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Interview – 高橋 武[フレデリック]
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Satoshi Hata(TOP/PAGE 2)、AZUSA TAKADA(PAGE 4)
今回僕らが求めていた音像は
生ドラムの代用としてじゃなくて
電子ドラムじゃないと作れないもの
中毒性のあるメロディがクセになるダンス・ミュージックを次々と生み出すフレデリック。9月22日に発売されたニューEP「ASOVIVA」はコロナ禍で制作された1枚となっており、それぞれ個性のある、緻密に計算し尽くされた4曲を収録している。グルーヴの根幹を担う高橋 武は、今作をすべて電子ドラムで制作したという。今回のドラマガWEBでのインタビューでは、コロナ禍における電子ドラムでの制作エピソードや、7月に開催されたアコースティック・ライブの感触など、たっぷりと話を聞いた。
●今回のEP「ASOVIVA」のドラム・パートは、緊急事態宣言が出されてから、すべて電子ドラムで制作されたとお聞きしました。
高橋 そうなんです。Rolandの TD-50を使いました。エレドラをどう捉えるかってなったときに、メーカーでそれぞれ個性はあると思うんですけど、一番大きく分かれるのは、生ドラムの再現に重きを置いているか別の楽器として捉えているかということだと個人的には思っていて。今回僕らが求めていた音像は、生ドラムの代用としてじゃなくて、電子ドラムじゃないと作れないものを生かしたいっていうのがもともと根っこにあったんです。そう考えたときに、TD-50って、もちろん生を意識してる部分もあると思うんですけど、その一方でシェルの深さを30インチまで設定することもできるんですよ。そういう遊び心って面白いなと思って。普通のドラムだったら簡単にできないことをできるという点が、自分のやりたいことに合ってるなと思ったんです。
●普段の練習以外にもレコーディングにも使いたいというねらいがあって?
高橋 むしろ曲作りに使いたい比重の方が大きかったですね。家で練習する分には練習パッドが大好きなので。コロナ禍でバンドに何ができるか考えて、制作を進めていこうってなったときに、レコーディング・スタジオにもなかなか入るのが難しい時期だったので、やっぱりドラムを生で録るのかどうかというのは大きな課題になると思うんです。
自分がもし生ドラムじゃなきゃ嫌だってメンバーに話したとしたら、多分それを尊重してくれていたような気がするんですけど、それでバンドの動きが鈍るのは違うと思っていたし、フレデリックのダンス・ミュージックは、電子ドラムを導入しても普通に面白いことになるなと思ったので、制作が始まる前に買っておいたんです。
【収録曲】
1.Wake Me Up
2.されどBGM
3.正偽
4.SENTIMENTAL SUMMER
5.リリリピート (FAB!!) Live at FABO!! 2020
6.ふしだらフラミンゴ (FAB!!) Live at FABO!! 2020
●今までの曲作りに対する向き合い方みたいなのは、変わりました?
高橋 これは生ドラムでも同じことが言えると思うんですけど、使うドラム・セットを変えたら出てくるフレーズって変わるじゃないですか。そこはTD-50になったことによって今までとはまたちょっと毛色が違うものになったかなと思います。僕はどちらかというとタムを使ったフィルはあまりしないんですけど、今回は極端にアタックとかディケイが強い音色を作れたので、普段とは違うアプローチっていうのが多くなったなと思いますね。
●音楽を聴いたりなど、自分自身へのインプットに関しては何か変化がありましたか?
高橋 特には変わりませんでしたけど、やっぱりエレドラのモジュールを使いこなすのに必死で、練習がてら自分の好きな曲を聴いて、そのドラムの音をTD-50で作ったりしてましたね。あとは録ったあとにコンプをかけたりとか、軽くドラム単体のミックス作業も自分で覚えるべきだなと思って、宅録をするためのインプットも多かったですね。
今回の作品で参考にしていったアーティストで言えば、ルイス・コールとか、ビートミュージック名義のマーク・ジュリアナですね。生ドラムを再現しようとするリズム・マシンが出てきて、今度はそのリズム・マシンの音色を生ドラムで出そうとする楽器が増えてきたじゃないですか、Istanbul AgopのClapstackとか。そういうのを積極的に使うアーティストとか、打ち込みっぽい音色を作るミュージシャンというのは、個人的には今の良いトレンドだなと思っていて。そこに関しては逆にエレドラのほうがリアルだなと思ったんです。リズム・マシンが生ドラムをねらって作られたように、打ち込みのようなものをねらってる楽器が作られたわけだから、その視点で見たら電子ドラムの方が目指されている側ですよね。なので、そこに何かリアリティを感じたんです。