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    Report – 9ヵ月ぶりの有観客ライヴ、“Live on November 15th 2020”(大喜多崇規[Nothing’s Carved In Stone])

    • Photo:西槇 太一/Text:リズム&ドラム・マガジン

    研ぎ澄まされたドラム・アレンジ、
    “太い鳴り”のサウンドで感じさせる
    さらなる高みを行くバンドのスケール感

    2020年、大型フェスへの出演やワンマンなど多くのライヴが延期となり、ファンの前に生身の姿を見せることができなかったNothing’s Carved In Stone。去る11月15日(日)、生配信を兼ねた有観客公演として、バンドの記念日を冠した恒例ライヴ、“Live on November 15th 2020”を開催した。会場は今年の3月にオープンしたという、みなとみらいのKT Zepp Yokohama。多くのファンが渇望する中、今年2月以来9ヵ月(ワンマンとしては10ヵ月)ぶりに生演奏を披露してくれた。

    SEが流れ出すのに合わせて、ステージ背面には大きく“Nothing’s Carved In Stone”の文字がライトアップされ、メンバーが次々と入場。待ちに待っていた観客達は立ち上がり始め、間もなくライヴが開演した。大喜多崇規(d)の激しく打ち鳴らされるハイハット・カウントから始まったのは「Isolation」。生形真一(g)の鋭いギター・リフが響き渡るのも束の間、これまで以上に研ぎ澄まされた大喜多のドラミングがバンド・アンサンブルに磨きをかけているのが“一聴瞭然”だった。そして、今年8月にリリースされたセルフ・カヴァー・アルバム『Futures』でリアレンジされたバージョンが生で聴けるのも、本公演が初! 実際にライヴで聴いてみると、その迫力満点の太く鳴りのあるサウンド、タイムの安定感に圧倒された。それからバンドの人気曲「In Future」、「Spirit Inspiration」などが演奏され、これまでのライヴを重ねてさらに洗練されたアレンジを聴かせ、さらなる高みを行く彼らのスケールを感じさせてくれた。

    観客は歓声を上げることができずとも、曲に合わせて身体を揺らしたり、ハンド・サインで応えるなど、各々のやり方でメンバーへ“エール”を送っていたのも印象的だった。それからMCに入るも、大勢の観客による拍手はなかなか鳴り止まない。その光景を前にして感極まる村松 拓(vo)が「すげぇ……みんなを信じていて良かった。来てくれてありがとう」と会場に駆けつけた観客、配信で参加しているファンに感謝を述べる。続けて、「お前らの声、届いているから!」と、声に出して応えることができない会場のファンに向けて、気持ちが伝わっていることを表明してくれた。「いろいろ状況が違うのは俺らも一番わかってるけど、いつも通りやるから。最後までついてきてください。よろしくお願いします」と伝え、ライヴは進行。初めてステージで披露した今年の新曲「NEW HORIZON」から、「Who Is」、「Overflowing」などバンドの名曲を演奏していく。

    ライヴ中盤、村松がアコースティック・ギターを手に取り始まったのは「シナプスの砂浜」。優しく深みのあるヴォーカルのメロディに寄り添うように、大喜多がエフェクト・シンバルも巧みに駆使しつつ、“音の抜き”までをも演出した繊細なフレーズを操り出し、エモーショナルな展開へとリード。会場のレーザー・ライトに映し出された砂浜の情景と相まって、観客は一心に聴き入っていた。メンバーの高揚感はさらに高まり、「Milestone」で会場の熱気はピークへ。さらに立て続けて、「Out of Control」、「Like a Shooting Star」などファンも強く待ち望んでいたライヴ定番曲を披露。音の鳴りや太さまでも、各段にパワーアップしていることは明らかだ。

    ライヴは終盤に差しかかり、「音楽で気持ちを共有できるってことを証明したい。みんなに鬱憤を晴らして帰ってほしいからさ。一発、デカくて枯れない花を日本に咲かそうじゃないか。行けるかみんな!!」という村松の言葉に続いて始まったのが「きらめきの花」。観客達は大きく手を降り手を振り、メンバー全員が快活な笑顔で演奏する。生形のギター・リフと日向秀和(b)のウネるベース・ラインに絡むようなドラムのアレンジで、たたみかけるフィルで楽曲を盛り上げていく。その勢いを止めることなく、イベントの表題曲でもある「November 15th」でライヴを締め括り。同期された打ち込みに丁寧に重ねたアプローチを演出しつつ、サビではダイナミックにプレイする大喜多のドラミングは、メンバーを支え続けてきたバンドの屋台骨としての度量を見せつけるかの如く圧倒されるものだった。

    アンコールで披露されたのは、セルフ・カヴァー・アルバム『Futures』にもアレンジされ収録されている過去曲「BLUE SHADOW」、新曲の「Dream in the Dark」。MCでは、「(ワンマン・ライヴから)10ヵ月ぶりですよ、みなさん。ありがとうございます、本当に」という村松の言葉に合わせて、大喜多も会場、そしてカメラの先に向けて大きく頭を下げる姿も印象的だった。

    そして、これで終わりではなく、なんと会場限定で2回目のアンコールに応え、メンバーが再び登場。全国配信されている緊張感から解放されたこともあってか、少しくだけたムードでメンバーによるトークが展開され、改めて今日までずっと待っていてくれたことに感謝し、涙ぐむ村松。大喜多含む他メンバーも清々しい表情で、ラストを飾る曲「Perfect Sound」を演奏。“the boundless hope is in your hand. −− 無限の希望は君の手の中に。”というNothing’s Carved In Stoneらしい歌を、熱量たっぷりのプレイで届け、また以前と同じようにライヴで会える日を約束してくれたかのような有観客公演となった。そして、“より良くする”ために試行錯誤したアレンジから、圧巻のライヴ・パフォーマンスまで、バンドとしていつも変化/成長することをやめない姿を改めて見せてくれた一夜だった。

    ◎Live Information

    ■“COUNTDOWN JAPAN 20/21”

    【出演日】
    2020年12月31日(木)

    【会場】
    幕張メッセ国際展示場(1~11ホール、イベントホール)

    ※出演ステージは、
     イベントオフィシャルサイトをご覧ください。

    ■“ARABAKI ROCK FEST.20×21”

    【出演日】
    2021年4月29日(木)〜5月2日(日)

    【会場】
    宮城みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく

    ※出演日、出演ステージは、
     イベントオフィシャルサイトをご覧ください。