NOTES
– Winter 2020 –
【A】=アルバム 【M】=ミニ・アルバム 【E】=EP 【V】=DVD、Blu-ray
d:デイヴ・ウェックル/ヴィニー・カリウタ/デニス・チェンバース
3人のレジェンド・ドラマーによる
枯れた味わいなど無縁のアグレッシヴな熱演
オズ・ノイの作品やギグは、ドラマーからはもちろんのこと、ドラマー以外の人でも“今回のドラマーは誰だろう?”が真っ先に気になるという不思議な側面を持っている。その最新作に起用されたのはデニス・チェンバース、デイヴ・ウェックル、ヴィニー・カリウタというレジェンド3人。みなそれぞれに若き日より懐の深みを感じさせつつも、枯れた味わいなど無縁のアグレッシヴな熱演にグッときてしまった。特にオズ・ノイと共演するときのウェックルのキレ方(!?)は個人的に大好きで、今作ではM8「Groovin’ Grant 」の攻めまくりのシャッフルが印象に残る。このウェックルも然り、他のミュージシャンもハイ・レベルな演奏をとても楽しそうに展開していく様子が浮かび続けるアルバム。もしやオズ・ノイは参加メンバーの“ミュージシャン魂”に火を点けるマジックを持っているのだろうか? だからこそ、彼の周りにはビッグ・ネームのドラマー達が集うのかもしれない。(山本雄一/RCCドラムスクール)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】デイヴ・ウェックル/ヴィニー・カリウタ/デニス・チェンバース(d)、ダニエル・サドウニック(per)、ダニエル・サドウニック(per)、オズ・ノイ/アダム・ロジャース(g)、ウィル・リー/ジョン・パティトゥッチ(b)、デヴィッド・キコスキー(p)、ジェイソン・リンドナー(org、syn)、クリス・ポッター(sax)、他
発売元:AGATE/Inpartmaint 品番:AGIPi-3680 本体価格:¥2,400 発売日:2020.10.16
d:ラーネル・ルイス
タッチとフレーズをガラッと変えて来る
これがまさにラーネルの素晴らしいところ
まさにラーネルが今まで積み重ねてきた集大成だと感じました。1曲目「Change Your Mind 」は彼独特の空気感があるビートが炸裂しています。そして終盤の複雑なキメの上で繰り広げられるドラム・ソロは圧巻。内容はネタバレになるので控えますが、ビックリしたのが次の曲「No Access 」で、いきなりガラッと変えてきます。そこから「City Lights 」! 何がすごいかって、タッチとフレーズをガラッと変えて来るんですよね。これがまさにラーネルの素晴らしいところ。「Coconuts 」みたいなエピックな曲に合わせたコレクティヴなドラムもできるし、1つのジャンルに振りきることもできる。最強でしょ! そしてアルバム最後のドラム・ソロも美しい。個人的にある方法がなるほどとすごく発見させられたトラックでした。さらにうれしい点はプラグインやエフェクトで濁していない生感がすごくあるので、アンサンブルを聴くのにも参考になる1作。彼は今、世界が最も注目しているドラマーの1人なので、絶対聴くべし!!(FUYU/RED DIAMOND DOGS)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】ラーネル・ルイス(d、key、syn、etc.)、アンドリュー・スチュワート/マイク・ダウンズ(b)、マーク・ラッティエリ/エルマー・フェレール(g)、サムエル・ウィリアムス(key、b)、ロビ・ボトス(p)、ロブ・クリスチャン(sax、fl)、他
発売元:配信/輸入(iTunesで購入可) 本体価格:¥1,528(iTunes) 発売日:2020.11.20
◎Memo
【本誌掲載】発売中のドラマガ21年1月号では、ラーネル・ルイスへの初インタビューに成功!
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【ドラマガWeb】本誌掲載インタビューのアナザー・セクションを公開中!
