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    Ultimate Drum Technique #2-Foot Hi-Hat Basic

    • Text & Score & Video:Hiroshi Matsuo

    CHAPTER 2:左足のハイハット・コントロール

    みなさんこんにちは、松尾啓史です。前回に引き続き、今回も“モダン・フット・ワーク”をテーマとして、右足のキックと双璧をなす存在であり、第二のフット・ワークと言っても過言ではない、“左足のハイハット・コントロール”にフォーカスした内容をレクチャーしていきたいと思います。あなたの左足をもう一歩先へと進化させてみませんか?

    ハイハット・コントロールについて

    ハイハットはスティックで叩くことでサウンドを鳴らすだけでなく、ペダルの操作によっても音色を奏でることが可能な楽器です。キック・ペダルと同様にさまざまな踏み方が存在しており、用途に応じてそれらを使い分け演奏します。バリエーションは動画と併せて紹介していきます。まずはベーシック編をご覧ください。

    また実際に発音はさせず、奏者が身体全体でリズムを感じるために用いる“ゴースト・モーション”や、シンバル同士を瞬間的に接触させる“フット・スプラッシュ奏法”なども存在します。

    【フット・ハイハット(チック・サウンド)奏法】

    フット・ハイハットは2枚のハイハット・シンバルを、ペダル操作によって踏み鳴らすことで“チック音”を発音させる奏法です。一般的にはアンサンブルとしてのガイドやビートのスパイスとして、“キープする”という副音的な役割で用いられることが多いです。

    代表的な例としては4分音符や8分音符、8分ウラなどのリズム・グリッドでのキーピングですが、近年はそれだけに留まらず、“キープ”するという意味合いでのリズム・バリエーションの複雑化に加えて、キックと同様の認識で捉えることでリズム・パターンの中に主音として混ぜ込んだりと、足でコントールするハイハット・サウンドの可能性に、より一層着眼されるようになりました。

    ここでは発展形の“フット・ハイハット・アプローチ”を紹介します。キープ系のリズム・パターン1つとっても、3連符の3つ目や16分の2つ目、4つ目のリズム・グリッドに当てはめるようなビートだったり、縦横無尽にフット・ハイハット・サウンドをコントロールするためのエクササイズです。

    左足の操作に気を捉われすぎて、身体全体の重心バランスが崩れてしまっては意味がありません。全パターンに対してリラックスした状態で演奏できるところまで練習してみてください。シャープなサウンドで演奏するのがポイントです。

    【フット・スプラッシュ奏法】

    フット・スプラッシュ”は、ハイハット・ペダルの後方部分をカカトで弾くようなイメージで踏み鳴らす(このときつま先は踏み込まない)ことで、シンバル同士の接触時間を短くし、クラッシュさせる奏法です。原理としては手持ちシンバルと同じで、それを足のペダル操作によって行っていると考えてください。

    適切な箇所でハイハットを閉じれば、ハイハットのオープン・サウンドのような役割を担うこともできます。ハイハット・オープンは本来、スティックによって開いたハイハットを打ち鳴らすことで表現できますが、例えばオープン・クローズのサウンドを左足で完全に担うことができれば、手のコントロールを他の役割に回すことができるので、ドラム・サウンドのレイヤーをより分厚くすることができるわけです。

    自在にコントロールするのはもちろん容易ではありませんが、マスターすることでドラミング全体が華やかになることは間違いありません。また、左足のみのオープン・クローズで一定のパターンを作り上げることができればフット・オスティナートとしてドラム・ソロなどの構築にも役立てることが可能です。

    まとめ

    サウンド的にはどうしても目立ちにくいですし、蔑ろにしがちな左足の操作ですが実はキックと同じくらい重要な役割を担っている存在だということを少しでも皆さんに伝えることができたなら嬉しいです。

    ◎Profile
    まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。また、サウンド制作スタジオ「INSPION」のメンバーでもあり、ゲーム音楽を中心としたレコーディングは多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。

    ◎Information
    松尾啓史 HP Twitter YouTube