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【Interview】かみじょうちひろ[9mm Parabellum Bullet]が最新作『YOU NEED FREEDOM TO BE YOU』と共に語る結成20周年の歩み

  • Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine

オーディエンスや環境に関係なく
そのときできる最高の演奏を

かみじょう 録った時点では曲順は決まっていなかったんですけど、まずドラムだけで始まる曲だから、勢いがあった方がいいだろうなと思って。ショット・スピードは速めで、細かいことは気にせず、景気の良いノリで叩いてるような感じですかね。

かみじょう そうですね。実はこれ、10年前ぐらいからある曲なんですよ。「ハートに火をつけて」の頃にできた曲で、その4曲入りのシングルに収録されずに終わってたんです。今回収録することになり、叩いたときに“あ、10年前はこんなことやってたな。今の俺が取り入れている小難しいことはいらないな”と思ったので、当時のパンキッシュな精神と勢いだけで叩きました。

かみじょう たくさんありますね。もちろん作曲者の滝の意向でそうなることが多いんですけど。歳を取ったりすると、昔は良いと思わなかった酒を美味く感じたり、10代の頃に見ても全然意味がわからなかった映画をめちゃくちゃ面白いなって思うことがありますよね。そういうのが曲にもあるんだと思います。

かみじょう この曲はめずらしくちゃんとコンセプトがあって作られた曲で。滝が言うには、“エモ・オルタナのバンドをやろうとして、呼んだドラマーがラーズ・ウルリッヒだったらこんな曲になった“っていう設定なんです(笑)。ギター陣がトレモロとかクリーンとかをやってる中で、ラーズだったら絶対にこういうドラムをやるだろうと思ったらしくて。ファンの皆さんにも好評な曲ですね。

かみじょう デモが来たときに、注釈で“ドラムは思いつかなかったので、シンプルな感じになってます。何か着色してください”とあったので、最初は手数を増やしたりしていろいろと試したんですけど、結局そういうドラムは蛇足だと思ったんですよね。メロの良い歌謡曲みたいな感じの曲なので……“数日かけて丁寧に作られた和風だしに、大量のニンニクをぶち込む”ようなことはやらなくていいかなと思ったんです。

昔の9mmだと、BPM=140〜150くらいの曲はバラードだって捉え方をしてたんですね。この曲は120〜130台ぐらいなので、当時の俺らだったらこんな間合いは取れなかったなと思います。今だからこそできたっていう意味でも好きな曲ですね。

かみじょう 滝は“面白いアイディアがあったら変えてほしいけど、 曲が壊れるようなことはしてほしくない”っていうスタイルの人なので、ドラムはその意図から外れない範囲の見当をつけながらアレンジしていくんですけど、この曲はすごく派手にいじりましたね。ジャズっぽくしたいんだろうなっていう意図はわかったんですけど、デモのドラムはそういうアプローチではなかったので、少々ジャズのセオリーに沿って変えていきました。ドラム・ソロがあるエンディングとかも、デモとはまったく違うことをやっていて、“さすがに怒られるかな”と思いながら録ったんですけど、全部OKになりました。

かみじょう 味つけを担当したような感覚というか。この曲に関しては唯一、音作りにもすごくこだわりました。シンバルは基本的にほとんど替えないんですけど、さすがにいつもの硬いライドじゃレガートできないなと思ったので、スティーヴ・ガッドがプロデュースしたジルジャンKカスタムのセッション・ライドに替えました。他のシンバルも全部入れ替えて、オールドAとかを使いましたね。スティックもジャズ向きのチップの小さいものに替えたりとか。

かみじょう ハチロク(6/8拍子)の曲をシャッフル・テイストにして、やめとけばいいのにメタル要素を入れてるんですよ。イントロもわざわざ6連にしてますけど、べつに“ダダダ・ダン、ダダダ・ダン、ダダダ・ダン”っていう3連基調で十分なのに、わざわざハードルを上げたっていう(笑)。

かみじょう 俺、昔はシャッフルなんてまったくできなかったんです。三原さんにも「パーディ・シャッフルとか見ろよ」と言われて映像とかは見たんですけど、当時はまだこれがカッコいいというのがわからなくて。初めて習得したのは村石さんのところに通うようになってからなんですけど、今になってやっと“アップ・ダウンでチッツチッツチッツってやるの、楽しいじゃん!”と思えるようになりました。ジェフ・ポーカロやバーナード・パーディとかを勉強するきっかけになったこともあって、シャッフルは今では好きなアプローチの1つですね。自分も丸くなったなと思います(笑)。