Interview – ラーネル・ルイス
d:フィル・ラッド
世界でただ1つ、AC/DCしか持ってない
武器の精度を死ぬほど高めて帰って来てくれた
“ラッド”と言えばRADWIMPSじゃなくてフィル・ラッドの全国のドラマー達よ!! 大量の覚醒剤所持して逮捕されようが、殺し屋雇って殺人計画(未遂)して逮捕されようが、フィル・ラッド先輩がロックンロール運びに俺達のもとへ帰って来たぜ!! しかも先輩だけじゃない、AC/DCが帰って来たぜ!! 変わらない美学、の代表選手って言われるAC/DCだけど、50年近くやってたら変わるよね。年々新作のリフが覚え辛くなってきて、前作なんてAC/DCに影響を受けたバンドかのように感じちゃったりして。新作も生きて続けてくれるだけでアザす、くらいに思ってたら何コレーー!! まだこんなリフあったのーー!! これだよ、この一度聴いたら頭から離れないリフだよ!! この純度100%の8ビートだよ!! この1音で世界が変わるベースだよ!! 世界でただ1つ、AC/DCしか持ってない武器の精度を死ぬほど高めて帰って来てくれた。カッコ良すぎて震える。マルコム先輩(2017年死去)安らかに眠ってください。(BOBO)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】フィル・ラッド(d)、クリフ・ウィリアムズ(b、cho)、アンガス・ヤング(g)、スティーヴィー・ヤング(g、cho)、ブライアン・ジョンソン(vo)
発売元:ソニー 品番:SICP-31394 本体価格:¥2,500 発売日:2020.11.13
d:ロジャー・テイラー
言うまでもなくNo.1のライヴ・バンド
新しい今のQUEENを十二分に楽しめます
ここ数年のQUEENの盛り上がり方はすごい勢いですね。特に映画での盛り上がりには驚きました。新型コロナウイルス拡大の中、QUEENが出した1つの答えがこのライヴ・アルバムなのです。QUEENは今更言うまでもなく、No.1のライヴ・バンドです。フレディ・マーキュリーという個性の塊、バンドの顔の代役はすごく大変なことだと思います。でもアダム・ランバートはそのポジションを自分のキャラクターでうまくこなしていると思います。内容はアダム・ランバートとのここ数年のツアーのベスト・テイク集。有名な曲が目白押しです。CD、DVD、Blu-rayで楽しめます。フレディのソロの曲もあったり、新しい今のQUEENを十二分に楽しめます。(河村“カースケ”智康)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】ロジャー・テイラー(d、vo)、ルーファス・タイガー・テイラー/タイラー・ウォーレン(per、vo)、ブライアン・メイ(g、vo)、アダム・ランバート(vo)、ニール・フェアクロー(b、vo)、スパイク・エドニー(key、vo)、他
発売元:ユニバーサル 品番:UICY-15939 本体価格:¥2,500 発売日:2020.10.02
d:トミー・リー
プロデューサーとしても素晴らしいが
ドラムをアグレッシヴにぶっ叩くトミーが最高にカッコいい
トミー・リーの15年ぶりとなる3rdアルバム。全曲ゲスト・アーティストをフィーチャリングしており、ファンクやヒップホップなど、さまざまなジャンルが織り混ざったバラエティに富んだ構成で、特に気に入っているのがPrinceのカヴァー「When You Were Mine 」。原曲の軽快でポップなイメージと真逆の、ヘヴィでダイナミックなグルーヴ。モトリーの名曲「Home sweet home 」を彷彿とさせる壮大な仕上がりだ。ラストでようやくトミーの生ドラムが聴けるのだが、ここまで全編打ち込みのリズムだったこともあり、とにかく気持ち良く感じる……というか“待ってました!”という感じ。プロデューサーとしてのトミーも素晴らしいが、やっぱりドラムをアグレッシヴにぶっ叩くトミーが最高にカッコ良くて好きだ!(宮上元克/ACE OF SPADES)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】トミー・リー(d、etc.)、ジョン5(g)、デスモンド・サウス(prog)、キルヴェイン/プッシュ・プッシュ/タイラ・ヤーウェ/ポストマローン(rap)、他
