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Archive Contents – 青山 純選曲のコンピレーション
- Photo:Tetsuro Sato
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine
- Special Thanks:Hideki Aoyama
本日3月10日は2013年に急逝した青山 純氏の生誕記念日。日本を代表する名ドラマーの功績を振り返るべく、2007年7月号の特集「最高!私的コンピレーション」で、青山氏が自身の参加作から選曲した“セルフ・コンピレーション作品”の楽曲と、その選曲理由について語ったインタビューを公開。数々の名曲にそのグルーヴを刻んできた氏が選んだ楽曲とは?
Compilation……『歌って叩いて30年・青山 純』
1.「SPARKLE」 山下達郎
2.「ミエナイチカラ」 B’z
3.「壊れかけのRadio」 徳永英明
4.「Jupiter」 平原綾香
5.「DANCE WITH ME」 CHEMISTRY
6.「サバンナの夜」 吉川晃司
7.「君に会えない日も」 V6
8.「Love Call」 Kiroro
9.「RIDE ON TIME」 山下達郎
10.「果てなく続くストーリー(Live Ver.)」 MISIA
曲に重厚な柱を立てることが自分のトレード・マーク
●ご自身が参加した楽曲で考えていただいた“Compilation 1”ですが、“歌って叩いて30年・青山 純”というタイトルが面白いですね。青山さんのドラマーとしての歴史がこのタイトルに凝縮されているように思います。
青山 まさにこんな感じでやってきましたからね。
●1曲目に選んでいただいたのは山下達郎さんの「SPARKLE」。事前にいただいたメモでは、この曲が青山さんの名前を轟かすきっかけになったとありましたが……。
青山 最初は「RIDE ON TIME」だと思いますけど、認知され始めたのはこの頃からですね。「SPARKLE」を人前で演奏したのは、まだアルバムが出る前で、お客さんは知らないから当然シーンとしているんですよ。その後アルバムが発表されて、段々世に浸透していく間に、イントロのギター・カッティングだけで、“ワーッ”と盛り上がるようになったんですね。あれは快感でしたね。
●2曲目に選んでいただいたのはB’z「ミエナイチカラ」です。
青山 これは“ぬ〜ベ〜先生(地獄先生ぬーベー)”のテーマだったんですよ。ウチの子供がまだ小さかった頃なんですけど、子供が見るアニメの曲に参加しているっていうのは良かったですね(笑)。そのことを抜きにしても、曲自体、最初に録音したときから良いなと思っていました。
●個人的にはB’zでの青山さんの骨太なドラム・サウンドがすごく印象に残っています。
青山 良い音ですよね。この頃もドラムはソナーを使っています。B’zは他の曲も挙げようと思ったんですけど、キリがなくなるので「ミエナイチカラ」にします。
●3曲目は徳永英明さんの「壊れかけのRadio」。このレコーディングのことはよく覚えているそうですね。
青山 とにかく良い曲で、ベスト・マッチだなぁって、自分とリンクしたのを覚えています。徳ちゃんと言えば、僕の中ではこの曲。名曲ですよね。
●続いて4曲目は平原綾香さんの「Jupiter」ですが、この曲に参加されているとは知りませんでした。
青山 意外とそういう人が多いんですよ。アレンジが重厚なんで、“青山 純”っていうのはわかりにくいですけど、これも良い曲ですよね。綾香が全然有名になる前にレコーディングしたんですけど、気がついたらすごいヒット曲になってました。
●5曲目はCHEMISTRYの「DANCE WITH ME」。この曲は重厚な4つ打ちのダンス・ビートが印象的ですね。
青山 この曲は2000年にあえて80年代の王道のディスコ・ビートをやるっていうのが面白いと思って挙げてみました。次の吉川(晃司)君の「サバンナの夜」も同じディスコ・ビートなんだけど、これは最近の曲。打ち込みを生に差し替えて欲しいっていうリクエストでやりました。吉川君とはけっこう一緒にやってるけど、こういった曲も面白いかなと思って挙げてみました。
●次はV6の「君に会えない日も」ですが、ジャニーズの楽曲もけっこう参加されているんですね。
青山 「君に会えない日も」はMISIAで一緒にやってる鈴木健治さんのアレンジで、演奏にもMISIAバンド的な要素が入ってます。アイドル路線の曲なんだけど、よく聴くと青山印が出ている。そういう曲も面白いなと思って選びました。ジャニーズもけっこう多くて、関ジャニ(∞)なんかもやってるんですよ。意外でしょ?
●確かに意外ですね。意外と言えば8曲目に選んでいただいたKiroroの「Love Call」も個人的には意外でした。
青山 これは同じ事務所の重実 徹さんのアレンジで、なかなか良いんですよ。Kiroroってバラードのイメージが強いけど、意表をついてアップ・テンポの曲を選んでみました。ここでは、軽快な青山 純が聴けます。自分で言うのも何ですけど、女性の歌モノって良いものが多いんですよ。
●次は青山さんの代表曲とも言える「RIDE ON TIME」です。
青山 これはやっぱり外せないかなぁ。僕と伊藤広規さんが世の中に出る最初のきっかけになったものだし、自分のキャリアの中でも大きなウェイトを占める作品の1つですね。達郎さんにはオシャレで洗練されたイメージがあるかもしれませんけど、現場は非常に野蛮なロックです。グルーヴ的にはAC/DCとほとんど変わらないですからね。1曲目に挙げた「SPARKLE」のイントロだって、KISSの「デトロイト・ロック・シティ」からヒントを得て作ったものですから。
●ラスト10曲目はMISIAの「果てなく続くストーリー」です。この曲はライヴ・バージョン(『MISIA GREATEST HIT』収録)を選んでいただきました。
青山 このテイクはツアーを重ねて、慣れてきたちょうどいい時期に録音したもので、スタジオ・バージョンよりも派手に盛り上がっている音で、あえてライヴの方を選びました。
●今回挙げていただいた曲を順番に聴いてみたのですが、時代ごとに青山さんのグルーヴやサウンドに変化や違いが見えたのが印象的でした。
青山 時代によって自分の意識してない間に変わっているとは思いますけど、基本にあるのは同じ青山 純でしかないんですけどね。
●確かに違いや変化は時代ごとにありますけど、共通して感じるのは歌心と安定感、そしてロック魂でした。
青山 うん、その通りですね。基本的に僕はロックな人間なんですよ。だから何をやってもロックのニュアンスが出てくる。ただロックな人なんだけど、ブラック・ミュージックも好きになって、歌モノも好きになって。それが混ざって自分のカラーになっているかもしれない。フィルはプログレの要素が入っていて、バック・ビートは重たい16みたいな。そしてそれらで重厚な柱みたいなものを曲に立てる。自分を分析するのは難しいけど、それこそが青山 純のトレード・マークなのかもしれないね。
関連情報
青山 純氏の息子で、今や世界の舞台でも高い評価を得る青山英樹。今年デビュー15周年を迎える彼が初表紙を飾るドラム・マガジン2021年4月号が3月16日にリリース! インタビューの中では、父である青山 純氏とのエピソードについてもたっぷりと語っております。