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Interview – moAi[Dizzy Sunfist]
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Tetsuro Sato
何度もしてきたツアーだけど新鮮で
緊張と不安と楽しみが今まで以上
サウンドも空気感もすごくいい感じ
驚異的なシングル・フット・ワークを誇るmoAi擁するDizzy Sunfistがニュー・アルバム『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』を発売。10月にバンドを卒業したベースのいやまと作り上げた最後の作品は、哀愁ある高速2ビートやお茶目なポップ・ナンバーからDizzyらしさを感じながら、レゲエが色濃く反映された楽曲にも挑戦しており、新たな一面も垣間見ることができる。そんな今作の制作について、moAiに詳細を聞いてみた。
音作りに費やした時間は過去イチ
より良いテイクを選ぶ時間もできた
●今回のアルバム『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』を聴いて、ドラムの音がかなり変わったなと思いました。クリアな感じと、迫力が増したような気がします。
moAi 以前からたびたびお世話になっているMASUOさんにドラムテックに入っていただいたんですけど、今回はドラムの音作りを今まで以上に入念にしているんです。録りの時間より音を作る時間の方が長かったりとかして。クラッシュ・シンバル1枚決めるのに、1時間ぐらいかかったりとかして、サウンドに関しては過去イチこだわったかもしれないですね。
●今回はプロデューサーにmasasucksさんが入られたそうですね。サウンドについても詰められたり?
moAi そうですね。マサさんと、“こういうものにしたい”というものに目掛けてどうしていくのかって話して、すごく先を見据えた音作りにしたなっていう感じでした。単体で聴くとすごくいいなと思っても、あやぺたのギターとかヴォーカルみたいな、上の帯域に対して“ちょっと違うかな”とか、それに合わせてタイコもチューニング変えたりしましたね。
●ということは、音作りに比べて録りの方がすんなりいけた感じですか?
moAi そうなんです。フレーズ自体はどの曲も早めに固まってて、どうしたらいいんだろうっていうのはあんまりなかったので……過去にはけっこうあったんですけど、今回はその迷いがなかったから、サウンドとより良いテイクを選ぶ時間ができたのかなと思いました。
●曲作りの際には、メンバーでスタジオに入って詰めちゃうんですか?
moAi 実はDizzy自体がスタジオで合わせて作るっていうのがあんまりなくて。僕がギターを弾いたりあやぺたが作ってきた歌とか曲に対してドラムをつけるというやり方でやってきたんですけど、どんどんそのスタイルが確立されてきたのもあって、フレーズ自体はすんなりつけられた感じだったんですよ。僕が歌とかギター、ベースに対して“どユニゾン”のフレーズが大好きだったりするので。ドラムを最後につけることもあるんですけど、ギターとベースのフレーズが固まっているぶん、すごくつけやすかったりするんです。
●そうだったんですね! 確かに、moAiさんのドラムは隙間を埋めたり、動きの多いプレイだと思うのですが、他のパートを邪魔しない、曲として一体感のある感じがしてました。
moAi たぶん、ここ3〜4枚くらいの作品でそうなったかなと思います。昔はドラムのフレーズを優先して作ったりも全然あったので、でもなんか違うなって。やっぱり歌とか、メロディ・ラインに乗せてドラムをつけた方が曲としてもすごく自然だったし、無理やりねじ込んだ感じがしないんですごく曲が聞きやすくなったなあと思いました。速い曲だったり、メロディック・パンクな曲って、どうしてもドラムが前に立ちそうになるときもあるんですけど、あくまでバックでぐっと底上げするんですけど、その中でドラムもメロディックなフレーズが入るとすごくおいしく生きるなあと思ってたりしたので、そう思ってもらえてめちゃめちゃうれしいです。
●ところで、今回のアルバムはベースのいやまさんの卒業が決まってから作り始めたんでしょうか?
moAi 制作が始まった段階ではそういった話は出てなかったですね。
●そうなんですね……では最初からいやまさんの卒業に向けたアルバムというよりは、結果的に3人で作る最後の作品になったと。
moAi そうですね。いやまなりに思うことが多々あったみたいで。これからの人生というか生活と、今のバンドのスタイルはたぶん違うのかなってなったらしくて、だからアルバム制作のタイミングとして言えば、いやまの卒業は決まってなかったですね。
Next▶︎「完全感覚Dreamer」を初めて聴いたとき、“こんなに長くてカッコいいドラム・イントロあるのか”と思ったんですよ