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    たたきびと ♯2 アコースティック・ドラムに触れてみよう!

    • Photo:Eiji Kikuchi Special Thanks:CANOPUS

    2014〜16年にお届けした玉田豊夢と朝倉真司による連載セミナー=“たたきびと”をドラマガWebに転載! 打楽器の魅力、楽しさを伝えることを主軸に置いたセミナーで、ドラム&パーカッションを初めてみようという方に最適な内容です。第二回目となる今回は、アコースティック・ドラムと、そのセッティングについて考察します!

    これからドラムを始めてみたいという方は「ビギナーお助け記事まとめ」をチェック!

    楽器を鳴らす、空気を震わせることが
    ドラムの半分くらいを占めている
    ハート・ビートが伝わっているかどうかの感覚は
    アコースティック・ドラムじゃないと
    養われないと思う(朝倉)

    こういう音で、こういう感じで叩きたい
    そういうイメージがあるときは
    そっちが優先で、それを実現するために
    セッティングはもちろん高さや角度、
    楽器自体もすぐ変えちゃいます(玉田)

    ●前回は“楽器がなくてもドラムはできる”という内容でしたが、それでもアコースティック・ドラムに触れた方がやはり良いですよね?

    玉田 そう思いますね。練習パットやエレクトロニック・ドラムとは、タッチやスティックの跳ね返りがやっぱり違いますし、使う筋肉とかも変わってくるので、最初からアコースティック・ドラムが叩けるならば、それに越したことはないですよね。

    朝倉 環境があるならばアコースティック・ドラムの方が良いでしょうね。ただ、みんながみんな叩ける環境にないから、エレクトロニック・ドラムを買ったりするんでしょうけど、個人的には別物だと思っています。やっぱり楽器を鳴らす、空気を震わせるっていうことが、ドラムの半分くらいを占めていると思うんです。

    高校生のときに、他のみんなが音量を好き勝手に上げている中で、ドラムも負けないように工夫してきたんですけど、今考えるとそれが大切だったというか。ハート・ビート……それが人に伝わっているかどうかの感覚はアコースティック・ドラムじゃないと養われないと思うんです。やっぱり“振動”ですから。

    ●なるほど。アコースティック・ドラムの生音を体感することが大切なんですね。

    玉田 実際に触ってみないとわからないことって多いですからね。僕はドラムを作り始めた1年後に、地元の小さい楽器店の奥の小部屋にドラム・セットがあることを知って、中2のとき初めて生ドラムを叩いたんですけど、とにかく衝撃でしたね。音のでかさもそうですけど、“何だこの変な音は?”って(笑)。

    置いてあったのはヤマハのすごく古いドラムなんですけど、チューニングもめちゃくちゃで、ヘッドもベッコボコに凹んでて、“CDやレコードで聴いた音と違う!”って(笑)。

    朝倉  (笑)。あとは人が叩いているのを観に行くのも重要だと思いますね、やっぱり。それもハードルを上げる必要はなくて、例えば友達がスタジオに入るときに一緒について行くとか。人が叩いているのを側で見れる機会があれば、絶対に発見があると思うんです。“ドラムってこんなに強く叩くんだ!”とか。それで興味が沸いたら、例えばドラム・セミナーに行ってみるとか。ジャズのクラブなんかは近くで見られるのでお勧めですね。

    ●楽器やセッティングのことを知っておくと、もっと楽しめますよね。

    玉田 そうですね。でもセッティングも実は何でもいいと思うんです。よく教則本に“こうした方が叩きやすい”とか書いてありますけど、その通りにする必要は全然なくて。セッティングもイメージが大切というか、もっと自由で良いと思いますね。

    朝倉 自分はパーカッションをやっているからなのか、ドラムに関しては全部同じ楽器、同じセッティングにして、自分の方でいろいろと変える感じが好きなんです。パーカッションは何をやっても良いぶん、ドラムに関しては発想が保守的で、セッティングもほとんど変えない。フロアを1つにするか、2つにするか、くらいの違いで、シンバルの枚数も同じ。

