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    スティーヴ・ガッド来日! 川口千里が間近で体感した、”ドラム・ゴッド”の魅力!!【Report】

    • Photo:Yuka Yamaji/Special Thanks:Blue Note Tokyo
    • Text:Senri Kawaguchi

    スティーヴ・ガッドが去る1月に自身のバンドを率いて来日ツアーを敢行! 最高峰のメンバーと共に奏でた極上のアンサンブルで、ファンを魅了したが、それに先駆けて、1月17日、18日に日本が誇るビッグ・バンド=ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラのライヴにスペシャル・ゲストとして参加!! ステージでスティーヴと二度目の共演を果たした川口千里に間近で体感した”神様”のすごさについて執筆してもらった!

    リハーサルから合わせて
    6回分のステージを特等席から堪能

    2023年を迎えて二週間ほどたち、新年の浮ついた空気も随分と落ち着いた頃。私の気持ちは年始以上に浮つき、遠足前の小学生のような気持ちでいました。ドラマー界の伝説、神様と共演できる日が近づいていたのですから、こればかりは仕方ありませんでした。

    ブルーノート東京が主催している、トランペッターのエリック・ミヤシロさんが率いているビッグ・バンド、“BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA”のステージに、2017年から参加させていただいています。今までも素敵なゲスト・ミュージシャンと、贅沢すぎる共演を経験させていただいたのですが、私が参加するようになってから、一度もドラマーがゲストとしてジョイントしたことがありませんでした。そして今回、エリックさんからゲストがあのスティーヴ・ガッドさんだとうかがったときは、それはもう、とてもテンションが上がりました。

    リズム体の方がゲストとしていらっしゃる場合、バンド・メンバーのみでオープニングとエンディングの演奏をしたあとは、ゲストの方のパートは参加せず、その間お休みになることが多いです。つまり日本最高峰のメンバーが集まるこのビッグ・バンドと、世界で唯一無二なサウンドを持つ、ドラマー全員の憧れであるガッドさんとの絡みが、リハーサルからかなり近い位置から楽しめる、ということで!鼻血が出そうなくらいに興奮するシチュエーションで、リハーサルから合わせて6回分のステージを特等席から堪能させていただきました。

    さらに、その喜びに被せるように、ガッドさんが「ツイン・ドラムでの演奏もしても良い」とおっしゃってくれた、とエリックさんから聞いたときは、発狂しそうなくらい(実際に発狂していたかもしれません、、、)うれしかったです。

    実はガッドさんとの共演は今回が初めてではありません。2017年9月2日に原宿クエストホールにて開催させた「Yamaha Drums 50th Anniversary Drum Session」で、神保 彰さんと、デイヴ・ウェックルさん、そしてガッドさんという4人でパフォーマンスしたことがあります。そのときは、センター・ステージ上にドラムを内向きに、四つ角にセットするというプロレス形式のセッティング。ガッドさんは私の真正面で、神保さんのワンマンオーケストラでのバッキングに合わせて演奏、そしてドラム・ソロをバースで回して、ドラマーだけでパフォーマンスしました。

    そのときもドラミングだけに集中できて、かなり堪能できたのですが、今回はバンドでの演奏。しかもビッグ・ハンドでの演奏が聴けるということで、バンドに対してどのようなサウンド・メイク、立ち位置で演奏されるのか、楽しみにしていました。

    スティーヴと川口の初共演となったYamaha Drums 50周年イベントのレポートはこちら!

    公演日の前日に行われた、ブルーノート東京でのリハーサル。ガッドさんが演奏する曲は、Steps Aheadの楽曲やThe Gadd Gangの楽曲の合計5曲。ガッドさんご本人がいらっしゃる前に、バンドだけでのリハーサルをやるために私が代わりに演奏したのですが、エリックさんのアレンジは原曲にはない、ビッグ・バンドならではのキメが増えており、ドラム譜が用意してあるものの、個人的には一度目を通さないとすべてを合わせるのは少し難しいものが多く、実際私も目を通してから演奏しました。

    その後、バック・パックを1つ背負ったかなり身軽な状態のガッドさんが会場に到着されました。軽く挨拶をしたあと、エリックさんに今回の楽曲の譜面を受け取り、ヤマハのスタッフさんがセッティングしたドラム・セットに座りました。ここで驚いたことに、ほとんどセッティング・チェック、サウンド・チェックをすることなく、全体リハーサルに突入したのです。

    自分のセッティングを十分に理解したスタッフさんが組み立てていたとはいえ、微調整せずとも、ウォーミング・アップせずとも、最初から安定したサウンドを出せることに驚かせされました。さらに譜面に関しても、一度全体を見渡しただけで最初のリハーサルに挑んで、譜面に書かれたキメはほぼほぼミスすることなく合わせていました。長年スタジオ・ミュージシャンとして活躍してきたガッドさんの経験値の高さを痛感しました。

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