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    Archive Interview −デヴィッド・ガリバルディ−

    • Translation & Interpretation:Akira Sakamoto

    半世紀以上に渡ってご機嫌なファンク・サウンドを鳴らし続けるタワー・オブ・パワー。2018年にバンド結成50周年を迎え、それを祝って地元オークランドで開催されたライヴを収録した作品『50イヤーズ・オブ・ファンク・アンド・ソウル・ライヴ・アット・ザ・フォックス・シアター』が3月13日に発売された。ここではそれを記念し、オリジナル・ドラマーのデヴィッド・ガリバルディがバンド復帰後、24年ぶりにレコーディング参加した『Oakland Zone』のリリース時に行ったインタビューの一部を抜粋してお届け! 昨年惜しくもこの世を去ったベーシスト、ロッコ・プレスティアが体調不良からカムバックしたタイミングで、相棒への想いも語った深い内容となっている。

    僕の今までの音楽的な成果はすべて、このバンドでの活動に端を発しているんだ

    50周年アニバーサリー・ライヴのティーザー映像

    ●新作『Oakland Zone』には1年くらい前から取りかかったそうですね。
    ガリバルディ 確か去年2月頃から作業に入って、何曲かレコーディングしたところで、1ヵ月のヨーロッパ・ツアーに出たんだ。その後、さらに南アフリカにも行ったけれど、長旅だったからロッコ(プレスティア/b)の体調はかなり悪化していた。それでもアメリカに戻ってからレコーディングの続きをやって、レコーディングが完了したあと、さらに2、3回ショウをやって、ロッコが入院したんだ。レコーディングが終わるまでロッコの体調はかなりひどかったね。

    ●ロッコが活動を休止したのは確か、去年の4月だったと思いますが……。
    ガリバルディ そうそう、レコーディングが終わったあと、短いツアーをやったんだけど、その後、僕らは彼にツアーは無理だから家で静養するように言ったんだ。もはやツアーなんかに出られる状態じゃなかったからね。それで去年は3人くらいのベース・プレイヤーを代役に立ててタワー・オブ・パワー(TOP)のツアーを続けたんだ。ロッコが復活したのは今年1月の、NAMMショウでのライヴだったね。

    ●この新作はあなたにとってもTOPに復帰して初めてのスタジオ・アルバムになるわけですよね?
    ガリバルディ そう。TOPでレコーディングするのは1979年以来だよ。君はもう、アルバムを聴いたかい?

    ●ええ、もちろんです。あなたとロッコのコンビネーションが復活してうれしいです。
    ガリバルディ また一緒にやれるっていうのは素晴らしいね。ロッコがいない間、僕らはみんな寂しい思いをしたんだ。代役のベース・プレイヤーはみんな素晴らしい仕事をしてくれたけれど、ロッコは他の誰とも違うからね。彼の弾き方もサウンドも、あらゆる点で彼ならではのものなんだ。

    ●ロッコの復帰を知って、どんな気分でしたか?
    ガリバルディ そりゃあもう、最高の気分だったよ。彼は去年の暮れに、飛び入りする形で1、2曲演奏したけれど、本格的に復帰したのは今年のNAMMショウだった。すべてが元の状態に戻ったような感じだったね。

    ●あなた自身の復帰とロッコの復活と、二重の喜びというわけですね。
    ガリバルディ その通り。僕自身も、TOPに復帰して以来、ずっと楽しくやっているよ。何しろ、僕の今までの音楽的な成果はすべて、このバンドでの活動に端を発しているんだからね。僕はこのバンドで活動しながら、演奏についてのいろんなことを学んだわけだけれど、古巣でその続きがやれるっていうのは最高だよ。

    『Oakland Zone』
    Tower of Power

    ●あなたがTOPに復帰したのは1998年2月、それからこの新作のレコーディングまでに4年あったわけですが、その間、あなた自身の音楽的な変化や、TOPに再び馴染むための何か特別な努力などはありましたか?
    ガリバルディ
     復帰についてエミリオ(カスティーヨ/sax)と相談したときに、一番大きな問題だったのは、再び一緒にやったときに、昔みたいにお互いの演奏が気に入るかどうかだった。とにかくブランクが長かったからね。それでたまたま1998年の2月に日本へ行く予定があったから、とりあえず一度ツアーをやってみようということになったんだ。その後、日本行きは同じ年の後半まで延期されたけれど、僕は単独のショウのすべてにつき合った。結局、TOPの手法やグルーヴを思い出して、それが無理なくできるようになったのは7月に入ってからのことだったけれど、7月のノース・シー・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏は、1998年の僕らのベストと呼べるショウの1つだった。大きなホールに、僕らだけじゃなく、アース・ウィンド&ファイアーやフィル・コリンズのビッグ・バンド、ザヴィヌル・シンジゲート、バディ・ガイなんかが一堂に会したショウでね。そこで僕らは本領を発揮することができたわけ。でもその後、バンドをより発展させるためにメンバーの大幅な入れ替えを図ったんだ。その間、少し苦労したこともあったけれど、僕らの目的ははっきりしていた。毎晩アグレッシヴな演奏をして、TOPのメンバーでいることに喜びを感じてくれるプレイヤーを求めていたんだよ。今のメンバーが揃うまでにはしばらく掛かったけど、揃ってからはいつも最高の気分で演奏できるようになったよ。

    ●TOPの魅力の1つは凝ったアレンジにありますが、その最たるものの1つに、あなたのドラム・パターンがあると思います。あなたが個々の曲のためのドラム・パターンを考えるときには、まずアレンジを意識することから始めますか? それとも基本的なグルーヴの質感を決めるのが先ですか?
    ガリバルディ
     実を言うと、今回の曲作りはアレンジのないところから始まったんだ。自分達の気に入ったグルーヴを基に、まずリズム・セクションだけで曲を作って、出来上がったリズム・トラックにホーン・アレンジをつけたっていう具合いさ。とても素晴らしいアレンジだと思う。リズム・セクションの流れにぴったりと添うような、的確なアレンジになっているからね。

    ●つまり、最初はジャム・セッションのようなものから始めたということですか?
    ガリバルディ
     そう、ジャム・セッションをたっぷりとやって、リズム・セクションの基本的なアレンジがだいたい決まってからデモを作ったんだ。その段階では、ホーンのアレンジについてのアイディアはあったとしてもごくわずかなものだった。僕らはショウの前に毎日リハーサルをするんだけど、そのときに作った曲の個々の部分を確認して、僕は個人的に自宅の練習室でもグルーヴの叩き方を何種類か考えておいたんだ。レコーディングの本番でも試せるようにね。曲ごとに、あるいは同じ曲の中でもセクションごとにさまざまなグルーヴを考えるっていうのは僕が常に心がけていることだよ。しかも同じことを繰り返さない。曲が13あれば、13種類の違ったタイム感やグルーヴが必要なんだ。

    ●大変な努力が必要ですね。
    ガリバルディ
     まぁね。でもそれが僕らのやり方だし、僕にとっては1つの挑戦でもあるんだ。いつまでも同じことを繰り返すだけで、創造的な発展がなければ、楽しむことはできないからね。

    『50イヤーズ・オブ・ファンク・アンド・ソウル・ライヴ・アット・ザ・フォックス・シアター』

    神保 彰によるレビューはこちら!

    https://drumsmagazine.jp/player/a-interview-top-rhythm/
    2005年に実現した超貴重なガリバルディとロッコ の対談!