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    Report –【村上“PONTA”秀一追悼企画 松下マサナオSESSION × 石若駿SESSION】(松下マサナオ、石若 駿)

    • Text:Rhythm & Drums Magazine Photo(Movie Cameraman):Toyomitsu Harada、Ippei Okuyama、Koki Takahashi Special Thanks: MoonRomantic

    セッションのラストを飾ったのはYaseiサイドの「David」。ゆったりとした曲調と折り重なるシンセやヴォコーダーはまるでレクイエムのようで、会場は荘厳な雰囲気に包まれた。松下のドラミングは曲を重ねるごとに熱を帯びてきており、この「David」はまさに最高潮。現場で生で聴いていると身体がビクついてしまうほどの音量と音圧で、思いきり叩くことで哀悼の意を表しながらも、どうしようもない怒りにも似たやるせなさを吐き出す、そんな相容れない感情が渦巻いているように感じられた。

    「David」が終わるともちろんアンコールが鳴り止まず、再び松下と石若が対峙。最後は2人のインプロヴィゼーションで締めることとなった。スナッピーOFFの状態でドラム・ロールを始めた石若はフット・スプラッシュで表情をつけながらタム〜フロア・タムを往来。激しさこそ抑えているものの、沸々としたものを感じさせる、3点セットながら情感たっぷりでメロディアスなアプローチを見せた。松下もロールで呼応すると、徐々にシングル・ストロークに切り替え、力強さを増していく。バトンを戻された石若がリニア系や3連系を織り混ぜたジャジーなフレーズで返すと、ここから展開が一変。松下はハイハット、スネア、タム、ライドを高速で行き来するパワー・プレイを見せると、石若も負けじと高速タム回しで応戦。自然発生的なジャングル・ビートのようなフレーズを皮切りに、怒涛のドラム・バトルがスタート。まさに嵐のような魂のぶつけ合いでパラシュート・セッションは幕を閉じた。そしてお互いを讃えるように名前を呼び合い、松下が最後に天を仰いで放った「村上“ポンタ”秀一」のコールが、この日のセッションのすべてを物語っていたように思う。

    この追悼ライヴはもちろん、今号(2021年7月号)で各アーティストへ行ったエピソード・インタビューでもしきりに聞こえてきたのは、「ポンタさんが、本当にその辺からひょっこり出てきそうな気がする」ということ。普通であれば故人を懐かしんで言うこの言葉も、ポンタ氏となると本当にそんな気がしてならない。それほどまでにドラマーのみならず多くの音楽家に影響を与え、みなの記憶に根づき、親しまれ、愛されていたことをひしひしと実感した。その中でもひときわ影響を受け、共演した若手ミュージシャンが月見ル君想フに集い、1曲1曲を噛み締めるように演奏する様は、松下が言った通り“つないでいく”ということを確信した夜であった。

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