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“Katsuma Drum Clinic”@神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校【Report】
- Text & Photo:Isao Nishimoto
Katsuma流カッコいい8ビートの
叩き方を実演を交えながら解説!
LERNIから発売されているKatsumaシグネチャー・スティックを紹介した際には、握り方についても言及。細かいプレイは短めに、大きなビートを鳴らすときはグリップ・エンド付近を長めに持つという使い分けを、「意識してやっているというより、勝手にそうなっている」と実際のグリップを見せながら説明した。そして「教則本とかに書いてある握り方を見ると、そうしなきゃいけないんじゃないかと思ってしまうかもしれないけど、絶対そんなことはないです」と断言。「キックの踏み方もそうだけど、同じやり方だけを続けていると必ず壁にぶち当たる。踏み方や握り方の正解なんて1つじゃないんだから、そこで別のやり方もできるようになっておくと、ライヴでも心に余裕が生まれると思います」と話し、多くの参加者を頷かせていた。
続いて「VENGEANCE」の演奏を挟み、クリニック後半は「Katsumaさんが思うカッコいい8ビートとは?」という問いかけから、さらに深い内容へと進んでいく。「日本人ドラマーで言うとBOBOさんとかZAX君みたいな……人間味というか野生感が溢れ出ているビートかな。ただ音符に沿って叩くんじゃなくてね。シンプルな8ビートこそ、そういう違いが一番出ると思います」。さらに、初のアメリカ・レコーディング時にプロデューサーのデヴィッド・ベンデスから言われた言葉が、自身のドラムの叩き方に大きな変化をもたらしたというエピソードを披露。以下、少し長めに再録する。
「“coldrainみたいな音楽は、普通に叩くんじゃなくてもっと筋肉でドカンといかないとダメだ”みたいなことを言われました。最初は何のことやらわからなかったけど、言われた通りのイメージで叩いてみたら、確かに録り音が全然違ったんです。よく“脱力して叩くと一番いい音が鳴る”って言いますけど、音がデカいバンドの中で叩くんだったらそれは通用しない。ただし、力ずくで叩くんじゃなくて、力の入れ方を理解した上で叩くことが大事。それは、力を入れる=体重をうまく乗せるということ」。
そして、肩と腕をしなやかに使ってスティックを振り上げ、打面に振り下ろすまでの動きをゆっくり実演しながら、説明はさらに続く。
「肩甲骨のところから体重を乗せてあげるようにすると、全然力を入れなくてもデカい音になる。力を入れるのはスティックを持ち上げる一瞬だけ。もちろん、これはバンドや求められる音楽によりますけど、こういう身体の使い方は、ボクシングの“肩抜き”に似ていると思います」。
なお、この話題はkatsumaが表紙を飾ったドラマガ2019年11月号でも詳しく触れられている。電子書籍版は現在も購入可能(こちら)なので、興味のある人はぜひ読んでみてもらいたい。
終盤は、希望者を募り、Katsumaのドラム・セットでビートを叩いてもらい改善点をレクチャーするという、名実共に“クリニック”にふさわしい展開に。ここでは3人が名乗りを上げ、Katsumaの目の前で緊張しつつも堂々としたプレイを聴かせた。それに対して細かく丁寧にアドバイスを授けるKatsuma。もちろん客席で見ている参加者達にも参考になったと思うが、勇気を出して前に出た3人にとっては1つ1つがとても実践的なアドバイスであり、忘れられない時間だったに違いない。Katsuma自身も「これは楽しいっすね!」と手応えを感じていたようだった。
最後には、「スタートラインはみんな一緒。俺もそうだったし、周りにいる成功しているバンドも最初からすごかったわけじゃない。みんな好きなことを続けた先に今があるので、みなさんも頑張って続けてください」とエールを送ったkatsuma。そして再びドラム・セットに座ると、参加者のリクエストに応じて「NEW DAWN」「Cut Me」を演奏。このときは「みんな前に出てきて、どこでも好きな場所から見ていいです」というkatsumaの計らいにより、ドラム・セットを全員で囲む形に。普段は見られない位置からkatsumaの一挙手一投足をチェックしながらドラムの生音を浴びるというレアな経験を参加者にプレゼントして、約1時間半のクリニックは幕を閉じた。
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