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    たたきびと ♯3 意外と気になる“足周り”のアレコレ

    • Photo:Eiji Kikuchi Special Thanks:CANOPUS

    2014〜16年にお届けした玉田豊夢と朝倉真司による連載セミナー=“たたきびと”をドラマガWebに転載! 打楽器の魅力、楽しさを伝えることを主軸に置いており、ドラム&パーカッションを初めてみようという方に最適な内容です。第三回目となる今回は、何かと悩みの多い“足回り”のアレコレについて語り合います。

    これからドラムを始めてみたいという方は「ビギナーお助け記事まとめ」をチェック!

    靴もペダルも何でもいいと思う。
    ただ、楽器によって音が違ってくるので、
    “古い楽器には古いペダルが良いかな?”とか
    レコーディングでは
    そういうことも考える (朝倉)

    靴が滑る/滑らないみたいなこだわりは
    本番の緊張感に比べたら
    どうでもいいっていうことが
    やっていく中でだんだんとわかってきて
    今ではペダルも
    何でもいいと思うようになった(玉田)

    ●セッティングに続いて、ちょっとマニアックですが、足回りについてお聞きしたいと思います。まずは“履くもの”に関してですが……。

    玉田 今は何を履いても問題なく叩けるんですけど、ドラムを始めた頃は、ずっと裸足でしたね。家で練習していたので、当然のように裸足だったし、その流れで高校時代の部活も裸足で叩いていたんです。(吹奏楽の)コンクールのときも、上は制服でキチッとしてるのに、下は裸足で(笑)。ちょっと恥ずかしいと思いながら、本番も裸足でやっていましたね。当時は裸足に慣れちゃって、靴を履いて叩くのがちょっと気持ち悪かったんです。

    でも、ドラム用の靴を決めておくっていうのは1つの方法かもしれないですね。外でライヴするときは、靴を履いていた方が何かと安全ですし。

    朝倉 私は裸足で演奏した経験がなくて。必ず靴を履いていたんですけど、何を履くかは一切気にしてなかったんです。もともと緻密なことをやっているタイプでもないので(笑)。でも“靴を決めた方が良い”っていう論調があって……例えば雑誌に“僕はこんな靴を履いて演奏しています”とか載っていたり。それを見て“決めなきゃいけないのかな?”と思うようになって、それでニューバランスに決めて履いていた時期もありましたね。あとはジンクスみたいなのもあって、例えばこれを履いたときに演奏がうまくいったから変えない方がいいかな、とか。

    そういう時期を経て、今は豊夢君と一緒で、何でも良いんですけど、VANSとかadidasのCAMPUSみたいなローテク・スニーカーを履いて演奏することが多いです。裸足は強力ですけどね(笑)。

    ●私も裸足ドラマーだったんですけど、それ以外だとうまく踏めないっていうのが学生時代の悩みでした。“裸足のままで良いのかな?とか、“靴を履くなら何が良いんだろう?”とか、初心者の中には“履くもの”に悩んでいる人も、結構いると思うんですよ。

    朝倉 裸足が良いならばそれはそれで問題ないと思いますけどね。良いスタイルだと思う。

    玉田 僕、5年くらい前にまた裸足にハマッて、いきものがかりの1ツアー、ずっと裸足でやってたんですよ。

    朝倉 結構最近じゃない(笑)!

    玉田 そうなんですよ。ただ汗をかくんで、ペダルが錆びちゃって。1ツアーでペダルを1台ダメにしちゃったんです(笑)。さすがにそれは厳しいと思って。それでやめました。

    朝倉 すごい物理的な理由(笑)。

    玉田 叩き心地とかは良かったんですけどね。でも実際にやってみたことで、そういうことが起こるっていうことがわかったというか。

    朝倉 外的な要因がね。

    玉田 その経験があって、また靴を履くようになったんです。

    ●ドラム用の靴を選ぶときに、こだわっていることはありますか?

    玉田 僕は普通の靴だったら何でも大丈夫です。それこそ、めちゃくちゃ重いブーツとかラバーソールとかでなければ。でも学生時代とかは、底がつるつるの……。

    朝倉 カンフー・シューズとか上履きとかね!

    玉田 そう! その方がスライドしやすいとか。昔はそういうこだわりがあったんですけど、靴が滑る/滑らないみたいなこだわりは、本番の緊張感に比べたらどうでもいいっていうことが、やっていく中でだんだんわかってきて。今は靴だけじゃなくて、ペダルも何でもいいと思うようになってきました。

    朝倉 私もペダル、確かに何でもよくなってきたかもしれない。

    ●昔はこだわっていたんですか?

