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スティーリー・ダン、ボズ・スキャッグス、マイケル・ジャクソンなど数々の傑作にセッション・ドラマーとしてその名を刻み、TOTOのメンバーとしても大成功を収めた伝説のグルーヴ・マスター、ジェフ・ポーカロ。ここでは彼の功績を語り継ぐべく、生前ジェフとも親交のあった沼澤 尚が選んだ“ジェフの名盤100”を10日間に渡って紹介! 8日目=Vol.08では、音楽史に残るセールスを記録した『Thriller』を含む82〜84年の作品をラインナップ!
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『Windsong』/Randy Crawford(1982年発表)
名プロデューサー、トミー・リピューマが手がけたポップな感覚に優れた作品で、上質なAORサウンドをバックに伸び伸びと歌うランディのキュートなヴォイスが魅力的。特にM1に収録されたビル・ラバウンティのカヴァー「ルック・フーズ〜」は印象深いが、これはオリジナルもジェフが担当しており、その対比も興味深い。(長野祐亮)
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『Sleepwalk』/Larry Carlton (1982年発表)
ラリー・カールトンの3枚目となるソロ・アルバムで、ジェフは8曲中5曲に参加。大人の雰囲気の漂うムーディな曲調が多く、リラックスした味わいの深いジェフのドラミングを聴くことができる。ベースのエイブラハム・ラボリエルとのコンビネーションの心地良さや、ギターの音色の素晴らしさも特筆すべき点である。(長野祐亮)
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『Thriller』/Michael Jackson(1982年発表)
TOTOがグラミー賞を独占した翌年は、その彼らが全面的に参加して地球レベルの歴史的メガ・ヒットになったこの『スリラー』の年。先行シングルの「ガール・イズ・マイン」について、“ポールとマイケルのデュエットでそれもモータウン・グルーヴをレコーディングしたんだ”と興奮してジェフが語っていたのが印象的。(沼澤 尚)
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『Jarreau』/Al Jarreau(1983年発表)
LAに住み始めて間もなくタワレコでこのアナログを買って、通っていた音楽学校のPITから歩いて5分の自分のアパートにダッシュで帰宅。針を落としてオープニング曲「モーニン」を初めて聴いたときの感動ったらなかった。何があってもこのイントロの4小節ですべてが解決しちゃう夢のような偉大なトラック。(沼澤 尚)
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『Ross』/Diana Ross(1983年発表)
スティーリー・ダンのプロデューサーとしても名高いゲイリー・カッツが手がけた5曲をジェフがプレイ。マイケル・マクドナルド、ドナルド・フェイゲン、マーク・ジョーダンといったAORの名手達が楽曲を提供しており、そのしっかりと練り込まれた完成度の高いサウンドに、ジェフの安定感のあるプレイが光っている。(長野祐亮)
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『James Newton Howard & Friends』/James Newton Howard & Friends(1983年発表)
ヤマハのシンセサイザーのためのデモ演奏企画がアルバムになった作品。キーボード奏者で作編曲家のハワードと、デヴィッド・ペイチ、スティーヴ・ポーカロのによる3キーボードとジェフという変則的編成。内容は“TOTO流フュージョン”といった感じで、ダイレクト・カッティングのため生々しいドラム・サウンドが聴ける。(菅沼道昭)
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『Trouble In Paradise』/Randy Newman(1983年発表)
ジェフの地元でもあるバーバンクにあったワーナー・ブラザースの“バーバンク・ミュージック”を代表するアーティストのアルバム。風刺とユーモアに満ちた歌詞とアメリカ音楽への“郷愁”が融合された音楽性が特徴で、時代の流れに添ったサウンドとノスタルジックな感覚を、絶妙に結合させていくジェフのプレイは秀逸。(菅沼道昭)
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『Friends』/Larry Carlton(1983年発表)
1983年発表のLAを代表するギタリスト、ラリー・カールトンのソロ作。”Friends”のタイトル通り、全幅の信頼を寄せる仲間との濃密な演奏が心地良い。全8曲、すべてのドラムをジェフが担当(ジェフの父、ジョーもperで2曲に参加)。どっしりとしつつもアタマは完璧なるジャスト!温かくも野太い、これぞジェフと言える音色、グルーヴが満載!(小宮勝昭[かんぱち])
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『About Face』/David Gilmour(1984年発表)
ピンク・フロイドのギタリストのソロ2作目。フロイド的なシンフォニックな感覚を適度に含んだポップスで、一部ゲート・リヴァーブをかけたスネア・サウンドは時代を感じさせるが、ジェフ自身もベスト・ワークに挙げていて、TOTOでのプレイと非常に近い感覚のドラミングが特徴的。自身が目指すロック・プレイだったのだろう。(菅沼道昭)
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『Civilized Man』/Joe Cocker(1984年発表)
レジェンド=ジョー・コッカーのキャピトル移籍第一弾はゲイリー・カッツによるLA録音と、シンプリーレッドを大ヒットさせたスチュワート・レヴィンによるナッシュビル録音。もちろんナッシュビル側のケルトナーもだが、LA側のジェフ+ネイザンの「COME ON IN」のグルーヴだけのためにでも持っていたい作品。(沼澤 尚)
※本記事はリズム&ドラム・マガジン2014年5月号、6月号の記事を転載したものになります。
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