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    山木秀夫×勢喜 遊[King Gnu]が語る“継承×創造”【2023年1月号掲載】

    ドラマガ最新号より
    山木秀夫×勢喜 遊による
    プレミアム対談を一部掲載!!!!

    発売中の2023年1月号にて実現した、“生きるレジェンド”山木秀夫と、現代音楽シーンのトップをひた走るKing Gnuのドラマー&サンプラー、勢喜遊による“継承×創造”対談。ドラマガWebではその対談の一部を掲載。2人の出会いと互いのドラミングについて語った部分を抜粋してお届け!

    裏表がないし忌憚もない
    すごくいい子だなと思った
    (山木)

    ●お二人は以前より交友があるということですが、山木さんが勢喜さんを知ったきっかけというのは……?
    山木
     僕が遊(勢喜)のことを知ったのは、井上(陽水)さんのトリビュート・アルバムでKing Gnuが「飾りじゃないのよ涙は」のカヴァーをやったでしょ?
    勢喜 はい。
    山木 あれで知ったの。遊がいいドラマーだなと思って。それからだね。

    ●勢喜さんはもともと山木さんの印象というか、イメージはいかがでした?
    勢喜
     日本一ギャラが高いドラマーっていう噂を聞いたことがあって……(笑)。
    山木 今は遊の方が高いんじゃない(笑)?
    勢喜 いやいやいや(笑)。

    ●それまで、演奏されているのを生で見たことはあったんですか?
    勢喜
     ないですね。でも(江川)ゲンタさんの昔の映像を見ていたら……MONDAY満ちるさんかな、それで(江川が)ティンバレスを叩いていて。ゲンタさんのソロが終わった後に、山木さんのドラム・ソロが入ってくるんですけど、すごいなと思いましたね。もちろん、ゲンタさんからも山木さんの話はずっと聞いてましたし。
    山木 ゲンタとの仲は古いからね。

    ●そうですよね。山木さんと勢喜さんに共通する方は何人かいるような気がします。陽水さんのトリビュートに参加されたことをきっかけに、バンドで陽水さんのライヴも見に行かれたという話も聞いたのですが……。
    勢喜
     見に行きましたね! もう3年くらい前……そのときもまだ面識がなかったんです。

    ●では実際にお会いになったのは……?
    勢喜
     ある日、近所のスーパーから帰ってくる山木さんを道端で目撃して、“あ、野生の山木さんだ”って思いました(笑)。それでご自宅に呼んでいただいて、ですね。

    ●お互い、会ったときの第一印象は覚えていますか?
    山木
     裏表のない人間だなと思った。忌憚のないことを言うし、別にそんなに恐縮してるわけでもないし、普通な感じでやってきたから、それはすごくいいなと思った。
    勢喜 怖いというお話はめちゃくちゃいろんな人から聞いていたんですけど(笑)、実際にお会いしてみると全然そんなことなくて、すごい優しくしてもらっています。

    山木 最初に会った日に、一緒にセッションしたよね。
    勢喜 そうですね。だから会った印象というよりは音を出したときの方がすごく印象深くて。ドラム2つだけでもすごく音楽的にしてくれるという感じでした。
    山木 うん、いわゆる普通のグルーヴのドラムのセッションじゃない感じ。
    勢喜 何というか“イチ”(1拍目)がどこにあってもいいみたいな、お互いのイチがそれぞれ違うところであってもいいまま進んで、それが音楽になっているという。
    山木 そうそう、それでグルーヴしているんだよね。すごく大きなウネりがあって、その中にずっといる感じ。窮屈な感じがしなかった。

    ●一緒に音を出して学ぶことってたくさんありますよね。
    勢喜
     ありますね。そういう時間の方が身になることの方が多いかもしれないです。
    山木 お互いに何かを感じ取り合うという、それがミュージシャンにとって一番大切なことだと思う。

    ●それまで山木さんの自宅スタジオでセッションをしたドラマーはいなくて、勢喜さんがその流れを作ったと聞いたことがあります。セッションの提案は勢喜さんの方から?
    山木
     ドラム・キットを見せていたときに、何となくスーッと始まっていったね。座って叩き始めたから、“これは面白いな”って(笑)。
    勢喜 (セッションする人は)それまでいなかったんですか?
    山木 1人もいなかった。みんな叩きたがらないね。
    勢喜 そりゃそうですよね(笑)。
    山木 だからね、そういうところが忌憚のない感じで(笑)。

    ●山木さんは「グルーヴは間(ま)」とよくおっしゃいますが、セッションしてみて勢喜さんの“間”はいかがでした?
    山木 遊の間は独特だね。まさに“遊の間”なの。それはやっぱり人間の個性そのものだと思う。ドラマーの場合は特にね。

    ●勢喜さんはそのとき山木さんの“間”をどう感じられましたか?
    勢喜
     それは当然すごいですよ。やっぱりこの歳にして、こんなにいっぱい叩けるんだというところもありますし、グルーヴが不思議で……山木さんってやっぱりルーツはジャズなんですか?
    山木 小さい頃、父親にジャズのコンサートに連れて行ってもらって、何を聴いたかは覚えていないんだけれども、帰りに楽器屋さんの前でドラムが欲しいって言ったらしい。

    勢喜 へえ〜、でもいわゆるジャズ・ドラマーがストレート・ビートを叩いてみたという感じではないですよね?
    山木 音楽っていうものを理解できる年頃になってからは、当時流行っていたポップスをやるようになったから、その影響も大きいね。ポップスから入って、ベンチャーズ、ビートルズ、(ローリング)ストーンズ、スプートニクスとか、そういう音楽に移って……でもその前にサンディ・ネルソンかな。アメリカでポップスのスタジオ仕事をやっているドラマーのソロ・アルバムが1枚、なぜか家にあって、それを聴いたりなんかして。でも中学に入ってからはバンドを組んでビートルズとか、物心ついたときはロックだった。最初からもろジャズということではなかったね。途中ジャズだけをやっている期間が4年間あったんだけども、そこからまた上京したらいろんなスタジオの仕事とか。

    勢喜 なるほど。山木さんはフュージョンの印象もありますね。
    山木 いろんな仕事が入ってきて、それに対しての知識も入れなきゃいけないし、ということでジャズからはちょっと離れた感じかな。

    ●そういうものの融合系が今の山木さんなんですね。
    山木
     そうそう。でも今でもジャズは好きで毎日聴いているし、ポップスもロックもクラシックも毎日聴いてる。音楽と共にある。まあこれしかないからね(笑)。


    本誌ではさらにグルーヴのあり方や機材談義、そして2人の最新機材について詳細にレポート! 続きはぜひドラマガ2023年1月号で!

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