1992年に急逝した伝説のドラマー、ジェフ・ポーカロ。その死から28年経った現在も不動の人気を誇っている。ここではそんなジェフの代名詞とも言えるリズム=“ハーフタイム・シャッフル”にフォーカス。キース・カーロックの証言に続く第二弾では、「ロザーナ」のグルーヴをLogicを使って数学的に分析するという実験的な内容だ。まずはその言葉を初めて耳にした人でもわかるように、そのハーフタイム・シャッフルについての基本解説からスタートしていこう!
ベーシックなシャッフル・ビート
まずは“ハーフタイム”という部分を一度忘れて、「シャッフルとは何だ?」から確認。Ex-1aがベーシックなシャッフルのドラミングだ。3連符をベースに“チッキ・チッキ”と弾むノリが特徴。実際の演奏ではEx-1bの両手打ちスタイルでプレイすることも多い。どちらの場合でも、また手足のパターンがいろいろと変化しても、アクセント位置を2拍目と4拍目にすることで、ベーシックな“シャッフル・ビート”が成り立つ。
ハーフタイムとは?
続いて“ハーフタイム”について。ここではシンプルなリズム譜で考えてみよう。Ex-2aはアクセントの位置をEx-1と同じように2、4拍目につけた譜。Ex-1のシャッフルの骨組みはコレだ。対するEx-2bはアクセントを3拍目につけたパターン。この2つを同じテンポで表現すると、前者に対して後者は“半分のテンポ”になったように感じられる。これがリズムにおける“ハーフタイム”の感覚だ。
ハーフタイム・シャッフルとは?
そしてEx-1aのパターンをEx-2bのアクセント位置で演奏するとハーフタイム・シャッフルになる。その一例がEx-3。このフィーリングを基本として、足のパターンを変えたり、ゴースト・ノートを組み込むことで、“刻み方は細かいのに、ユッタリと大きなノリ”という独特のグルーヴが生み出されていく。これから挑戦する人は、まずこのEx-3をシッカリと固めてからステップ・アップしていくと良いだろう。
ジェフ・ポーカロ流ハーフタイム・シャッフルとは?
このハーフタイム・シャッフルのフィーリングをベースにし、さらに独自のエッセンスを盛り込んだのが、TOTOの名曲「ロザーナ」で聴ける“ジェフ・ポーカロ流ハーフタイム・シャッフル”だ。これはジェフの教則ビデオ『Jeff Porcaro』を観れば、成り立ちから魅力までが一目瞭然。ぜひチェックして欲しい。映像の中でジェフ本人が述べてる通り、「ロザーナ」のビートを作るに当たって2つの曲がヒントとなっている。それはバーナード・パーディーが叩くスティーリーダンの「安らぎの家(Home at last)」、そしてジョン・ボーナムが叩くレッド・ツェッペリンの「フール・イン・ザ・レイン」だ。これも知識としてだけではなく、ぜひ実際の音源を確認してみよう。“このカッコいいグルーヴを俺流に叩くぞ!”という、当時のジェフの心意気(!?)が汲み取れるかもしれない。その“俺流”の決め手となったのが、1拍半シンコペーションが基本の“ボ・ディドリー・ビート”(Ex-4)。これをキックのパターンに組み込むとEx-5となる。ジェフのフィーリングにトライするならば、このEx-5も通過点として必ずクリアしておこう。
「ロザーナ」のビートを作るに当たってジェフが参考にした2曲
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