    朝倉 これも“自分のペダルを持ちましょう”みたいな論調があるじゃないですか、“スタジオには自分のペダルやスネアを持っていくべき”みたいな。“何でもいいのに”と思いながらも、ペダルを持っていくようになったら、今度はそれ以外踏めなくなってしまって。

    それもあってか、今は本当にいろんなものを使っているというか。ただ、楽器によって音が違ってくるので、レコーディングだと“古い楽器には古いペダルが良いかな?”とか、そういうのはありますね。ライヴはどんなタイプでも問題ない。

    玉田 僕は(ラディックの)スピードキングも、DW9000も……踏み心地もアタック感も全然違うものを使ってますし、リハスタにあるペダルも問題なく使えますね。昔はスプリングの張り具合いとか、角度とかめちゃくちゃ神経質になって、ちょっとでも緩くなると、“あー、気持ち悪い”って調整していましたね。そうやって神経質に試しまくった結果、今は何でもいいって思うようになりましたね(笑)。

    ただ、ハイハット・スタンドは、ずっとパールの滑車タイプなんですけど、あれだけは特別ですね。ドラムを始めた頃から使っているので、普通のハイハット・スタンドだと自分がイメージしている“キレ”がどうしても出なくて。他のハイハット・スタンドだと重く感じるんです。

    ●なるほど。いろいろと試した結果、2人とも“何でもいい”という結論に達したようですが、その過程を自分で経験してみるっていうことも大切ですよね。

    玉田 それは絶対にそうだと思いますね。今まで神経質にやってきたことが、ふとした瞬間に生きてくることもあって。“このヘッドでこういうビーターだったら、こういう音が出るな”とか、そういうのは経験以外の何ものでもないというか。

    朝倉 特にレコーディングだと、ビーターはもちろん、ペダル自体でも音が違うっていうのが如実なので、そこはしっくりクるものを選ぶというか。確かにそういうことは、自分でいろいろと試してみないとわからないかもしれないですね。

    たたきびとの“足回り”を拝見!

    ここでは玉田と朝倉、それぞれの“足回り”をチェックしていこう。“何でもいい”と語る2人ではあるが、それは試行錯誤を繰り返した結果、辿り着いた結論であるということを忘れないでほしい。また、機材のチョイスや、セッティング面の違いにも注目! それぞれの個性が見えてくるはずだ。

    玉田の“足回り”

    ▲2014年8月に行われたドラム・クリニック時の足周り。さまざまなフット・ペダルを愛用する玉田だが、この日はハイテク仕様のDW-9000を使用。ビーターもDWでフェルト面をチョイス。ハイハット・スタンドは“これじゃないと思ったキレが出ない”と語るパールのH-1000K。滑車の原理で、通常の約半分の力で踏み込めるという独特のアクションが特徴的。

    朝倉の“足回り”

    ▲小口径セット使用時の朝倉の足周り。フット・ペダルはシングル・チェーン仕様のDW-5000CX(旧モデル)。アンダー・プレートなしのシンプルな機構が特徴的。バス・ドラムをライザーでリフト・アップしており、ビーターも短いものに変えている模様。ビーターはラディック製。ハイハット・スタンドもDW5000シリーズ。ペダル同士が“逆ハの字”を描くように配置されている点にも注目。

    ※本記事は2014年10月号の連載セミナーを転載した内容となります。

    朝倉真司●音楽家、ドラマー、パーカッショニスト 。1996年にLOVE CIRCUSのメンバーとしてデビュー。その後、ヨシンバ、パーカッショングループ ”Asoviva!”のメンバーとして活動しながら、森山直太朗、一青窈、くるり、秦基博、あいみょん、Superfly、ONE OK ROCK、岸谷香、いきものがかり、レキシなどのさまざまなアーティストのライヴ/レコーディングに参加している。
    2017年9月には森山直太朗劇場公演「あの城」(本多劇場・2018年3月映像作品化)、2019年7月には20th century(V6) TWENTIETH TRIANGLE TOUR「カノトイハナサガモノラ」
    (グローブ座、北九州劇場、梅田芸術劇場・2020年3月映像作品化)にそれぞれ役者としても出演している。
    玉田豊夢●1975年生まれ。20歳の頃からサポート活動をスタート。100s、C.C.KINGのメンバーとしても活躍。これまでに中村一義、小谷美紗子、斉藤和義、レキシ、いきものがかり、Superfly、フジファブリック、ポルノグラフィティ、宮本浩次など数多くのアーティストのライヴ/レコーディングに参加。13年には自身のシグネチャー・スネアを発表した(生産完了)。

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