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    Archive Interview – トニー・ウィリアムス

    • Interview:Masahiko Osaka
    • Photo:Michael Putland/Getty Images

    2月23日は伝説のジャズ・ドラマー、トニー・ウィリアムスの命日です。10代でマイルス・デイヴィスにその才能を認められ、メンバーに抜擢。自身のグループ、ライフタイムでも革新的な音世界を創造し、現在でも数多くのトップ・ドラマーに影響を与え続けている。その偉大なレジェンドの功績を振り返る意味も含めて、亡くなる約半年前の1996年に実現したアーカイヴ・インタビューをお届けしよう。

    完全なダイナミクスで演奏しているから
    一定した音質がほしい

    音楽はいつもチャレンジだ
    危険を冒さなければならない

    ●今回はピアノ・トリオでの録音だったわけですが、あなたが以前やっていたクインテットはどうされたんですか?
    トニー 実はクインテットの活動は93年末に辞めたんだ。

    ●そうなんですか、それでトリオなんですね。
    トニー ああ、マルグリュー・ミラーやアイラ・コールマンとやりたかったしね。

    ●ピアノ・トリオでの演奏は好きですか?
    トニー 好きだよ。ジャズの伝統的なスタイルだしね。

    ●トリオでやるのとクインテットでの違いは何でしょうか?
    トニー そうだな、クインテットは5人で、トリオは3人だ。それが大きな違いだ。

    ●クインテットのときとセットは同じですか?
    トニー いや、違うセットだよ。シンバルもニュー・セットにしている。

    ●このトリオのためのセットなんですか?
    トニー このためというわけではないよ。自分のために新しいトニー・ウィリアムス・サウンドが欲しかったんだ。

    ●あなたは60年代は小さいセットを使っていましたよね。ベース・ドラムが18″で。70年代になって大きなセットに移行したのはなぜですか?
    トニー 2つ理由がある。最初の大きな理由として、人生は変わっていくものだということだ。それはちょうど、木の枝に葉が生い茂り、季節が変わるとその葉が地面に落ちるようなものだ。季節の移り変わりと共に、葉の色も変わるだろう。そのようなことが私の人生にも起こったんだよ。

    もっとテクニカルな意味では、60年代に使っていた小さなドラム・セットでは、手応えが足りなかった。もっといろいろな演奏をするためには、もっと聴こえてほしかったし、ハードにやりたかった。18″のベース・ドラムのような小さなドラム・セットでは聴こえなかったんだ。だから大きなベース・ドラムにする必要があった。大きくすることによってよく聴こえるようになるし、身体で感じることができる。そうすると自分もそれに対する反応ができる。スティックも細いものから太く大きいものに変えた。

    https://youtu.be/cgYFh36TOiI

    ●ところであなたがドラムをチューニングするとき、決まったやり方はあるのですか? 時々ペンタトニック・スケールが聴こえるような気がするんですが……。
    トニー わからない。それはウィリアムス家に代々伝わる秘密だから教えられない。何代も続いた秘法だ。君がお金を払ってくれるなら教えよう、1ドルだ。

    ●それは安いですね。タムは5つありますよね。
    トニー そう、スネアを入れると6つだ。

    ●タムにはやはりCSヘッドを使っているんですか?
    トニー そうだ。でもスネアには今は普通のコーテッド・ヘッドを使っている。トリオではブラシもよく使うからね。でもまたエレクトリックなものに戻ったとしても、きっとこのままだと思うよ。そうすればブラシが必要なときにいつでも使えるからね。

    ●どうしてタムにはCSヘッドを使っているんですか?
    トニー CSヘッドはどんなにハードに叩いても音のツブがよく聴こえるんだ。他のヘッドは本当に強く叩いてしまうと音がどこかに行ってしまう。私は一定した音質がほしいんだ。すごく小さなところからすごく大きなところまでね。なぜなら、そういう完全なダイナミクスで演奏しているからだ。ピアニッシモからフォルテッシモまでの均一なサウンドが必要なんだ。

    ●シンバルはどうですか? 何か選ぶときのコンセプトはあるのですか?
    トニー それは教えられない。ウィリアムス家代々の秘伝だ

    ●でも昔からジルジャンを使っていますよね?
    トニー そう、ジルジャンが一番だ。22″のライドと、18″を左に、20″を右に、16を真ん中に置いている。そして今は2枚のスプラッシュ・シンバルを使っている。

    ●どうしてスプラッシュを加えたのですか?
    トニー 好きだからだ。あのサウンドが好きなんだ。新しい次元のサウンドを与えてくれる。

    ●実際にレコーディングの現場で聴かせていただいたんですが、スプラッシュのサウンドがとてもフレッシュでした。
    トニー それは良かった。私にとってもフレッシュだからね。だいたい長いことドラムを叩いていると……私はもう42年もドラムを叩いているからね。たまに自分のやっていることに飽きてしまうことがある。だから私は変わろうとする。いらないものを捨てるんだ。もうこれはやらないぞって感じでね。

    あるフレーズとか、そういったものに関してもだ。同じことがシンバルにも言える。何年も同じシンバルの音を聴いていると、何か新しいエキサイトメントが欲しくなる。何というか、それによって新しい景色が与えられ、また新しいことをやる助けにもなってくれる。

    ●今回のレコーディングでは、あなたが選曲されたのですか?
    トニー そうだ。

    ●「ディア・オールド・ストックホルム」や「ハウ・マイ・ハート・シングス」などいずれもピアノ・トリオでの名演がすでにある曲がリストに載っていましたが、これはピアニストにとって辛い選曲じゃないですか?
    トニー そんなことはないよ。マルグリュー・ミラーだってそれらの曲が好きじゃなかったらやらないだろう? 彼は喜んでやってくれたよ。

    ●でもすごくチャレンジだったでしょうね。
    トニー 音楽はいつもチャレンジだよ。私はいつも同じというのが嫌いなんだ。チャレンジし続けなければならない。それが人生の一部なんだ。危険をおかし何かやることが重要なんだ。そうでなければ部屋に閉じ籠ってベッドに入るしかない。

    ●これらの曲はあなたのトリオでいつも演奏しているのですか?
    トニー トリオでの活動はまだそんなにやっていないんだ。5月にブルーノートでやっただけでね。

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