PLAYER

UP

ゆず「栄光の架け橋」を支えた島村英二の“ヒット曲スネア”

  • Photo:Takashi Hoshino

1年遅れで開幕した「東京2020オリンピック」。日本人選手の活躍は目覚しく、連日に渡って各種メダルを獲得しています。オリンピックを放送する各局は、公式テーマ曲を設けていますが、近年最も印象的だった1つは、04年開催のアテネ・オリンピックで採用されたゆずの「栄光の架橋」ではないでしょうか。ここではこの曲を支えたスネア・ドラムに焦点を当ててみようと思います。

「栄光の架橋」のレコーディングで使用されたYamahaのジョン“JR”ロビンソン
・モデル。サイズは14″×5.5″。シェルはバーチ7プライという仕様。

「栄光の架橋」はゆず21枚目のシングル曲で、NHK『アテネオリンピック中継』公式テーマ・ソングに採用。体操男子団体が28年ぶりとなる金メダルを獲得した際の、「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ!」という解説実況で話題を集め、ロング・ヒットを記録。大トリを飾った2017年の『第68回NHK紅白歌合戦』でも披露されるなど、彼らの代表曲の1つとなった。

この「栄光の架橋」でドラムをプレイしているのは名手、島村英二。吉田拓郎、中島みゆき、長渕 剛を筆頭に数多くのアーティスト達が絶大な信頼を寄せ、70年代から現在に至るまで、数々のヒット曲にその名を刻んできた、名実共に日本を代表するドラマーである。2008年4月号のリズム&ドラム・マガジンの特集企画“ヒット曲スネア”にご登場いただき、自身が参加したヒット曲で使ったスネア・ドラムについて語っていただいた際に、「栄光の架橋」で使ったとして紹介してくれたのが、Yamahaのジョン”JR”ロビンソン・シグネチャー・モデル(生産完了品)。そのときの証言が下記となる。

スネア・ドラムの裏側。スナッピーはYamahaのハイカーボンスティールの25本タイプ。
シェルには直径4mmのコパー製のピンが打ち込まれている。ヘッドはコーテッド・エンペラーで、そのピンが見えるように外周がクリアになっている。展示品として用意されたものだそう。

島村「Yamahaのジョンロビのスネアは、発売されたときから使ってるんだよ。このヘッドはエッジのあたりだけコーティングがされてないんだけど、それは最初、シェルにメタルのピンが打ってあるのを見せるためにしたと思うんだ。でもそうすることでちょうど良い開放感があると思ったんだよね。それが気に入っちゃてるんだよ。これを今メインで使ってて、ゆずや(森山)直太朗の曲で叩いているね

最初に叩いたときに、メタル系と木胴系の中間というか、そのどちらの表現もやりやすい感じがしたんだよね。それはこのシェルの中にある(コパー製の)ピンのせいだと思うんだけど、それがすごく新鮮で。だからミュートを変えるだけで、あらゆるサウンドに合うんじゃないかなと思う。それが実践できているから、今も使っているんだね」。

取材は08年に行われたが、それから10年以上経った現在もメイン・スネアとして愛用中で、数々のアーティストの歌を支えているのである。