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    著者・長野祐亮氏に聞く『超ドラム初心者本』制作の内側

    • Interview & Text:Isao Nishimoto

    リズム&ドラム・マガジン監修のもと、“究極のビギナー本”をコンセプトに作られた『3000円で“できるドラマー”になれる!超ドラム初心者本』は、初心者向け教則本としてハードルを下げつつ、中身の濃いコンテンツが盛りだくさん。これからドラムを始める人が気軽に取り組めて、ある程度叩けるようになってからも長くつき合える1冊になっている。ここでは、著者である長野祐亮氏へのインタビューを通して、『超ドラム初心者本』制作の内側に迫ってみた。

    “フィルインって何ですか?”
    そんな人にも伝わるように

    そもそもこの本は、長野さんがずっとチャレンジしてみたかった企画だそうですね。

    長野 やっぱり、“入口”って一番大事じゃないですか。僕は音楽教室でドラム講師も務めていますが、まったく叩いたことのない人が体験レッスンなどで初めてドラムに接するとき、これは楽しそうだ、長く続けられそうだっていうのがそこで決まるような気がするんです。第一印象で、自分でも叩けるんだと思ってもらえるどうかが勝負だと思っているので、そんな本を作れたらいいなと。

    気軽にドラムを始めてもらえるような……

    長野 本にも書きましたけど、僕がドラムを始めたのは、中学生のころ友達に誘われてバンドを組むときベースかドラムの2択で、安く始められるからドラムを選んだというのがあって。そういう間口の広さも伝えたかったですね。

    初心者向けのドラム教則本は世の中にたくさん出ていますが、それらを見て、もっとこうだったらいいのにみたいな気持ちもあったのですか。

    長野 それはあまりなかったです。ただ、レッスンで初心者の方から質問をされて、“あっ、こういうことに疑問を持つのか”とか、“こういうことがわからないんだな”というのが僕の中にけっこうあったので、そういうのを提示できたらいいなというのはありました。

    すでに叩けるようになった人は、初心者がどこでつまづくのかを忘れがちなところもありますね。

    長野 ある生徒さんから、“教則本でフィルインという言葉が出てきた瞬間に萎えました”って言われたことがあって。僕らは普通に使っている言葉でも、それを知らない人にとってはわからないのが当たり前じゃないですか。僕自身そんなこともわからなくなっているんだなと、そういうときに気づかされるんです。今回の本でも、専門用語が出てくるところでは、まずその説明をするように気をつけました。

    そういう説明を丁寧にしているためか、けっこう文字が多めなページもあります。

    長野 なるべく文字は少なくしようと最初は思っていたんですけど、書いているうちに増えていったところはありますね。逆に、ドラム・セットの解説をしているページはカラー写真を大きく使って、メリハリのある構成にしました。あれは編集部の方からいただいたアイディアなんですけど、ちょっと図鑑っぽくて気に入っています。

    本書Lesson3「まるっとわかるドラム・セットの構造」より。長野氏が言うように、“ちょっと図鑑っぽい”見せ方が特徴。この後、バス・ドラム、スネア・ドラム、タムタム……と各パーツの解説が続く。

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