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    Archive Interview – スティーヴ・ガッド #2

    • Interview & Text:Fumi Koyasu、Rhythm & Drums Magazine Photo:Taichi Nishimaki

    1990年10月表紙特集
    “フュージョンの逆襲”

    スティーヴ・ガッドのシグネチャー・スネア= “YSS1455SG” の発売を記念し、お届けしてるアーカイヴ・インタビュー集。その第二弾は今から30年前、リズム&ドラム・マガジン1990年10月号の特集“フュージョンの逆襲”にて掲載されたスティーヴのインタビューの一部を再編集を加えて特別公開! 当時の彼が影響を受けたという新鋭のドラマー達について語りながら、アンサンブルにおける自身のプレイの秘訣についても話してくれている。

    リズム&ドラム・マガジン
    1990年10月号

    彼らの素晴らしい音楽性に
    インスパイアされた結果が
    僕のドラムなんだ

    ●今回のツアー(編注:アル・ジャロウ、ジョー・サンプルらが集結したスペシャル・ユニット、ライブ・アンダー・ザ・スカイで来日した際に取材は行われた)はいかがでしたか?

    ○いいツアーだ。みんな仲良くやってる。バンドもとてもいいし、楽しんでいるよ。

    ●アル・ジャロウのバックがメインですが、ヴォーカルの後ろで叩くときは違うコンセプトで?

    ○コンセプトは原則的には変わらない。確かに、ヴォーカルを一番良く聴いて叩いている。でも、ヴォーカルの曲、ピアノの曲って使い分けをするよりも、バラード、ラテン……と曲のスタイルによって叩き方が変わってくるんだ。ヴォーカルもの、インストものを問わずね。アル・ジャロウはいろいろなスタイルをこなすから、それはいかにサポーターとしてうまく応えられるか、ということを一番気にしている。

    ●例えば今回のライヴではジョー・サンプルもバッキングしていますが、根本的にそのときとアル・ジャロウのときとではコンセプトは変わらないということですか?

    ○ヴォーカルだって1つの楽器だからね。僕は楽器よりもジャンル別に考える。例えばアルは「テイク・ファイブ」といった曲も歌う。4分の5のリズムの特異なタイプだ。かと思えば「Such Good Friends」のようなEW&Fっぽい曲も。同じヴォーカリストでも全然違う雰囲気のものをやるから、僕もそれに対応しなければならない。

    ●でも、多くのドラマーはそういう場面でもいつも同じような叩き方をしかできません。だからどんな曲でも似た感じになってしまいますよね。その点であなたはオールラウンドと表現していいと思うんですが、それについて自分自身はどう考えていますか?

    ○音楽に関して開いていないとダメだと思う。周りに何が起こってるか、よく耳を澄ませば叩き方も変わるはずだ。“俺はこういう風に叩くんだ”なんて最初から決めつけていいアンサンブルはできない。ちゃんと周りを聴けば、誰だってフレキシブルになれる。

    ●あなたはフュージョン・シーンに大きな影響を与えたドラマーです。例えばチック・コリア、ボブ・ジェームス……などで聴けるあなたのドラムの影響力はすごい。

    ○まず、僕にとってあんなグレイトなミュージシャン達と共演することが大きなチャレンジだった。僕はその機会に感謝してる。彼らの素晴らしい音楽性にインスパイアされた結果があのドラムだ。彼らが素敵なものを与えてくれたんだ。

    ●でもそれはきっとお互い様でしょう。あなたが彼らから受けたように、彼らもあなたから多くのものを得たに違いありませんよ。

    ○そうだととてもうれしいけどね。僕にはよくわからない。とにかく僕は全力を尽くしたよ。お互いにオープン・マインドで与え合うことがミュージシャンであることなんだろうね。

    ●ところで、あなたのルーツはジャズですか、R&Bですか?

    ○両方だね。マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、クリフォード・ブラウンなどのジャズ・プレイヤーをたくさん聴いた。あとはジミー・スミス、ジーン・ワードウィック、ハンク・マイルなどジャズとR&Bのオルガンもの。その後レイ・チャールズやローリング・ストーンズ、エルヴィス・プレスリー、エドガー・ウィンター、グラハム・セントラル・ステーション、EW&F・・・・・・。それからクラシック。モータウンもね。テンプテーションズ、マイケル・ジャクソン、プリンス・・・・・・きりがないね。

    ●バラエティ豊かですね。ドラマーでは?

    ○昔だとエルヴィン・ジョーンズ、マックス・ローチ、トニー・ウィリアムス、アート・ブレイキ-、バディ・リッチ、フィリー・ジョー・ジョーンズ・・・・・・。その後はリック・マロッタをよく聴いた。それにビリー・コブハム、ザ・ミーターズのドラマー(ジョセフ“ジガブー”モデリステ)。最近ではデイヴ・ウェックル、ヴィニー・カリウタ、ジョン・ロビンソン、ジェフ・ポーカロ、ジェームス・ギャドソン・・・・・・大勢いるよ。

    ●オールラウンドですね。やっぱりオールラウンドであることはドラマーにとって必要なことだと思いますか?

    ○必要かどうかわからない。でも楽しいことだと思う。いろんな種類の音楽を聴くことは僕自身は大好きだ。それが必要かどうかは人それぞれだと思う。