    一時期、カースケさんがドラムで、僕がパーカッションでツアーを回ることが続いたことがあって、隣にいてすごく影響を受けたんです。非常にわかりやすいというか。似せたつもりはないんですけど、シンバルもストレートで、近いセッティングになりましたね。

    玉田 僕もベーシックなセッティングは朝倉さんと近いんですけど、こういう音で、こういう感じで叩きたいというイメージがあるときはそっちが優先で、それを実現するためにセッティングはもちろん、高さや角度、楽器自体もすぐ変えちゃうんです。だから朝倉さんのように1つの楽器、1つのセッティングを貫いているのを見るとカッコいいなぁと思いますね。

    ●玉田さんはTwitterでよくレコーディングで使った機材の写真をアップしていますけど、毎回セッティングが違いますよね。

    朝倉 確かに毎回違うし、いつもすごい気になる。“ヘッドは何使ってるんだろう?”とか。豊夢君が使っていて“良いな”と思ったものは、すぐ買っちゃう(笑)

    玉田 (笑)。音楽に合わせてっていうのが第一なんですけど、セッティングを変えることで自分を興奮させたり、新鮮さを保っている面もありますね。

    ●セッティングは人それぞれ、というのは理解できると思うのですが、初心者の場合、最初はやはり悩んでしまうと思うのですが……。

    朝倉 最初は好きなドラマーの真似で良いと思いますね。

    玉田 そうですね。真似からスタートして、そこから広げていく方が良いと思います。

    セッティングのあれこれ

    ここでは1バス、1タム、2フロア・タムというシンプルなドラム・キットを使って、それぞれに普段のセッティング、そして実際に試したことのあるセッティングを自由に組んでもらった。2人のスタイル、そしてドラム観がセッティングに表れていることがわかるはず。

    玉田流セッティング

    • セッティングA

    ▲音楽から受けるイメージによってセッティングを大きく変えるという玉田。ここで紹介するのは、ベーシックとなるセッティングAと、撮影時のインスピレーションで閃いたB〜Eの5パターン。セッティングAでは、シンバルとタムがフラットになるようにセットされているのが特徴。配置はもちろん、タムの角度や、スタンド類の高さがそれぞれで異なっている点に注目。

    朝倉流セッティング

    • セッティングF

    ▲ドラム・セットに関しては保守的で、セッティングはほとんど変えないという朝倉。ベーシックとなるセッティングFは、シンバル&タイコがフラットに並び、玉田のそれと近いが、椅子も含め、全体的により低くセットされているのが写真からもわかるだろう。普段はさらにタムを低くしているそうだ。セッティングGはフロア・タムが1つのパターン。

    ※本記事は2014年9月号の連載セミナーを転載した内容となります。

    朝倉真司●音楽家、ドラマー、パーカッショニスト 。1996年にLOVE CIRCUSのメンバーとしてデビュー。その後、ヨシンバ、パーカッショングループ ”Asoviva!”のメンバーとして活動しながら、森山直太朗、一青窈、くるり、秦基博、あいみょん、Superfly、ONE OK ROCK、岸谷香、いきものがかり、レキシなどのさまざまなアーティストのライヴ/レコーディングに参加している。
    2017年9月には森山直太朗劇場公演「あの城」(本多劇場・2018年3月映像作品化)、2019年7月には20th century(V6) TWENTIETH TRIANGLE TOUR「カノトイハナサガモノラ」
    (グローブ座、北九州劇場、梅田芸術劇場・2020年3月映像作品化)にそれぞれ役者としても出演している。
    玉田豊夢●1975年生まれ。20歳の頃からサポート活動をスタート。100s、C.C.KINGのメンバーとしても活躍。これまでに中村一義、小谷美紗子、斉藤和義、レキシ、いきものがかり、Superfly、フジファブリック、ポルノグラフィティ、宮本浩次など数多くのアーティストのライヴ/レコーディングに参加。13年には自身のシグネチャー・スネアを発表した(生産完了)。

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