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    ドラムが叩けるプライベート・スタジオ ― コンテスト活用術 Vol.1

    ドラマーであれば “自宅でドラムを叩きたい!”という願望を誰しも一度は抱くもの。ドラマガ本誌では、プロ用のスタジオやライヴ・ハウスの防音/音響工事も行うアコースティックエンジニアリングによる施工で実現した“夢の自宅スタジオ”を紹介する連載をお届けしているが、今回はその特別編として、“誌上ドラム・コンテストでの自宅スタジオ活用”をテーマに、本誌2016年4月号で取材したMさんのお宅をフィーチャー。コンテストに応募する際のスタジオ内でのアプローチ作りやドラム・レコーディング、そして演奏動画の撮影に至るまで、存分に語っていただいた。

    東京都 Mさん宅スタジオ

    緑色の吸音パネルが印象的なMさんのスタジオ(2016年撮影)。広さは約5.9畳で、自宅の新築時に作ったスペースとのこと。ドラムについては、基本的にいったん楽器の配置が完了したら長い間同じセッティングでの使用を続けるそうで、機材を大きく入れ替えるのは数ヵ月おきの頻度だという。また、昨今のコロナ禍に伴い、リモート・ワークでもこのスタジオを活用しているとのことで、「家族が隣の部屋で話していても声が聞こえてこないので仕事にも集中できますし、自宅スタジオはこの時代にもマッチしていると思います」とMさんは語る。

    自分のスタジオがあると
    練習するモチベーションにもつながるし
    ドラムと向き合うことが増えるので
    自然とスキルも上がっていく

    Mさん:誌上ドラム・コンテストには長年応募していますが、自分のスタジオを作る前は、リハスタで2〜3時間部屋を借りて、限られた時間の中で必死にマイクを立てて応募作品をレコーディングしていました。その作業を年々重ねていくにつれて、“いつかプライベート・スタジオを作りたい”と思うようになったんです。

    自宅スタジオを活用している今では、だいたい締め切りの1ヵ月くらい前に準備を始めて、3週間ほどで素材を録り終えたら、残りの1週間で編集作業をして何とか締め切りに間に合わせるというのが例年のパターンになってきています。昨年のコンテストではまず“ハイハットを2台使ってみよう”とコンセプトを決めて、スタジオでアプローチを作り込んで、試しに何秒間か録ってみる……という流れで進めていきました。

    私のドラムは多点キットということもあって、一度セッティングして部屋にずっと置きっぱなしにしていられるのは自宅スタジオの大きなメリットだと思います。SNSに動画をアップするために普段からよくレコーディングをしているので、マイクも立てたままにしています。セットが組まれている状態だと、いつでも椅子に座るだけで練習に入れるのでタイム・ロスもなく、コンテストに向けてアプローチを練ったり、遊び心のあるセッティングを試す時間も充分にとれますね。

    レコーディング面では、音が響きすぎず、デッドすぎないくらいの塩梅になるようにスタジオを設計していただいたので、録り音もちょうどいい感じで満足しています。EQやコンプなどで自分の好きな音に作り込むときにも加工しやすいサウンドです」。

    ▲Mさんが自宅スタジオで撮影・録音を行った2020年の誌上コンテストの応募映像。ドラム・セットは、ヤマハのバーチカスタム・アブソルートにジルジャンのシンバルと、ジャムブロックやクラーベなどのパーカッションを組み込んだ1バス3タム2フロアの多点セッティングとなっている。今年の応募ではハイハットの2台使いをコンセプトにアプローチを練ったそうで、レコーディング用のトラックは全部で16ch使用しているとのこと。

    スタジオを作ったときにやっておいて良かったのは、部屋にLANケーブルを通したことですね。当時はこうしてオンラインを活用する世の中になるとは想像もしていませんでしたが、こういう時代にアコースティック・ドラムの演奏をネット上で気軽に公開できる手段があるというのは、本当に大きいなと思っています。

    ドラムの演奏動画を撮影するとき、地面にカメラ・スタンドを置くとバスドラの振動で映像がブレてしまうのは、よくあることですよね。その対策もいろいろと試す中で、“天井からカメラをつけられないか”と思って行き着いたのが、照明のダクト・レールに自作のカメラ・スタンドをはめる形で固定して、ドラムを上からのアングルで撮影するという方法なんです。私はこれでかなりブレを軽減できました。天井の設備を使うのは共有スペースだとなかなかできないことだと思うので、こういうことを試せるのもプライベート・スタジオならではですよね。

    ▲スタジオ天井からのアングルで撮影するため、Mさんが市販品を組み合わせて自作したというアタッチメント。写真のように、照明用ダクト・レールにはめ込んでカメラを固定するそうだ。

    ▲出入口は木製防音ドア×2枚。部屋の内外のインテリアに合わせて選んでいるのは定番の手法。

    ▲「太陽の光はぜひ入れたかった」というMさんの要望で、3重ガラスのFIX窓を2ヵ所に設置。

    私はバンドも組んでいるんですけど、メンバーとは最近、自宅にいながらリモート・セッションができるSYNCROOMを使ってよくリハーサルをしています。スタジオに行かなくても合わせられるのが気軽で、リハーサルの頻度はコロナ禍になってからの方がむしろ増えているんです(笑)。この状況下でバンド活動が停滞しなくて済んだのも、このスタジオがあるおかげですね。

    今、あらためて感じるプライベート・スタジオの魅力は、やっぱり時間を有効活用できることですね。大きな買い物になるのでやっぱり最初は思い切らないといけないですけど、そのぶんリターンはあると思います。自分のスタジオがあるとドラムを練習するモチベーションにもつながりますし、ドラムと向き合うことが増えるぶん、自然とスキルも上がっていくというか。特に今はコロナ禍という時代でもあるので、自分を向上させるのにより役立つ環境になると思います。

    Mさん Twitter➡︎@dmatsu28

    アコースティックエンジニアリングとは?

    株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。

    株式会社アコースティックエンジニアリング
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