがヴォーカルの彼に出会ったときは、“えっ”みたいな、“日本語すごいね”みたいな、そういう衝撃がすごくありましたね。

    ●それでドラミングも変わってきたと?

    茂木 いや。初めはもうドッカドカにやってたんですよ。それで2〜3年経った頃にタメがない、とか言われて。それからですね、スタイルが違うなと思うようになったのは。だから高校のときのバンド仲間にフィッシュマンズの曲を聴かせると、“お前ここまで変わる?”って言われました(笑)。

    ●最初、違和感はなかった?

    茂木 ないですね。やっぱり歌うのが好きっていうのもあると思いますけど、歌が生きて来なかったら何にもならないな、と感じるんで。

    ●ドラムを習ったりしたことは

    茂木 ないんですよ。ちょっと叩き方も変で(笑)。耳コピばっかりですね。テープを聴きながら一緒に叩いたりとか。だからルーディメンツとかはいまだに不得意で、ドラム・マガジンのそういうページとか見ると、まずいなーって感じ(笑)。やっては見るんですけど、あんまり大切には思わないっていうか。フィッシュマンズの音楽を全体で捉えると、歌をプッシュするっていうか、タメだとか、ここはこういう間だなとか、そういうことの方が重要かなと。

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