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    ナッシュビルより世界へ広がるスティック・ブランド Innovative Percussion(前編)

    • Contents & Text:Rhythm & Drums Magazine 
    • Photo :Takashi Yashima 

    ●ドラム・スティックの各シリーズについて詳しく教えてください。

    IP 私達はVintage、Legacy、Innovationの3シリーズをラインナップしています。
     Vintage Seriesは04 年に作ったすべてのドラム・スティックの基本となるシリーズです。先述のエド・ソフと幸運にも契約できたことで、Vintageの製作に大いに貢献してもらいました。エドは自分のシンバルの鳴らし方にマッチするドングリ型のチップを探していたため、ES-1 とES-2 を開発しました。ES-1はメイプル、ES-2はヒッコリーで、素材によるサウンドの違いが楽しめます。この経験を私達の原点とし、このデザインを取り入れ、今日のVintageへと適用しました。ラインナップは7A、5A、5AB、5B、2Bで構成されています。このシリーズはミディアム・テーパーで、長さはすべて409mm(16 1/8 inches )です。ドングリ型のチップはライド・シンバルの上で豊かで温かく、はっきりとしたサウンドを奏でます。

    Innovative Percussion – Vintage Series

     Legacy Series はVintageと多くの特徴と共通性を持たせており、違いはチップの形状です。このシリーズの多くはティアドロップ型のチップを採用することでVintageとは異なるシンバル・サウンドを得ることができます。またネックは少し細くなっており、タッチもわずかに違います。ラインナップは7A、5A、5AB、5B、2BというVintageと同じ構成でナイロン・チップの選択が可能です。また7A、5A、5Bではメイプル材も製造しています。さらに5Aと5Bでは長いバージョン(5AL、5BL)もあります。他のデザインとしては1A、 3A、8A、9A がラインナップされています。

    Innovative Percussion – Legacy Series

     最後に、Innovation Seriesです。私達は“descriptor”と呼んでおり、各スティックがそれぞれを説明=describeする名前がつけられており、Smooth Ride、Cool Ride、Hybrid、Big Band、Rock、Nashville、LA Sessionというモデル名になっています。HybridとRock スティックはナイロン・チップ仕様もあります。それぞれのモデルがとてもユニークなモデルになっています。

    Innovation Series
    SMOOTH RIDE(IP-SR)

    ●シグネチャー・モデルを開発する上で、“こんなアーティストからこういうリクエストがあった”など、面白いエピソードがあれば、教えていただけますか。

    IP デザインの工程がアーティストと仕事をする上で最も楽しいところです。アーティストは通常いくつかのアイディアを持って私達のところへやって来るか、どのようなタイプのサウンドやフィーリングが欲しいかを説明してきます。私達の製作チームは、手作業でプロトタイプを作り、個々のアーティストに対して完璧な答えが見つかるまで何度もやり取りを繰り返します。アーティスト1人1人の答えが違うため、時にさまざまなスティックのデザインを組み合わせることで解決することもあります。例えばブルックス・ワッカーマンの場合、彼のスティックはInnovation Series のNashvilleとRockのコンビネーションで作られていますが、チップは反対の仕様になっています!

    Brooks Wackerman’s
    Signature Sticks

    ●ブラシやロッズについても製品の概要を教えてください。

    IP 現在IPでは、WBR-1とWBR-2という2 種類の格納式ブラシを用意しています。またナイロン・ブラシに関してはさまざまなゲージ(太さ)で格納式、固定式の両方を用意しています。シグネチャー・モデルとしては“Chad Wackerman Paintbrush – BR-CW”と“John JR Robinson BR-JR1”と“BR-JR2”があります。また幅広い種類のロッド、ブルーム・スティック、オルタナティブ・スティックなどをさまざまな用途向けに製作しています。

    Chad Wackerman
    demonstrates the BR-CW Paintbrush!
    IP Brushes and Alternative Implements

    ●IPはビーターも作っていますが、いつ頃から開発しているのですか? またサウンドやアタックなど、コンセプトなどがあれば教えてください。

    IP 始めてビーターを作ったのは15年のことで、クリス・マキューのKDB-1 からでした。KDB-1はユニークにデザインされた低音域が強調されるビーターで、毛糸巻きにすることでアタック感と高音域をカットすることに成功しました。20年にKDB-2とKDB-3 を新たに発表しており、Cloud Beaterとも呼ばれるKDB-2は、20〜40年代頃のクラシック用のビーターをもとにデザインされ、さまざまなスタイルのビッグ・バンドやジャズ、70 年代ロックに最もふさわしいビーターです。一方でKDB-3 は、ブルックス・ワッカーマンのシグネチャー・モデルで、アベンジド・セブン・フォールドのドラムをプレイする上では、速く、精巧なリズムのベース・ドラム・プレイが要求されます。KDB-3 はまさにその目的で作られました。木製のボールが強いアーティキュレーションと最適なアタック感、パンチを生み出します。最後に、ジム・ライリーのシグネチャー・モデル=KDB-BPを今年発表しました。KDB-1 と似た毛糸巻きを特徴とし、耐久性がありながら素晴らしい低音とはっきりとしたアタックを求める人に最適です。

    Chris McHugh and the KDB-1 Kick Drum Beater
    KDB-3 Kick Drum Beater
    Brooks Wackerman
    BP-1 + KDB-BP
    Jim Riley

    ●最後に日本のドラマーにメッセージを!

    IP 私達は信頼関係がもとに成り立っており、最高のドラマー/パーカッショニストの意見を聞き、ともに働いています。そしてそれは今日のドラマーの多様なニーズに応える上では必要不可欠なことです。IPの製品は、パーカッショニストやドラマーのためにパーカッショニストやドラマーが作った製品です。一度でもトライしてもらえれば、最高の品質であることを納得していただけると思います。Innovative Percussion を選んでくれてありがとうございます!

    *後編は芳垣安洋&伊藤大地両氏の試奏レポートをお届けします!お楽しみに!