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“ロジャー”の愛称で親しまれたドラマー、高橋和久氏が5月17日に亡くなった。本人のSNSを通じて遺族が明かした。享年64歳。高橋氏は2022年に肺がんであることを公表。以降は治療をしながら音楽活動を続けていた。
— ロジャー高橋 (@RogerTakahashi) May 20, 2026
昨秋、入院治療のため、音楽活動を一時中断せざるを得なくなったときには、SNSで「治療と仕事の両立は可能」としながらも「スケジュール的な面が絡んで毎回周りの人に迷惑をかけるとなるとそれもなかなか難しい」と苦しい胸の内を吐露。しかし、「自分にはコレしか無く、治療する為に生きてるんやなく、こうやって音楽する為に生きてるんであって、手足が動く限りやっていきたい」と熱い思いを語っていた。
また、今年の正月には可愛らしい馬のイラストと愛猫の写真をあしらった年賀状風の画像と共に「焦らずにぼちぼちと復帰目指して頑張ります!」と、やはり前向きな気持ちを書き添えていたが、復帰はかなわぬまま天に召された。
ロジャー・テイラーに憧れてドラムを始めた
日本を代表するロック・ドラマー
高橋氏は1961年9月12日生まれ。大阪府出身。クイーンのロジャー・テイラーに憧れてドラムを始めたという氏は、1982年にLOUDNESSのギタリスト、高崎 晃のソロ・アルバム『ジャガーの牙~TUSK OF JAGUAR~』収録の「EBONY EYES」に参加。そこで繰り広げた躍動感溢れるドラミングで、一躍注目を集めた。その後、ヘヴィ・メタル・バンド、X-RAYに加入。1983年に『魔天-Hard Section』でメジャー・デビューを飾ると、そのパワフルなドラミングで日本を代表するロック・ドラマーの1人として音楽シーンを牽引していった。
X-RAY は4枚のオリジナル・アルバムを残して1986年に解散。しかし、高橋氏は歩みを止めず、音楽活動を続行し、都内を拠点に活動していたRESISTANCEにサポートという形で加わると、そのままメンバーとなり、1991年に『?UNK』でメジャー・シーンに舞い戻っている。ここではさらに図太く躍動感溢れるドラミングを披露。ドラマーとしての深化を示した。
RESISTANCE以降は、ジャンルを超えて多岐に渡る活動を展開。参加したバンド、共演したミュージシャンは枚挙にいとまがない。野村義男、石田長生、Char、横道坊主、al.ni.co、人見元基、宮原 学、ポルノグラフィティ、音屋吉右衛門、PUGS、加川良、D.T.R.、ポメグラネイト、THE SONS……思いつくままに書き連ねただけでもこれだけの数が挙がった。それは氏のドラミング、そして人間性が多くの人々に愛されていた証左だろう。
近年も再編されたX-RAY、ローリー寺西(vo、g)、佐藤研二(b)とのトリオThe MANJI、藤原正紀(vo)、日下部正則(g)、松本慎二(b)という日本のメタル・レジェンドが集結したASIAN BLACK、松川純一郎(g)、山下武徳(vo)らとのGentle Faces、山田晃士&流浪の朝謡といったバンド/ユニットで精力的にライヴを行っていた。氏のSNSを確認すると、昨秋入院する直前までこれらのバンドでライヴを行っていたことがうかがい知れる。また、年末年始から2026年にかけても多くのライヴ出演が予定されており、病魔がその機会を奪ってしまったことが残念でならない。
ちなみに“ロジャー”というステージ・ネームは、もちろん憧れだったクイーンのロジャー・テイラーから。「(音楽を始めた頃)一緒にバンドをやっていた仲間にもそれぞれ好きなミュージシャンがいて、その名前を自分たちも使うようになった」と、1996年12月号の本誌インタビューでその由来を語ってくれた。他にも好きなドラマーとしてジョン・ボーナムの名前を挙げている。
ボンゾのような力強さと、ロジャー・テイラーのような歌心を持っていた名ドラマー、高橋ロジャー和久氏。謹んでご冥福をお祈りいたします。