輸入盤( iTunesで購入可) 本体価格:¥2,000 発売日:2020.10.16
d:マット・チェンバレン
豊富な音楽読解力に裏づけされた
“説得力”と刻印されたアプローチ
パール・ジャムのストーン・ゴッサードと、元バンド・メイトのマット・チェンバレンによる新プロジェクト、Painted Shield。ここ数年、アメリカNo.1の売れっ子スタジオ・ドラマーとしての地位を確立したマット・チェンバレン。彼のドラミングの魅力はまさに、豊富な音楽読解力に裏づけされた“説得力”と刻印されたアプローチだ。今作は数年前、彼がサウンドガーデンのサポートを務めた際に見られたような“ヘヴィ”なビートを随所に聴くことができる。グランジ感を基調に、パール・ジャムとニール・ヤングのコラボ作のような熱量を感じた。ボトムに据え置きつつ柔軟にドライヴする。シンプルで一番難解なことをしなやかにこなす彼はいつもすごい。(神谷洵平/赤い靴)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】マット・チェンバレン(d)、ストーン・ゴッサード(g)、ブリタニー・デイヴィス(key、vo)、メイソン・ジェニングス(vo)
配信/輸入( iTunesで購入可) 本体価格:¥1,528(iTunes) 発売日:2020.11.27
per:マルコス・スザーノ
ジャズからクラブ・ミュージックまで
すべてのジャンルを軽々と超えた驚愕のサウンド&グルーヴ
これは大変……ついに世に出た! マルコス・スザーノには数年前からこのプロジェクトについて聞いていたのだが、何せ四天王の集合体だけに、レコーディングを始めてからリリースに至るまでの進みがとにかく遅い……すっかり忘れてたらいきなり……それもこの内容の素晴らしさにとにかくビックリ! まずはこの4人それぞれのブラジル音楽史における歴史的な偉業の数々を説明してるだけで、このスペースがまるで足りないのでもちろん省かないといけないのだが、70年代のCTI、ECM、BLUE NOTEなどからリリースされ、傑作と永遠に語り継がれるタイプの作品……ジャズからクラブ・ミュージックまで、すべてのジャンルを軽々と超えた驚愕のサウンド&グルーヴ。(沼澤 尚/シアターブルック、ブルーズ・ザ・ブッチャー、他)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】マルコス・スザーノ(per)、リミーニャ(b、g)、 トニーニョ・オルタ(g)、 ジャキス・モレレンバウム(cello、org)、他
発売元:ソニー 品番:SICP-6349 本体価格:¥2,400 発売日:2020.12.23
d:マイク・マンジーニ
コントロール力、創造性の高さ
ヘヴィなサウンドのキープ力は目を見張るものがある
昨年リリースされた新譜を引っさげたワールド・ツアーの模様を収録したライヴ盤。コロナ禍の影響で日本での公演が中止となったので、ファンにとっては何よりのプレゼントだろう。このライヴの“目玉”はマイク・ポートノイ在籍時の名盤『メトロポリス・パート2』の完全再現で、今よりプログレ色の強い超絶曲を難なくこなすどころか、完全に自分のものにしてしまっているマイク・マンジーニのドラミングが見事! ポートノイ時代のすべての楽曲に対応できるであろう巨大なドラム・セット群も功を奏している。ライヴにおいてそのツーバス・プレイもさらに磨きがかかり、コントロール力、創造性の高さ、ヘヴィなサウンドのキープ力は目を見張るものがある!(菅沼道昭/る*しろう)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】マイク・マンジーニ(d)、ジョン・マイアング(b)、ジョン・ペトルーシ(g)、ジョーダン・ルーデス(key)、ジェイムズ・ラブリエ(vo)
発売元:ソニー 品番:SICP-31410〜2 本体価格:¥4,200 発売日:2020.11.27
d:Katsuma
ドラマーとして観ても
ここまで満足度の高いフェスは過去類を見ない