かみじょう この曲は、間奏部分で鬼のようにテクニカルなツーバスを踏むんですけど、そのセクションでめちゃくちゃ練習しました。デモを聴いたときに、フレーズが細かすぎて“これ、トリガーとかを使ってやるべきなんじゃ?”と思ったんですけど、自分のツーバス多点のセッティングでトリガーを使ったり、デモ通りのフレーズを再現しなかったら俺、カッコ悪いなと思ったんです。普通は右足リードで叩くんでしょうけど、左足リードで踏まないとスタート・ダッシュが遅れるみたいなところがあって、普段とは足順を変えて対応できるように、ひたすら練習しました。

かみじょう そうですね。滝は9mmを結成したときから、アルバムごとに、ドラムに対して何か1つ苦行を与えることを楽しんでるタイプなんですよ(苦笑)。Aができるようになったら次はBで、その次はC……みたいなことが今でも続いてて、その中で、“今ならZの課題を出してみても叩いてくれるんじゃないか”って感じでどんどんハードルが上がるんです。「9mmはドラムに無茶をさせるバンド」みたいなことも言ってたので、あのセクションはそのうちの1つなんだと思います。

俺は最近だとブラック・ミュージックのアプローチを身につけるのが面白くなっちゃってることもあって、 ツーバスなんて練習する機会もなくなっていたんですけど、久しぶりにめちゃくちゃ練習したおかげで、右始まりでも左始まりでも遜色なく踏めるようになりました。

かみじょう 何というか、緊張感を持つようになりましたね。数人の生徒の前でやるのでも、武道館でやるのでも違いはないんだって。ライヴにはもちろん気合いは入ってますけど、“先生”を名乗っている以上、レッスンでは俺が叩くことによって、生徒さんはこれが正しいものだと認識してしまうじゃないですか。そういう責任って、オーディエンスの数ではないんだなと思うようになりました。だから、そのときできる精一杯の、一番良いプレイをやらなきゃなって。

3〜5年前の自分のドラムとかを見ると、考え方やタイムが甘いなと感じることはよくあるんですけど、逆に今そう思えるのは、自分が成長できてるってことだと捉えてもいます。村石道場には相変わらず週1で通ってますけど、ドラマガのコンテストでグランプリを取ったレベルの生徒さんとかと一緒にレッスンを受けるんですよ(笑)。YouTubeとかでも超一流のものを見られる昨今で、常日頃からそんな環境にいるとすごく刺激になりますよね。そういうわけで、オーディエンスや環境に関係なく、そのときできる最高の演奏を届けなきゃなと思ってます。

◎Live Information
9mm Parabellum Bullet Tour 2024-2025「YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」
2025年1月11日(土) [東京]Spotify O-WEST OPEN16:45/START17:30
2025年1月18日(土) [広島]広島 CLUB QUATTRO OPEN16:45/START17:30
2025年1月19日(日) [岡山]CRAZYMAMA KINGDOM OPEN16:15/START17:00
2025年1月25日(土) [茨城] 水戸 LIGHT HOUSE OPEN17:00/START17:30
2025年1月31日(金) [東京] 渋谷 CLUB QUATTRO OPEN17:45/START18:30
2025年2月1日(土) [栃木] HEAVENʼ S ROCK 宇都宮 VJ-2 OPEN17:00/START17:30
2025年2月8日(土) [福岡] 福岡 DRUM LOGOS OPEN16:45/START17:30
2025年2月9日(日) [鹿児島] 鹿児島 CAPARVO HALL OPEN16:15/START17:00
2025年2月22日(土) [東京]Zepp DiverCity(TOKYO) OPEN16:30/START17:30
2025年3月1日(土) [愛知]Zepp Nagoya OPEN16:00/START17:00
2025年3月2日(日) [大阪]Zepp Osaka Bayside OPEN16:00/START17:00

「YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」Extra~カオスの百年 vol.21~
2025年3月17日(月)[神奈川]KT Zepp Yokohama OPEN17:30/START18:30

詳細はこちら→9mm Parabellum Bullet Ofiicial Web

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