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    Archive Interview−スライ・ダンバー

    • Photo:Takashi Yashima
    • Translation & Interpretation:Akira Sakamoto

    ロビー・シェイクスピア追悼

    スライ・ダンバーとタッグを組み、膨大な数のレコーディングに参加してきたレゲエ界を代表するベーシスト、ロビー・シェイクスピアが12月8日に急逝。享年68歳であった。“スラロビ”の愛称で知られた世界最高峰のリズム体で、ドラマーにも大きな影響を与えたロビー。ここでは2009年11月号に掲載したスライのインタビューから、ロビーとのコンビについて語った箇所を抜粋して公開。心よりご冥福をお祈りいたします。

    リズム・セクション以外の全パートを消しても
    物足りない感じに聴こえないような
    そんなリズムを提供するようにしている

    ●ロビー・シェイクスピアとは、1970年に出会って以来、ずっと活動を共になさっていますが、その経緯をあらためて教えていただけますか?
    スライ レヴォリューショナリーズと同じ頃、彼とはジミー・クリフの『Follow My Mind』でも一緒になったけれど、初めて一緒にレコーディングしたのは、バーニー・リーのセッションだった。その後、ロビーからピーター・トッシュのバンドでやらないかと誘われて、そのバンドで一緒にやるようになったんだ。

    ●ロビーのベースを初めて聴いたときに、どんな印象を受けましたか?
    スライ 図太くて安定したベースだと思ったよ。ピーター・トッシュのバンドで演奏するようになってから、僕らは一緒の部屋に住んでいたから、夜、寝る前にいろんな音楽を聴いて、聴きながら思いついたアイディアをステージやスタジオで実験していた。それを何度も繰り返していたから、僕がある曲のドラム・パターンを新しくすると、彼はそれに応じてベース・パターンを変えてくるという具合いに、何も言わなくても反応し合えるようになったんだ。僕がパターンを変えると、彼はその土台を作ってくれて、彼がパターンを変えたときには、僕が彼のために土台を作るという具合いに、僕らは常にお互いを支え合っているんだ。

    ●そうした実験の成果として最も有名なものの1つが“ミリタント・ビート”ということですね。
    スライ そう、あれは誰も以前にやっていなかったと思うよ。普通のレゲエ・ビートに違うパターンを乗せたら、大騒ぎになったからね(笑)。

    ●あなた達は70年代から現在に至るまで、常に新しいビートを創り出していらっしゃいますが、新しいものを創り出す上で、刺激になっているものなどはありますか?
    スライ やっぱりいろんな音楽を聴くことだね。今はアフリカ音楽やラテンを聴いているけど、ロックンロールも聴くし、その他にもいろいろ聴いている。そうする中で閃いたものを、レゲエに応用しているんだ。新しいビートを探って音楽を聴くのと同時に、みんなが身体を動かす様子も観察している。そうやって、みんなが身体を動かしたり、ダンスできるようなビートとを考えるんだ。

    ●これは難しい質問だと思いますが、スライ&ロビーとして今までいろんなセッションをなさってきた中で、最も印象的なアーティストや音楽は何でしたか?
    スライ (困った顔をして笑いながら)……そうだな、グレース・ジョーンズ、グウェン・ガスリー、ブラック・ウフル、グレゴリー・アイザックス、レヴォリューショナリーズ、デニス・ブラウン、ピーター・トッシュ、ジョー・コッカー、ノー・ダウト、シンプリー・レッド……数え上げたらキリがないね。

    ●音楽ジャンルを越えて、それだけ多くのアーティストから、あなた達に声がかかる理由はどこにあると思いますか?
    スライ それについてはロビーとも話をしたこともあるけど、よくわからなかった。でも、僕らはとにかく心を込めて演奏しているし、曲をよく聴いて、曲のメロディにできる限りうまくフィットする方法を見つけるようにしているんだ。レコーディングのときには、共演者の演奏をよく聴いて、彼らのグルーヴにもきちんと合わせるように努力して、ドラムとベースを完全にロックさせて、リズム・セクション以外のすべてのパートを消しても、物足りない感じに聴こえないようなリズム・パートを提供するようにしているんだ。でも、本当の理由はわからない。その理由を知りたいと思うけど、とにかく自然に、感じるままに演奏しているのが良いんじゃないかな。

    ●では、あなたとロビーのように、ドラマーとベーシストが良い関係を築くにはどうしたら良いと思いますか?
    スライ そうだな、お互いを尊敬し合って、同じ目標を持つことだな。目標が違ったら、演奏もバラバラになっちゃうからね。