SPECIAL
UP
close up! – Roland V-Drums Acoustic Design
- Text:Isao Nishimoto Photo:Taichi Nishimaki Video:Shigeki Azuma(A-Frank.llc)
Part.3 そうる透&松浦千昇が語るV-Drums Acoustic Designの実力
ここでは、2月7日に行われた“SOUND SPARK 2020”で、VAD506を駆使して貫禄たっぷりの演奏を披露した重鎮=そうる透、そして圧巻のパフォーマンスを繰り広げた新鋭の松浦千昇による、V-Drums Acoustic Designの試奏レポートをお届け。さまざまなフィールドで活躍する2人が感じたV-Drums Acoustic Designの実力とは?
Impression ♯1 そうる透
バスドラを“ドンッ”って踏んだらビーターがグッと沈む……そこまでリアルに再現するのかって驚いた
僕は歴代のVドラムを使ってきたけど、今回のV-Drums Acoustic Designは本当にすごいね。レスポンスもそうだし、力の入れ方もいわゆるパッドに対するそれとは全然違う。テストで叩かせてもらったときに、“あれ!?”って思わず声を上げちゃいましたから(笑)。
見た目もそうだけど、何よりも叩いたときの感触だね。スティック触りっていうのかな、叩いたときの衝撃がスティックを通して手に伝わってくるし、バスドラを“ドンッ”って踏んだらビーターがグッと沈む。そこまでリアルに再現するのかって驚いた。今回のは特に、すごくフラットな状況で演奏できる。速いツーバスなんかは生ドラムと同じようにセッティングしないと踏めなくて、そういうところも含めて生ドラムと一緒というか、本当にリアルだよね。
▼ VAD506 × そうる透
ダイナミクスもちゃんと追随してくれるね。生のドラムを叩いているときは、何段階かに分けてコントロールしているわけなんだけど、それと同じ感覚で音量がついてくるんだよね。特にデジタル・パッドのスネアとライドはすごい。ライドでレガートを続けていると、それが連なってウェーヴになって、グルーヴが出てくるんだけど、それは生のシンバルでしかできないと思ってたの。このライドはデジタルなのにちゃんとそのウェーヴが出るの! ライドの腹(ボウ)を軽く叩いたときと強く叩いたときの“ガーン”っていうニュアンスもちゃんと違うしね。これは衝撃だった!! それはスネアでサイド・スティックをしたときも同じ。ものすごい情報量が集約されているなと思った。
みなさん、とにかくV-Drums Acoustic Designのデジタル・パッドを体感してください。そしてバスドラの踏んだ感触もぜひ体感してください。とても面白いことになると思います。
【Live Gear】
SOUND SPARK 2020でそうるが使用したV-Drums Acoustic DesignシリーズのVAD506。タムを大きく傾け、さらにライド・シンバル(CY-18DR)は垂直気味にセット。このように自由度の高いセッティングが可能な点も同シリーズの魅力。右手側にはバッキング再生用のSPD-SXが配置されている。スネア・ドラムの音色は本人が好みというスティールの“鳴き”を再現するため、倍音やバズの響きを調整。キックとタムはアタックを抑えたサウンド・メイクを施しているという。連動動画で聴ける残響音を付加したクローズド・リム・ショットのリッチな音色にも注目だ。
Impression ♯2 松浦千昇
自分の出したいニュアンスが限りなくアコースティック・ドラムに近い状態で出せる
僕がドラムを始めた頃、もう電子ドラムは当たり前の存在になっていて、当時家で練習するときはVドラムのTD-11を使っていたんです。僕の中ではそこからVAD506になるので、あまりの進化ぶりに驚きました。ルックスもカッコいい上に、叩く距離感もアコースティック・ドラムと同じなので、フォームの確認だったり、これまで難しかった実践的な練習にも使えると思いました。
TD-27はレスポンスの良さがすごいと思いました。本物のライド・シンバルをスウィングしたときのような抑揚もあったり、音の繋がりも滑らかで、場所によるタッチの違いもしっかりと再現されていて驚きました。それは全部のタイコに言えることなんですけど、こんなに細かいニュアンスまで表現できるんだって進化を感じましたね。弱く叩くところからハード・ヒットするところまで、すべてに対応してくれて、自分の出したいニュアンスが限りなくアコースティック・ドラムに近い状態で出せているなと思います。
▼ VAD506 × 松浦千昇
サウンドはプリセットとして最初から入っている音色が、すでに音楽ジャンルの特徴を捉えていて、どれも“わかる、わかる!”っていう感じでしたね。一番ビックリしたのがヘッドの種類を選べることで、その違いもすごく鮮明に出ていて。音の作りがいがあるなというか、こだわりをとことん出せます。エフェクトもたくさん入っているので、“この音にコンプかけたらどうなるんだろう?”っていう感じで、もうずっとやっていたいです(笑)。
V-Drums Acoustic Designは見た目もカッコいいんですけど、叩いたときの感触やレスポンスが良くて、アコースティック・ドラムと同じ感覚で叩くことができます。ヘッドの張り具合いもチューニングで変えてしまえば、各タイコの叩いた感じも再現できて、音を作り込めば作り込むほど、どこまでも可能性があるドラムだなと思います。
【Live Gear】
松浦もそうると同じくV-Drums Acoustic DesignのVAD506を使用。オーソドックスなセッティングで、左手側には普段から愛用しているというSPD-SXが並ぶ。音色はかなり作り込んだそうで、特にスネアはライトなハイピッチ・サウンドと、ミッド・ローの効いた骨太な音色を使い分け。シンバルの音色も楽曲に合わせて、クラッシュ、チャイナ、スタックなどのモデルをセレクトしたそうだ。またアコースティック・ドラムで演奏する際、スタック・シンバルにタンバリンを乗せているが、今回はTD-27のサブインスト機能を使って、その音色も再現。イメージするサウンドを変幻自在に具現化することができる。
◎Profile
そうるとおる:1958年生まれ。5歳で音楽隊に入隊し、12歳でドラマーとしての活動をスタート。米軍基地などでの仕事を重ね、15歳からスタジオ・ワークも開始。多くのトップ・ミュージシャンや個性豊かなシンガーらと数々のスタジオ・ワーク&セッションを重ね、参加曲は数千曲を越える。ジャンルにおいてもジャズ、フュージョンからポップ・ロック、メタル、さらには演歌、吹奏楽など多岐に渡るが、どのジャンルにおいても、ドラマーとして常に個性を発揮し続けている。
◎Information
そうる透 Blog Twitter
◎Profile
まつうらゆきの:尚美ミュージックカレッジ専門学校ジャズ・ポピュラー学科卒業。7歳でドラムを始め、専門学校でJAZZやR&B FUNKを本格的に学ぶ。現在は自身のプロジェクトであるYukino & FamPocket、空間での活動の他、黒船を筆頭にアーティストのサポート・ドラマーとしても活躍中。
◎Information
松浦千昇 Twitter YouTube