新型コロナウィルスの影響で世界からモッシュ・ピットが失われていく、まさに境界線上で行われた本フェス。しかし今考えても主催のcoldrainにしか実現不可能であろうパワフルな出演者の数々に驚かされます。ドラマーとして観ても、ここまで満足度の高いフェスは過去類を見ないかもしれません。僕も現場でたくさんの素晴らしいドラミングを目撃し、その後の意識に大きな改革がありました。フロアの熱量も今までのどのフェスよりもすさまじいものでした。何度思い出しても鳥肌が立ちます。あらためてcoldrainを初めとした全出演者、そして参加していた全オーディエンスに敬意を表したい。必ずこの熱狂を取り戻しましょう。そのときまでこの映像でマグマを滾らせながら。(金子ノブアキ/RED ORCA)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】Katsuma(d)、RxYxO(b、cho)、Y.K.C(g)、Sug(i g、cho)、masato(vo)
発売元:ワーナー 品番:WPXL-90240〜1(Blu-ray)/WPBL-90556〜7(DVD) 本体価格:¥5,000(Blu-ray)/¥4,500(DVD) 発売日:2020.10.28
d:川口千里
時に痛快で、時に切なく、時に大暴れ
息をするようにドラムで歌っています
かわいくてドラムうまくて、とどめに頭脳明晰。つまりは才色兼備や文武両道という四字熟語を地で行く……何かもう神様から愛され過ぎている川口千里ちゃん。そんな彼女の待望のメジャー第2弾アルバム。千里ちゃんと言えば、ルーディメンツを多用したテクニカルな高速/変則プレイをまず想像すると思いますが、そんなのは彼女の魅力のごく一部でしかありません。このアルバムを聴いて、音楽的解釈のセンスの良さに驚かされます。収録曲のジャンルは多岐に渡っておりますが、どの曲においてもそのフレージング、ダイナミクス、タイム感など、あまりに表情豊かであり、どれも超一級品……時に痛快で、時に切なく、時に大暴れ。息をするようにドラムで歌っています。(かみじょうちひろ/9mm Parabellum Bullet)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】川口千里(d)、櫻井哲夫(b)、菰口雄矢(g)、安部 潤(key、p)、本田雅人(sax)、エリック宮城/二井田ひとみ(tp)、中川英二郎(tb)
発売元:キング 品番:KICJ-842 本体価格:¥3,000 発売日:2020.12.23
◎Memo
【本誌掲載】ドラマガ21年1月号では本作についてのインタビューを掲載!
Yamaha DTX6の試奏や、最終審査員を務めたコンテスト企画でのコメントも併せてチェック!
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【WEB】本作のレコーディング・レポートを公開中!
川口千里ソロ・アルバムのレコーディング現場に潜入!
d:アーロン
正統的でアカデミックかつ一級のエンターテインメント
アーロンの激ウマ・スムース・アーバン・ビートに注目
立体的かつスーパー・クリアな音響、隙のないアンサンブルとそれを支える各プレイヤーのテクニックに加え、キャッチーなフック満載のメロディが大衆性をも担保しているという、いろいろな意味で東京ディズニー・リゾートのようなバンドの新作は、正統的でアカデミックかつ一級のエンターテインメント。あえて言えば、その完成度/洗練性の高さが逆説的に内容を上滑りさせてしまいそうになる場面もあるが、そんなときはドラマー視点でアーロンの激ウマ・スムース・アーバン・ビートに注目すれば退屈のしようがない(特にタム類の鳴り方/鳴らし方!)。個人的にはボーナス・トラックの4曲によそ行きでない彼らの骨子が垣間見える気がして、本編以上に興味深く聴けました。(木暮栄一/the band apart)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】アーロン(d)、ヘンリック(b)、ジョナ(vo、key)
発売元:ユニバーサル 品番:UCCJ-2188 本体価格:¥2,000 発売日:2020.11.18
●Memo
ダーティ・ループスのドラマー、アーロンへのインタビューも同時公開中! 今作のドラム・アプローチや、近年のドラム観に迫る!
