中盤では、硬質なサウンドのバック・ビートが印象的な「紅蓮」や、戒がハイハットを刻み、そこにメンバーの音が重なってバンド・イン、そして葵の奏でるギター・ソロが映える「飼育れた春、変われぬ春」といったバラードも披露。そこにハードな楽曲が続き、重低音の波が濁流のように押し寄せる「DOGMA」をプレイすると、さらにオーディエンスを煽る形で、キャッチーかつ展開豊かなアッパー・チューン「VORTEX」、活動初期に発表された「赤いワンピース」、ダークかつ手数の多い「UGLY」と、攻撃的なナンバーを次々繰り出し、会場をさらなる熱狂の渦に巻き込んでいった。

本編のラストに爽快なロック・チューン「UNFINISHED」を放ったあと、アンコールではこの日初めて戒がマイクを握った。ファンへの感謝と共に、初期から貫いてきたスタイルの継続意志を伝えると、彼がそのまま観客を煽る形で「SHIVER」のプレイに移り、エネルギーに満ち溢れたライヴが再開。

RUKIもギターを手に取り、戒がドラム・コーラスを務めたバラード「Cassis」に続くMCでは、“最後のバンドにしよう”と思って組んだのがこのthe GazettEだったこと、そして、20年間の道のりは決して平坦ではなかったということが、RUKIの口から切々と語られた。さらに今後も変えたくないものとして“ライヴ、the GazettE、ヴィジュアル系”の3点を挙げると、「貴女ノ為ノ此ノ命。」、「LINDA〜candydive Pinky heaven〜」、「未成年」を続けて披露し、アンコールを締め括った。

この3月10日は、20年前に彼らが東京・目黒鹿鳴館で初ライヴを行った日。今年はアニバーサリー・イヤーということで、Wアンコールではメンバーが1人ずつMCを行い、感極まるのをこらえる場面もありつつ、20年分の思いをそれぞれの言葉で伝えた。そして、疾走感溢れるナンバー「春雪の頃」をプレイし、最新作『MASS』の収録曲でもある「LAST SONG」を文字通りのラストに、ステージとオーディエンス全体が一丸となって盛り上がる熱いライヴは幕を閉じた。

00年代のヴィジュアル・ロックシーンに登場し、“ネオ・ヴィジュアル系”と謳われたバンドの代名詞的な存在として20年間走り続けてきた the GazettE。結成初期〜最新の楽曲まで、色とりどりの豪華セットリストで送られた本公演は、彼らが自身のスタイルを守りつつ培ってきたものが、終始オーディエンスを捉えて熱狂させ続ける今日のライヴ・パフォーマンス力につながっているのだと納得させられる内容だった。今後も彼らが見せてくれるであろう、さらなる進化に期待したい。

the GazettE「20th ANNIVERSARY -HERESY-」 SETLIST

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