SPECIAL
UP
Featured Drummer- アニカ・ニルス
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Interpretation & Translation:Akira Sakamoto
- Photo:Jules Bartolomé,Anika Nilles(Equipment)
両足でラテン系/左手で自由なリズムを叩いて
“四肢の独立性”を身につけるよう心がけている
●シンバルは曲に応じて変えるというお話でしたが、キットはどの曲も同じものを使うんですか?
アニカ 基本的にキットはいつも同じTAMAのStar Bubingaを使って、シンバルとスネアを曲に応じて変えているの。ただし、ベース・ドラムのチューニングは曲に応じて変えているわ。シェルはブビンガが好きで、特に録音のときには、ブビンガよりも良いキットは使った覚えがないというほど気に入っているのよ。
●シンバルはドライでダークなサウンドのものを使うことが多いというお話でしたが、「The Age」や「Pure」といった曲ではブライトなサウンドのものを使っていますよね?
アニカ ブライトな音色のシンバルを使ったのは、楽曲に相応しいと思ったからよ。確かにブライトなシンバルだと、会場によっては高音が響きすぎて耳障りになることもあるけど、裏に小さなテープを貼って一番高い成分を少し抑えると、使いやすいサウンドになることがわかったの。
●イスの高さはどうやって決めていますか?
アニカ イスはかなり高くしているの。両脚をリラックスさせて、上から下に踏み込むように演奏できるようにするためよ。脚を上げるためのエネルギーをあまり使わずに済むし、足の角度をいろいろと変える奏法もやりやすくなるわ。ドラムもかなり低めにセットして、手を振り上げる動作を抑えて、振り下ろす動きを有効に利用できるようにしているの。いろいろな部分でエネルギーの無駄を極力減らすようにしているわ。
●練習法についてですが、四肢を自在にコントロールするために、何か具体的な練習をしていますか?
アニカ そうね、ブラジル音楽のパターンを両脚で踏みながら両手でいろいろなパターンのリズムを叩く、というのをやっているわ。あとは、四肢の独立性を身につけるために、両脚でやはりラテンの何かのパターンを踏んで、右手も何か一定のパターンを刻みながら、左手だけ自由にいろいろなリズムを叩くという練習もしている。左手はインプロヴィゼーションでやることもあれば、譜面に書いたものをやることもあるわ。
●では最後に、延期になってしまいましたが、クリニックの参加者に向けてメッセージをお願いできますか?
アニカ ウイルスの問題ができるだけ早く解決して、スケジュールが出せるように願っているわ。東京で初めて開催するクリニックだから、みんなとお会いしたり質問に答えたり、人生についてお話したりするのを楽しみにしてる。デモ演奏も最高のものを聴かせられるように準備して、クリニックをみんなと一緒に楽しんで、終わった後に良い印象を残すことができればと思うわ。
【Equipment】
『For a Colorful Soul』のレコーディングでも使用したアニカの愛器は、TAMAのSTAR Bubinga。特に録音のときには、ブビンガより良いものは使った覚えがないと言うほど、アニカお気に入りのキットとのこと。1バス+2タム+1フロア・タムのシンプルな構成だが、奏者左側に12″タム/右側に10″タムが配置されているのが特徴。ハイハットの左にはMini-Tymp Snareが設置されており、サイドに取りつけられたノブを回すことで打面ヘッド裏側にあるスナッピーの当たり具合いを調節し、音色を変えている。シンバルはすべてマイネルで、穴空きなどのエフェクト系も含め個性的なモデルが並ぶ。以前からの彼女の好みでドライ系がメインだが、奏者右手側にある大口径のライド・シンバルなども導入し、楽曲によってブリリアントなサウンドのものもセレクトするようになったそう。スネア・ドラムはStarphonicのアルミニウム・シェル、フット・ペダルはDyna-Syncシリーズをチョイスしている。
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