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    Archive Interview −アル・フォスター −

    • Interview:Kayoko Takahashi

    「好きなビートをそのままプレイするのではいけない。そこから1つ2つビートを減らしたり、増やしたりすれば自分のものになる」……このマイルスの言葉はまさにその通りだ

    19年にはソロ名義でのアルバムをリリースしている

    ●あなたのルーツはジャズですか?

    アル そうだね。子供の頃から聴いて育った音楽だから。僕は他のコマーシャルな音楽は一切聴かなかった。もっとも、当時のコマーシャルな音楽というのは、ファンキーだったりはしても、ジャズの部類に入るものばかりだったが。

    ●今、フュージョンのあとで、NYシーンにまたジャズが戻ってきたのでは?

    アル 若い優れたプレイヤーのおかげでクラブも再オープンしたりして、うれしいよ。ウィントン&ブランフォード・マルサリスみたいな人が出てきたよね。だがまだオリジナルな人は出てこない。でも60年代のミュージシャン精神が戻ってきた。

    ●昔に戻って、ドラム・セットもシンプルなもので自分の出したい音のすべてが出せるという結論に達したのですか?

    アル うん、4つのドラムから毎日新しい自己表現の方法を発見しているよ。1つのドラムからいろんなトーンが得られるしね。たくさんのタムを並べて視覚的効果をねらうのもいいが、音楽的に必要かというと……。

    ●あなたのドラミングのスタイルはどう変わってきたと思いますか?

    アル 精神的な問題が大きいよ。僕はプレイしているときもいないときも自分に言い聞かせているんだ、トニー・ウィリアムスをプレイするな、エルヴィン(ジョーンズ)をプレイするな、とね。何年も前にマイルスが言ってたよ、「好きなビートをそのままプレイするのではいけない。そこから1つ2つビートを減らしたり、増やしたりすれば自分のものになる」。まさにその通りだ。大好きな人のコピーをせずに自分らしくなるのは簡単なことではない。どんなミュージシャンにも言えるが、1人のアーティストが大好きになって、その人だけをコピーしようとするから問題なんだ。自分のプレイをしないで、その人をプレイしてしまう。新しいレコードが出るのを楽しみにして、出るとまたコピーして、その人のアイディアをプレイするだけだ。

    ●あなたにとって音楽、ドラムとは何でしょう?

    アル ほとんどすべて。ほとんど家族以上だ。ドラムも同じこと。プレイしたり、マックスやソニーのレコードを聴いたりするほど楽しいことはない。子供と遊ぶのも負けないくらい楽しいけどね。音楽なしではもう生きていられないよ。