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Drummer’s Disc Guide – 2021 Autumn

– Autumn 2021 –

【A】=アルバム 【M】=ミニ・アルバム 【E】=EP 【V】=DVD、Blu-ray


【A】スティーリー・ダン『ノースイースト・コリドー:スティーリー・ダン・ライヴ』

d:キース・カーロック

「Aja」でのドラム・プレイを聴くためだけに
このアルバムを買って良いと言っても過言ではない

ミュージシャンであれば、誰もが知るアーティスト、スティーリー・ダン。あらためて今回のライヴ・テイクを聴くと、圧倒的なアレンジと類稀な演奏能力が際立ち、一瞬、ライヴ・テイクであったことを忘れるくらい丁寧に演奏されています。もともとミュージシャンの配置にもこだわりがあり、それがまた的確で、尋常ではないタイトさと、安定のグルーヴ、常に曲の世界観を意識したプレイ、キース・カーロックを長年手離さない理由がわかります。このアルバムの「Aja」でのドラム・プレイは、これを聴くためだけに買っても良いと言っても過言ではありません。もはや異次元のレジェンド・クラス、タイトで隙間のある圧倒的なグルーヴを、ぜひ体感してみてください。(小笠原拓海)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】キース・カーロック(d)、フレディ・ワシントン(b)、ジョン・ヘリントン/コナー・ケネディ(g)、ジム・ベアード(p、key)、ドナルド・フェイゲン(vo、p)、他

発売元:ユニバーサル 品番:UICY-16015 発売日:2021.09.24

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【E】リンゴ・スター「チェンジ・ザ・ワールド」

d:リンゴ・スター

リンゴらしいシャッフル・リズムや
初期のビートルズ的なルーツが聴けるのもうれしい

前作から半年も経たずに発表されるリンゴ・スターの新譜EPです。今の状況の中、自宅にスタジオがあるからこそ続けることができた、多くの素晴らしいミュージシャン達との交流。そこで友と共に音を出すことから生まれた明るいメッセージを世界に届けたいという、彼ならではの、人々への応援の気持ちに満ちた作品です。スティーヴ・ルカサーと共に作ったリード・シングルは、タイトルも「Let’s Change The World」。リンゴらしく、来るべき、混迷が晴れた世界を思い、希望を込め明るく歌い上げます。前作に続きレゲエ・チューンも登場。70年代ルーツ・ロック界を盛り上げた伝説的な凄腕達をこんなにも集めることができるのもリンゴだからなんでしょうね。随所に聴けるルーツ・レゲエ的なフィルインがまた素敵です。リンゴらしいシャッフル・リズムの曲や、ジョー・ウォルシュをフィーチャーしたロックンロール・クラシック「Rock Around The Clock 」での初期のビートルズ的なリンゴのルーツが聴けるのもうれしいです。(芳垣安洋/Orquesta Libre、On The Mountain、他)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】リンゴ・スター(d、vo、etc.)、ネイザン・イースト/フリー・フルウッド(b)、スティーヴ・ルカサー(g、cho)、ジョー・ウォルシュ/トニー・チェン(g)、ジョセフ・ウィリアムス(key、cho、etc.)、エド・ロス(org)、エイミー・キーズ/ゼルマ・デイヴィス(cho)、他

発売元:ユニバーサル  品番:UICY-16018 発売日:2021.09.24

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【A】アイアン・メイデン『戦術』

d:ニコ・マクブレイン

ライド・シンバルで刻むリズムの鮮やかさ
それに絡むフィルイン

デビューから41年目の新作が登場。冒頭から重圧なギター&ベースの中、メイデン・サウンドの要、安定感抜群のニコのドラミングが全編に渡って冴えています。僕が大好きな彼の特徴であるライド・シンバルで刻むリズムの鮮やかさ、それに絡むフィルイン。そして「戦略家(ストラテゴ)」では驚愕の高速バス・ドラムが聴かれます。シングルでここまでできるのか!という。一風変わった「ケルト人の死」ではケルト音楽をメイデン風に取り入れているところが面白い。後半の3曲は10分を超える楽曲。プログレの影響もさることながら、インストゥルメンタルで一気に聴かせる部分がカッコいい。興奮と感動の聴けば聴くほど好きになる大作。オススメです。(江藤良人)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】ニコ・マクブレイン(d)、スティーヴ・ハリス(b、key)、デイヴ・マーレイ/エイドリアン・スミス/ヤニック・ガーズ(g)、ブルース・ディッキンソン(vo)、他

