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歌のニュアンスに合わせてドラムの強弱を変えていく
他の楽器がカッコいいときに絶対邪魔はしない
去る12月16日に3枚目のフル・アルバム『何者』を発売した4人組ロック・バンド、ポルカドットスティングレイ。2019年の日本武道館での公演以来、数々のタイアップに引っ張りだこのなかリリースされた今作は、キャッチーなメロディ・ラインはそのままに、より綿密なアンサンブルが、聴くたびに新たな発見を与えてくれる1枚に仕上がっている。今回、打ち込みもすべて手がけたというドラムのミツヤスカズマに、前作からのプレイの変化について聞いてみた。
●まずは去年の話になってしまいますが、武道館公演おめでとうございます。
ミツヤス ありがとうございます。
●終えてみてどうでしたか?
ミツヤス 武道館で演奏できるのと同時に、“大丈夫かな、ちゃんと頑張れてるのかな?”と恐縮もありました。それをきっかけにというわけではないですけど、たくさんのスタッフが支えてくれているなというのはあらためて実感しましたね。それまではメンバーのためという気持ちが大きかったんですけど、そうじゃなくて、チーム全体を巻き込んでお客さんに音楽を届けているんだなっていうのを再認識して。そういう気持ちを大きくしてくれたという意味では、武道館を経験したことで新しいスタート・ラインに立てたんだなと感じました。
●今回はあらためてルーツについてもお聞きしていきたいのですが、もともとはギター志望だったんですよね?
ミツヤス バンドに興味を持ったきっかけがBUMP OF CHICKENで、ギターとヴォーカルをやってみたかったんですけど、高校に吹奏楽部しかなくて。とりあえず譜面を読めるようになりたかったのと、ドラムがあるし一番バンドっぽいという理由でパーカッションに入ったんです。部活はパーカッション、家ではギターを弾くみたいな生活で。
大学ではいよいよ、と思って軽音部を見学しに行ったら、ギタリストだらけだったんです(笑)。僕と同年代のドラマーが1人しかいなくて、それだったらちょっと経験があるから「1年生の発表会は僕もドラム手伝うよ」みたいな感じで参加して、そこで初めてバンドの形で合わせたんです。そのときにバンドで合わせるとこんなに気持ちいいんだなって感じて、完全にドラムに気持ちが変わりました。
●当時よく聴いていた音楽やドラマーは?
ミツヤス 先輩達がやっていたのがPTP(Pay money To my Pain)とか、重たい系のバンドだったので、そういうのをよく聴いてましたね。それでスリップノットにハマってツイン・ペダルを買って。とにかく早く叩く、フレージングの強いドラムがカッコいいっていう感覚でした。
●他にも影響を受けたドラマーはいますか?
ミツヤス 日本だと玉田豊夢さんやポンタさん(村上“PONTA”秀一)のドラムがすごくカッコいいなと思って、特にカースケさん(河村智康)の叩き方やニュアンスは頑張って練習してましたね。海外ドラマーだと、スティーヴ・ガッドが衝撃でした。ブルーノートに来たときに見に行って“あんなにリラックスして叩くんだ”っていう。それまでかなり力を入れて叩いてたんですけど、そこでガラッと変えましたね。
●ドラムを強く出すというスタイルから歌を引き立てるというか。
ミツヤス 歌のニュアンスに合わせてドラムの強弱を変えていく感じですね。曲全体のボリューム感に合わせることを意識したり、他の楽器がカッコいいことをしてるときの邪魔は絶対したくないというのが気持ちとして優先するようになりました。
●そういうスタイルが今まさにポルカにすごくマッチしていますよね。
ミツヤス ありがとうございます。
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