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藤井風のドラムは誰が叩いているのか?|コーチェラのステージに立つドラマー、佐治宣英の軌跡
- Image:AI generaed
- Text:Rhythm & Drums Magazine
本日より開幕したアメリカ最大級の音楽フェス、Coachella Valley Music And Arts Festival(コーチェラ・フェス)。2週に渡って開催されるこのイベントは、配信を通じて世界同時にその模様が拡散され、今や“グローバル基準のショーケース”となっており、世界中の音楽ファン、業界関係者がそのパフォーマンスに注目している。
世界を視野に入れる日本人アーティストにとっても、その意味は年々大きくなっている。Cornelius、X JAPANといった先駆者に続き、近年ではYOASOBIや新しい学校のリーダーズなど新進気鋭のアーティスト達が出演し、話題を集めた。
そして2026年、その舞台に立つのが藤井風。バンド・スタイルで出演し、ステージを共にするサポート・メンバーも発表。小林修己(b)、江﨑文武(Key)、TAIKING(g)、シャイ・カーター(cho)、ARIWA(cho)といった実力者が揃い、その屋台骨を支えるのがドラムの佐治宣英だ。ここでは過去のドラム・マガジンでの発言やキャリアを紐解きながら、ドラマーとしての軌跡を辿っていく。
コード感やメロディを意識した
音楽的なアプローチで歌を支える
佐治氏は1977年生まれ。小学生の頃からドラムに惹かれ、学校では鉛筆をスティック代わりにマネをしていたそうだ。本格的にドラムを始めるのは15歳。RCCドラムスクールに通い、田中康弘氏、猪俣 猛氏に師事。最初のフェイバリット・ドラマーはポリスのスチュワート・コープランド。プログレにハマっていたという学生時代はラッシュのニール・パートが好きだったという。
また、本誌2025年7月号のアンケート特集「究極のテクニック&至高のグルーヴ」では、最高のテクニカル・ドラマーにマーカス・ギルモア、最高のグルーヴ・ドラマーにリチャード・スペイヴンの名前をそれぞれ挙げている。
大学在学中からプロとしての活動をスタート。氏が注目されるようになったのは、シンガー・ソングライター、YUIのサポートだろう。オリコン・チャート1位を獲得し、彼女の名を全国に轟かせるきっかけとなった2007年発表のアルバム『CAN’T BUY MY LOVE』のレコーディングに参加。2010年8月号の本誌インタビューでも「ヒットしているアーティストさんに呼んでもらえるようになったんだと実感した」と語っており、その後リリースされた作品にも佐治の名前がクレジット。それがやがてYUIが結成するバンド、FLOWER FLOWERでの活動へとつながっていく。
「大切に思っていることは、メロディなり上ものを意識したビートを叩くってこと」、「テクニックをつけたいと思っていますけど、それ以上にコード感やメロディとビートの関係を理解できないといけないって思いますし、そこを大切にできる人でありたいなと常に思っています」と自身のドラム哲学をインタビューで語っていた佐治氏。 その言葉から垣間見える通り、歌モノへの造詣が深く、ポップス、ロック・シーンを中心に活躍。主な共演歴は以下の通り。
YUI、藤井風、Kinki Kids、ずっと真夜中でいいのに。、和ぬか、JUJU、いきものがかり、レキシ、清木場俊介、家入レオ、Jun.K(From 2PM)、SURFACE、Puffy、Chemistry、平原綾香、吉田山田、宮本笑里、織田哲郎、河口恭吾、May’n、hitomi、中島卓偉、染谷俊、LOVE。
サポート・ドラマーとして数々のアーティストを支える一方、ソロでは電子音楽家としての側面も持ち、自身のプロジェクト、plot.名義で2枚のアルバムをリリース。ダブ・エレクトロニカ・アンサンブルを奏でるトリオ、miimoとしても作品を発表している。
歌い手の背中を見ながら叩く
歌に寄り添う佐治流ドラミング
藤井風のサポートは2019年のLINE CUBE SHIBUYA公演が最初で、翌年10月に行われた日本武道館公演でもプレイ。2020年12月から翌21年にかけて行われたツアー参加以降は、ほぼレギュラー・メンバーとしてライヴに参加しており、2024年末の紅白歌合戦への出演も記憶に新しい。
氏が公開しているdiaryには「去年のLINE CUBE SHIBUYAでのライブから関わらせてもらっていて、最初から、とんでもねーヤツが出てきた!と思ってはいたものの…10月にまさかの武道館公演。大変な時期によくぞ決断し、決行したもんです。そんで、ライブはもちろん素晴らしくて、最後少しウルっときてしまったくらい笑」(2020年12月31日)と藤井風に関する印象を綴っている。
さらに2020年のツアーを終了後に投稿したdiaryでは「歌い手の方の背中を見ながら叩くことを、清木場俊介さんに教わったのですが、今回も可能な限り、風くんの背中を見ながら叩きました」(2021年2月1日)とも綴っていた。
豊富なキャリアで培われたドラマーとしてのスキルはもちろん、コード感やメロディを意識した音楽的なアプローチ、そしてフロントに立つアーティストの背中を見つめながら歌に寄り添うスタイル。こうしたスタンスが長年に渡り、さまざまなアーティストから信頼を集めてきた理由だろう。世界が注目するコーチェラのステージで鳴るその一打一打に、注目したい。出演はMojaveステージで、日本時間4月12日午前8時30分〜とのこと。
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