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    ドラムが叩ける!お宅訪問[Webオリジナル]#3 東京都在住 石川 洋さん 宅スタジオ

    • 取材:編集部
    • 文:西本 勲
    • 撮影:関川真佐夫

    “自宅で思いきりドラムを叩きたい。しかも良い音で”……スタジオやライヴ・ハウスなどの防音/音響工事を行う専門業者、アコースティックエンジニアリングが住宅に施工したドラム用防音室を紹介しているこの連載。本誌の人気連載と並行して、昨年からスタートしたWebオリジナル版の第3回目は、東京都在住のドラム&パーカッション・プレイヤー、石川 洋さんの自宅スタジオを訪ねた。

    限られた広さを
    数cmレベルで調整しながら
    高い遮音性能を実現してもらいました

    ライヴ/レコーディングのサポートやドラム・レッスンなど、幅広い活動を行っている石川 洋さんは、2022年4月に自宅である木造一軒家の一部を改装してスタジオを完成させた。ドラム・レコーディングに対応できるよう設計されたこの部屋で、実際にドラムを録音して納品する仕事を数多く請け負っている。

    「最初は普通の仕事部屋を作るつもりでしたが、思った以上に費用がかかることがわかったので、もう少しお金を出してスタジオを作った方が今後のためにも良いと考えました。

    アコースティックエンジニアリングさんで自宅スタジオを作った合原晋平君(記事はこちら)や田中 陽君(記事はこちら)が友達なので、部屋も見せてもらったりして。そのとき“録音できるスタジオにした方が絶対いい”と言われて、それならしっかり作ろうと決めました」

    以前はキッチンだったスペースに作ったスタジオは約4.1畳。レコーディングの仕事で使うことが大前提で、隣家も近いため高い水準の遮音が求められた。

    リフォームでスタジオを作る場合、建物の構造や元の間取りに左右される要素が多く、遮音性能を高めるのは新築よりも難しいのが一般的だ。石川さんのスタジオでは、元の壁の構造を利用した設計によってその問題を解決。

    家を建てた住宅メーカーや関係機関への問い合わせが必要なプロセスもあったそうだが、手間を惜しまずクリアしていった。

    ドラムのレコーディングを行うのに必要十分なスペースが確保された石川さんのスタジオ。住宅に作るスタジオの場合は特に、遮音性能と広さはトレードオフの関係にあり、シビアな計画が必要となる。写真を見ると自然すぎて気づきにくいが、マイク・スタンドも含めた実際のセッティングに合わせてジャストに設計された空間は、まさにオーダーメイドのレコーディング・ブースと言えるだろう。
    ドラム・セットの右側を向くとそのままレコーディング機材を操作可能。叩く/録る/聴くをスムーズに行える環境だ。

    このように、さまざまな制限がある中でスタジオの用途に合わせた最適解を探ることは、建築設計のノウハウも豊富なアコースティックエンジニアリングが得意とするところの1つでもある。最終的には、標準仕様の遮音壁で高遮音レベルの性能を実現することができた。

    「しっかり遮音した上で、ドラム・セットを置いてマイクを立てるのに必要な広さを数cmレベルで調整し、仕上げてもらいました。家の外に音が漏れないのはもちろんですが、2階や隣の部屋で小さい子供が寝ていても全然大丈夫です」

    屋外に対して壁前でD-70等級以上という高い遮音性能を実現。隣の台所や2階への遮音もかなり高いレベルであることがわかる。

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    「自宅でレコーディングするスタイルがもっと進んでいくんだろうなと思います」