発売元:ワーナー  品番:WPCR-18449/50 発売日:2021.09.08

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【A】ネイト・スミス『キンフォーク2 : シー・ザ・バーズ』

d:ネイト・スミス

当作を一聴しての私見は
“これドラム聴いたら負けやん”だった

とてもとても後悔しているのは、この作品を稀代のドラマー、ネイト・スミスの作品であるという前情報を得てしまっていたことと、それをあろうことかドラム・マガジンの原稿として書かねばならなくなってしまったということ。なぜならば当作を一聴しての私見は、“これドラム聴いたら負けやん”だったからである。M1にて明確にオマージュされるパット・メセニー・グループの諸作品。からの文字数制限につき、M2〜M10については、ばっさり割愛するが(笑)、最後のM11なんか秋の夜長にでも聴いてご覧なさいよ。情感たっぷりに歌い上げるヴォーカルにひたすらリリカルなピアノ。単純に超いいバラードなもんだから、うん、ドラム聴いてる暇なんかありゃしねぇのよ。ドラムがすげぇのはもう今さらなお話なので、むしろポップ・ミュージックとして語り継がれるべき。(庄村聡泰)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】ネイト・スミス(d、per、key)、フィマ・エフロン(b)、ブラッド・アレン・ウィリアムズ(g)、ジャリール・ショウ(sax)、ジョン・カワード(p、org)、ジョエル・ロス(vib)、レジーナ・カーター(vln)、ブリタニー・ハワード(vo)、他

発売元:Pヴァイン 品番:PCD-25335 発売日:2021.10.08

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【A】ジェニーハイ『ジェニースター』

d:小籔千豊

オシャレなバランスを形成できるのは
小籔千豊&くっきー!という多芸多才なリズム体があってこそ

先日、ラジオから流れてきた曲のドラムがとても自然体で好みだったので調べたらジェニーハイの「夏嵐」だった。もし最初から“ドラマーは芸人”と構えて聴いたなら、また別の印象だったかもしれないが、今回の試聴でもその好印象は変わらず。むしろアルバム全曲を聴き終えると悔しいくらいに素敵な音楽が溢れている。川谷絵音、中嶋イッキュウという才能豊かな二枚看板の融合がシャレになり、かつオシャレなバランスを形成できるのは、小籔千豊&くっきー!という多芸多才なリズム体があってこそだろう。そして新垣 隆の音色がこのバンドに耽美な趣を加えている点も見逃せない。“バンドに大切なのはバランス”、そんなことをあらためて感じた作品だ。(山本雄一/RCCドラムスクール)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】小籔千豊(d)、くっきー!(b)、川谷絵音(g)、新垣 隆(key)、中嶋イッキュウ(vo)、他

発売元:ワーナー  品番:WPCL-13323 発売日:2021.09.01

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【A】Audio Invaders『Audio Invaders』

d:藤掛正隆

従来作にないポップな“表現”
Fulldesignの新風になる予感大!

“フィールド横断インプロヴァイズ×独自エディット”作品を自主レーベルFulldesignから仕掛けまくる藤掛正隆と、かつて“西の電グル”とも呼ばれた電子パンク・バンド“ナスカ・カー”の中屋浩市によるユニットが、今作の制作密度と完成度の高さにより“Audio Invaders”の名でリローンチ。名の通り80s満点なピコピコ電子音で当時の記憶が一瞬で呼び戻され、それを“ツカミ”にこの2人のONとOFFのサウンドを立体的に絡めた(多分に映像を想起させる)いろんなタイプの音像空間に放り込まれる。今回藤掛のドラムは“素材”。中屋の確信犯的エディットにより従来作にないポップな“表現”となっているのが聴くたびに面白く、Fulldesignの新風になる予感大!(村田誠二)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】藤掛正隆(d)、中屋浩市(programming、electronics、vo)

発売元:Fulldesign records 品番:FDR-1046 発売日:2021.08.18

【A】スティーリー・ダン『ノースイースト・コリドー:スティーリー・ダン・ライヴ』