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【Report】Summer Sonic 2022 海外ドラマーの熱演を一挙レポート!【サマソニ】
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【Easy Life】
チルな空間に確かに存在する
強靭なビートとエレクトロニクス
マウンテン・ステージでパフォーマンスを行ったのはUK発の5人組、Easy Life(イージー・ライフ)。サマソニ前の渋谷クアトロ単独公演はソールド、この日も会場のほとんどを埋めており、注目度の高さを物語っていた。
ドラムのオリヴァー・キャシディはBritish Drum Co.エンドーサーで、この日も同社のキットを使用。アークティック・モンキーズのアレックスを彷彿とさせるような、マレーの自然体で流れ出るような歌声は巷では“おしゃゆる”や“脱力系”と評されるが、その核にはオリヴァーの強靭なビートが確かに存在しているように感じた。
ヴォーカルを支えるようにどっしりとしたバスドラ&フロア・タムと対照的なハイ・ピッチ・スネア、そしてBritish Drum特有のウッドの温かみも感じる芯のある太いサウンドが会場を包み込む。併用する電子パッドのエレクトロなサウンドとの混ざりもいいソリッドな一面も兼ね備えていた。観客はみな、終始肩を揺らしており、バンドとしての一体感が会場を巻き込んだチルな空間を演出していたように思う。
【YUNGBLUD】
楽器隊の少なさを感じさせない
小技を効かせた隙間を埋めていくプレイ
トリガーも併用した骨太なビート
マリン・ステージに戻ると姿を現したのは今回のサマソニで初来日を果たしたYUNGBLUD。圧倒的な歌唱力と観客を巻き込んだ破天荒で狂熱的なパフォーマンスを見せてくれた。
ライヴではベースレスの編成のようで、ステージに上がったのはYUNGBLUDの他にギターのアダム・ウォリントンとドラムのベン・シャープのみ。それでも会場を圧倒する演奏力と音圧がすさまじい。観客を煽りながらも、ギター、ドラムと共に三位一体となった圧巻のステージングで、この日のサマソニで最も記憶に残るアクトだったのではないだろうか。
グレッチ・エンドーサーのベンが筋骨隆々の躯体とダイナミックなフォームで鳴らすドラミングは、腹の底にくる、まさに会場を揺らすようなプレイ。彼のInstagramを見るとどうやらすべてのタイコにトリガーを装着しているようで、それも轟音サウンドの一端を担っているようだ。新曲「The Funeral」や再生回数が億超えの「Parents」、締めには「Loner」など、骨太なビートをメインとしながらも、楽器隊の少なさを感じさせない小技を効かせた隙間を埋めていくプレイや、SPD-SXを使用したエレクトロニックなプレイが印象的であった。
サマソニ2日目は他にも、Omoinotakeや羊文学といった注目の気鋭バンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONやENDRECHERIといったベテラン勢、そしてカーリー・レイ・ジェプセンやザ・ストラッツ、クーラ・シェイカーなど、錚々たる海外バンドも出演。中でもプライマル・スクリームは約2時間(!)ものロング・アクトを、ドラムのダーリン・ムーニーの極上のサウンド&グルーヴに乗せて見せてくれた。完全に元通りとはならないものの、彼らの音を、以前と同じような光景で浴びられたことをとてもうれしく思う。