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Report –【村上“PONTA”秀一追悼企画 松下マサナオSESSION × 石若駿SESSION】(松下マサナオ、石若 駿)
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- Text:Rhythm & Drums Magazine Photo(Movie Cameraman):Toyomitsu Harada、Ippei Okuyama、Koki Takahashi Special Thanks: MoonRomantic
互いが呼応し合う“パラシュート・セッション”で
次世代へつなぐ力を見せつけた圧巻のポンタ追悼ライヴ!
去る6月28日、村上“ポンタ”秀一氏を偲ぶ特別なライヴの1つが、氏とも縁の深い東京・青山 月見ル君想フにて行われた。追悼企画はポンタ氏もよく出演していたという“パラシュート・セッション”。このセッション、2つのバンドが向かい合い1曲ずつ交互に演奏するのだが、曲順どころかどちらから演奏するのかもその場ですべて決めていくというスリリングな企画で、2013年から始まり今回でVol.96を数える。ポンタ氏を追悼するのにこの上ない企画に相応しく、松下マサナオと石若 駿がリーダーを務め、それぞれYasei CollectiveとCRCK/LCKSを中心としたメンバーを招集。ここではその忘れられない一夜の様子をお届けしていく。
まずは松下が軽く挨拶。「リハでペダルのスプリングが高校生のパンク・バンドくらい固かった(笑)」と語るように、今回のセッションはキット、シンバル、ハードウェアに至るまで、ポンタ氏が生前使用していたものを使用。この日駆けつけたすべての人にとって思い入れの深いセットが会場中央にセッティングされたその構図に、開演前から一際感慨深い空気が流れていた。先攻後攻を決める恒例のじゃんけん(今回は松下曰く「俺と駿は争えない」ということで代理戦争)の結果、まずは松下から。マレットを手に始まったのは現Yaseiメンバー3人によるミニマル・アレンジの「Liquid」。オッド・タイムを駆使し伸び縮みする松下の拍と斎藤拓郎のヴォコーダー、中西道彦のベースが絡み合い、しっとりとしながらも時折スリリングな空気が会場を支配していく。斎藤が伸ばした最後の1和音につなげるように、石若バンドの小西 遼がシンセをフェードイン。フルートに持ち替えそのまま「いらない」へ移行すると、先ほどとは打って変わってメロディアスで華やかな展開に思わず身体が揺れる。初めからエクスペリメンタルな楽曲で会場を支配した松下、その流れを組んでインタールードを即興しダンサブルなナンバーをその場でセレクトした石若というこの一連の流れだけでも、パラシュート・セッションの醍醐味、このメンバーでの演奏のレベルの高さがうかがえた。
続く松下は斎藤、中西と共にグルーヴを構築。沖メイと別所和洋を呼び込むと徳永英明の名曲「夢を信じて」をムーディにアレンジしたカヴァーを披露。先ほどよりもビート感を強めにした歌モノは石若の選曲に刺激されたものだったのだろうか。バトンを戻された石若はさらに熱量を高め「Get Lighter」をセレクト。舞うようなフォームで流れるように手数を繰り出したかと思えば、松下は負けじと「radiotooth」で応戦。一気にエンジンをふかしたように思えた。CRCK/LCKSは間髪入れずに「Searchlight」を繰り出す。井上 銘の静謐なギターの響きに石若のドラムンベース調の刻みがクールな1曲だった。そんなアンビエントな曲調に呼応するように、続いてはYasei Collectiveの「Do Good」が演奏され、再び会場はエクスペリメンタルな雰囲気に包まれた。そしてまたもやその流れを汲むように石若は「病室でハミング」をセレクト。お互いの演奏中に次の楽曲を話し合う姿を見られるのはパラシュート・セッションならではの光景だと思うのだが、曲順が決まっていたのではないかと疑ってしまうほどの計算し尽くされた選曲にはただただ感嘆するしかなかった。
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