詳細はこちら→Interview – アーロン[ダーティ・ループス]
d:芳垣安洋
世界のレジェンドと同列でリスペクトする大先輩
みんなもこれ聴いてぶっとばされたらいい
数年前にNYにレコーディングに行ったとき、オフの時間に見れるだけライヴを見とこうと思って、ドラマーで覚えてるだけでも、ネイト・スミス、マーカス・ギルモア、アリ・ホニッグ、ジャスティン・ブラウン、ケンドリック・スコットらを至近距離で浴びまくった結果、軽く放心状態で帰国したんですよね。しばらくこんな刺激ないやって思ってた。けど帰国後すぐにやらせていただいた芳垣さんとのツイン・ドラム・セッション。まじで日本もやべーぜって思えたんだよね、あの夜。そのとき芳垣さんが率いてたバンドがOn The Mountainでした。世界のレジェンドと同列でリスペクトする大先輩の新録。みんなもこれ聴いてぶっとばされたらいい。(松下マサナオ/Yasei Collective、GFJB、他)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】芳垣安洋(d、per、kalimba、vo)、岩見継吾(b)、吉森 信(p、key、syn、harmonica、vo)
発売元:GLAMOROUS 品番:GLAM-0004 本体価格:¥2,000 発売日:2020.12.16
d:藤掛正隆
見えない糸でつながる強者達の
センサーや感性の鋭さに舌を巻きます
鬼才=坂田 明を中心に結成されたインプロヴァイズド・グループの2作目となるライヴ盤。冒頭から怒涛のフリー・スピリットで展開される爆発力ある音楽世界は圧倒的。尋常でない感情の起伏が濃密なドラマを生み出し、自由奔放のようでありながら、見えない糸でつながる強者達の、センサーや感性の鋭さに舌を巻きます。各楽器が言葉を喋るように絡み合う卓越した表現力や豊かな音色……すべての音楽家にとって大切なスキルが抜群だからこそ、聴き手に刺さるサウンドは刺激と学びが満載です。2曲目以降は藤掛氏の太いグルーヴを軸に展開する曲が多いのもドラマー目線では魅力。それにしてもドスの利いたヴォイスも聴かせる御年75歳の坂田氏の活力には感服します。(長野祐亮)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】藤掛正隆(d)、早川岳晴(b)、坪口昌恭(p、syn)、坂田 明(sax、cl、voice)
発売元:FULLDESIGN 品番:FDR-1045 本体価格:¥2,300 発売日:2020.10.25
d:山葵
和太鼓:黒流
ドラムと和太鼓が絡み合いながら
疾走感と躍動感を演出する場面が圧巻
世界的に注目を集める8人組の約2年半ぶりとなるオリジナル・アルバム。タイトルにもあるようにコンセプトは“TOKYO”で、コロナ禍で未来が不安でも明日は必ず来るといった、前向きな思いを東京、ひいては日本から発信する……そんな強い思いが歌われる。サウンド的にはメタリックなロックを核に、さまざまな和楽器が彩を加えるという彼らの王道といえるものだが、より和楽器の存在が大きくなっている印象も。特にたびたび登場するドラムと和太鼓が絡み合いながら、疾走感と躍動感を演出する場面が圧巻。そのトライバルなビートに引き込まれ、何だかトランスしてしまいそう。和太鼓とドラムの融合により、打楽器が本来持つ魅力を十二分に堪能できる。(竹内伸一)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】山葵(d)、黒流(和太鼓)、亜沙(b)、町屋(g、vo)、蜷川べに(津軽三味線)、神永大輔(尺八)、いぶくろ聖志(箏)、鈴華ゆう子(vo)
発売元:ユニバーサル 品番:UMCK-1668〜9 本体価格:¥3,500 発売日:2020.10.14
◎Memo
【本誌掲載】発売中のドラマガ21年1月号では、山葵×黒流による“ドラム×和太鼓対談”が実現!
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【ドラマガWeb】
本誌掲載対談のチラ見せ&Web限定のスペシャル・セッション動画を公開中!
山葵×黒流[和楽器バンド]対談
山葵へのリリース・インタビューはこちら!
Interview – 山葵
d:大澤実音穂
仕分け作業をくぐり抜けて採用された音には説得力が宿る
それがミネホ氏のハイハットだったりすると、堪らなくうれしい
ある程度統一された楽器のラインナップで作られた、従来の“バンド音楽”の枠組みがありながら、その枠を意識せずに音楽制作をするバンドが増える昨今。特に帯域や音数にシビアなエレクトロ音楽の制作工程の要とも言える、必要性の仕分け作業をくぐり抜けて採用された音には説得力が宿るもので、それがミネホ氏のハイハットだったりすると、堪らなくうれしくなります。自分が面と向かって話せる相手というのは、自分自身を筆頭に数少ない人数いるものですが、Face to Faceは、例年に比べれば多い時間の余白の中、面と向かって何か通じ合うことを忘れてしまいそうになるのを防いでくれたし、意外と疎かになりがちな自分自身の意識の底との対話を促してくれたので感謝してます。(大井一彌/DATS、yahyel、Ortance)
◎Disc Information
【参加ミュージシャン】大澤実音穂(d)、山﨑康介(g)、福永浩平(vo)
発売元:ビクター 品番:VICL-65459 本体価格:¥3,000 発売日:2020.12.23