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    【Report】2022 Billboard Live Tour「A.J.FINAL」@Billboard Live東京(d:神保 彰[CASIOPEA 3rd])

    • Special Thanks:Billboard Live Tokyo
    • Photo:Masanori Naruse
    • Report:Yuichi Yamamoto(RCC Drum School)

    “カシオペアと私”を語る上での大切な1ページになった
    神保 彰さんの“カシオペア”卒業ツアー

    その正式メンバーとして、日本のみならず世界のフュージョン・シーンを切り拓き、1997年以降はサポート・メンバーとしても“カシオペア”のサウンドを支えてきた神保彰さん。ですが残念なことに今回のビルボード・ツアーにて“カシオペア”は卒業とのこと。ここではそのファイナル・ツアー序盤に行われた4月17日の東京公演、2ndステージをレポートします。

    神保 彰

    ライヴ会場にもほぼ日常が戻ってきた春先、ビルボード東京の客席はギッシリと埋め尽くされました。マスク着用で声出しもできませんが、メンバー登場時には大きな拍手が起こります。セッティング完了後の1曲目は「NIGHT IN BLUE」。カウント代わりに“神保印”のフィルインが鳴った瞬間、場内がカシオペアのカラーに染まったのを感じました。そして野呂一生さんの艶やかなギター、鳴瀬喜博さんの縦横無尽のベース、大髙清美さんのグルーヴィなオルガンが重なり、“CASIOPEA 3rd”の10年で築かれた一体感と立体感が会場を包み込んでいきます。1曲目を終えての野呂さん挨拶では「神保 彰さん、円満退職です!」といった言葉があって場内は和やかなムードに。そこから各メンバーの楽曲が1曲ずつ演奏されます。この前半部では野呂&鳴瀬の弦楽器チームも椅子に座っての演奏で、神保さんの生み出すビートに乗って踏み続ける2人の“足カウント”の揃い方が私の視界からはとてもカッコ良く映りました。“カシオペア”の高度なアンサンブルも、大きなパルスの共有があってこそ、という感じです。

    そして中盤に突入。「ここからは立って演ります!」という野呂さんの言葉に大きな拍手が起きると「うれしいねぇ、立っただけで拍手貰えるなんて(笑)」というボヤきに場内は大爆笑。神保さん卒業への悲壮感は微塵もないままに往年の名曲「DOMINO LINE」がスタート!! 会場を埋めたファンはいろいろな場所でこの曲を聴き、秘技“ドミノ倒し”のスリルも味わってきたはずで……でも神保さんのそれが見納めかと思うと、どこか寂しくも感じたのではないでしょうか? もちろん今宵も完璧なドミノ倒しの成功でした。続いて野呂さん作曲で“これぞカシオペア”というシンコペーションが盛り込まれたナンバー「TOP WIND」をアグレッシヴに演奏したあと、マイクは“ジョーク王”!?の鳴瀬さんに。神保さんを「神保町彰!」と紹介し、「1980年、神保彰がカシオペアに加入した記念に神保町という街ができました!」という新事実で場内を唖然とさせつつ(笑)、鳴瀬氏のナンバー「Ui Uiz U Uiz Us」で強烈なファンク・ロックを轟かせます。このMCと演奏とのギャップがまた最高でした。続く大髙清美さんのナンバー「AUTOBAHN」では、ワイルドでスケールの大きな神保さんのプレイが印象的。大髙さんとの出会いが神保さんのプレイ・スタイルに新たな一面を加えたようにも思います。

    野呂一生
    大髙清美
    鳴瀬喜博

    そしてそして、神保さんがマイクを握り「感動的なメッセージが?」と思いきや、冷静かつ淡々と「近頃は孫に夢中です」という話をされ、自身を“ジジンボ彰”と名乗られました(笑)。「これからはカシオペアを外から応援していきます」と挨拶をして、神保さん作品で一番多く演奏してきたという「MID-MANHATTAN」をド迫力で演奏。2ステージ目の後半という疲れなど一切漂わさず、鍛え抜かれたインナー・マッスルで体幹をビシッと保って鋭いキメ&ソロを連発していく姿はウルっとくるほど感動的でした。曲が終わった瞬間、声援NGだったはずの客席から「イェーイ!」がたくさん聞こえたのはココだけの話です。続いて印象的なギター・イントロからスタートする「BEYOND THE GALAXY」、そして本編の最後は名曲「ASAYAKE」でした。今となっては決して驚愕テクニックではないカウベルの4分打ちも、当時夢中で練習していたキッズ(筆者)にとってはグワーッと熱くなる瞬間。“サビで拳を突き上げるインスト”というのもこの曲が元祖でしょうか? 客席の平均年齢は高めだったと思いますが、みんなで一体となって盛り上がれたのも幸せでした。本編終了後、鳴り止まぬ拍手の中で再びメンバーがステージに戻り、アンコールで演奏されたのは「DAZZLING」。この選曲がまたシブくて、まるでエンドロールが映し出されるような中で熱いライヴがクールに閉じていきました。

    さて、筆者が初めて本物のカシオペアを見たのは高校生のとき。一橋大学の兼松講堂で行われた学園祭でした。対バンは渡辺香津美バンド(ドラマーは山木秀夫さん)という豪華なライヴで……と書きだすと止まらなくなるように、同年代には“カシオペアと私”を語りだすと饒舌になる音楽仲間がたくさんいます。今回、東京、横浜、そして最終の大阪に参加されたみなさんも、いろいろな形でカシオペアに出会い、それぞれの思い出を持っているのではないでしょうか? カシオペアの歴史はこれからも続き、神保彰さんの歴史も続くわけですが、このツアーでの思い出はまた“カシオペアと私”を語る上での大切な1ページになったと思います。

    2022 Billboard Live Tour「A.J.FINAL」
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