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Interview – アーロン[ダーティ・ループス]
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Interpretation:Hitomi Watase Translation:Takayuki Matsumoto
毎日のように繰り返していることをやるときには
自分が何をしているのかを
きちんと意識していなければならないと思う
そうすれば、毎日が自然と成長につながる
2014年にデビュー・アルバムをリリースすると同時に、メンバーの超絶テクニックと緻密なアンサンブルで一躍脚光を浴びたスウェーデン発の3ピース・バンド=ダーティ・ループス。近年はライヴ活動に注力していたという彼らが、6年ぶりのオリジナル作となるEP「フェニックス」を引っ提げてシーンに帰ってきた。ここでは、手数の多いテクニカルなドラミングと、絶妙なバランスで練られたアレンジで楽曲をグルーヴィーに聴かせるアーロンへのインタビューが実現! 最新作と共に、近年のドラム観の変化について語ってもらった。
ドラムをどんなふうに叩くか
はっきりとしたビジョンを持っている
●今回のEP「フェニックス」は、ダーティ・ループスとしては、前作(『ダーティ・ループス』)から6年ぶりの作品リリースとなりました。制作はいつ頃から始めたのですか?
アーロン このEPの何曲かは、2015〜16年頃には作り始めていたんだけど、僕達はいろいろなことをやっているから、そのあと、バンドとしての活動がいったん休みになったんだ。そのあとで新しいものを作ろうってことになって、途中まで書いていた曲を仕上げて、さらに新しい曲も増やす形で作っていったよ。
●ドラムのアプローチは、どのようにして練っていきましたか?
アーロン 僕はドラムを叩く前に、どんなふうに叩くかはっきりとしたビジョンを持っているし、ベーシックとなるリズム・パターンは、ドラムもベースも全部、パソコンで曲作りする段階ですでに作ってあるんだ。プリプロをする段階では、そういうベーシックになる部分はもう決まっているから、あとはどんなフィルにするかとか、曲自体のリズム・パターンをライドのベルやハイハットやゴースト・ノートでどんなふうにサポートするかとか、そういったことを決めていっているよ。
●1曲目の「ロック・ユー」はとてもファンキーな楽曲で、あなたのタイトなドラミングとバック・ビートの存在感が楽曲のグルーヴ感を高めている印象を受けました。ドラム・アレンジは、任されていたのでしょうか?
アーロン そうだね。リズム・パターンの核となる部分は、ヘンリック(b)のシンコペーションのベース・パターンに対して、ストレートでソリッドなドラムのパターンを合わせるっていうのが、この曲を作り始めた最初の頃からすごくナチュラルに出てきたアイディアなんだ。4つ打ちのキックに2、4拍目のスネア、それからパーカッシヴなハイハットのパターンを叩くことが僕にはすごくナチュラルに感じられたんだ。
●「ワーク・シット・アウト」は、楽曲の終盤にかけてバンド全体がアグレッシヴかつ劇的な展開を繰り広げていきます。パーカッシヴなドラム・ソロも聴き応えがありますが、ドラムのストーリー展開はどのように考えたのですか?
アーロン 「ロック・ユー」と同じく、最初のドラム・インはキックの4つ打ちで入るのがすごくナチュラルだったと思ったんだけど、サビでドラムが入ってくるところでスネアを2、4で入れたら、すごく硬い感じになって……僕達はカッチリさせるんじゃなくて、もっとオープンな感じにしたかった。だから、特にベースにスペースを与えるために、4つ打ちだけどスネアでパーカッシヴなパターンを入れることにしたんだ。それから曲を展開させていくために、2コーラス目のAメロではライドに行ったんだけど……この曲は、全体がソロへと導く大きなブリッジのような感じなんだ。
ドラム・ソロでは自分が今までやったことがないようなことをやろうと心がけて、ソロのためだけに練習したリズム・パターンがたくさん入っているよ。これを聴いたら、サイモン・フィリップスやヴィニー・カリウタ、デイヴ・ウェックル、デニス・チェンバースなどのレジェンド達から影響を受けているドラミングだって、みんなわかるだろうね(笑)。
●「ブレイクダウン」は、しっとりとした雰囲気のあるバラードですが、ドラム・サウンドが他の楽曲と比べてオープンになり、テイストがガラッと変わりますね。
アーロン あの曲は、すごく自然な形でああいう感じになったんだ。ヴォーカルも歌詞も、すべてがドラマティックだから、80年代の恋愛映画みたいなサウンドが曲に合っていると感じてね。特にスネアに関しては、ビッグでファットなあのサウンドが欲しかったんだ。