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Drummer’s Disc Guide – April 2020

– April 2020 –

【A】=アルバム 【M】=ミニ・アルバム 【E】=EP 【V】=DVD、Blu-ray


【A】タワー・オブ・パワー『ステップ・アップ』

キング KKP-1049 ¥2,400+税 発売中

d:デヴィッド・ガリバルディ

伝説のリズム・セクションが全曲参加
結成50年を過ぎてもこの切れ味、すごいです

“Ground-Breaking”という英語があります。壁を打ち破って新しいコンセプトを提示するといった意味ですが、70年代におけるドラミングの“Ground-Breaker”の1人がデヴィッド・ガリバルディであることに異論を唱える人はいないでしょう。74年リリースのアルバム『バック・トゥ・オークランド』はまさに全ドラマー必聴の名作。その冒頭に収められた「オークランド・ストローク」を彷彿とさせるイントロから始まるこのニュー・アルバム、ロッコ&ガリバルディの伝説のリズム・セクションが全曲参加、バリトン・サックスのスティーヴ・クプカも健在です。いかにもTOPという曲もあり、思いのほかポップな曲もあり、バンド結成50年を過ぎてもこの切れ味、すごいです。 (神保 彰)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】デヴィッド・ガリバルディ(d、timbales)、フランシス“ロッコ”プレスティア(b)、ジェリー・コルテス(g、sitar、cho)、ロジャー・スミス(org、key、vo)、ジョー・ヴァネリ(key、per、marimba)、TOPストリングス(vln、cello)、エミリオ・カスティーヨ(sax、vo、cho)、スティーヴン“ドック”クプカ/トム・ポリッツァー/チャック・ハンセン(sax)、アドルフォ・アコスタ/サル・クラキオーロ(tp、flugelhorn)、デイヴ・エスクリッジ(horn、strings)、レイ・グリーン(vo、cho、tb)、マーカス・スコット(vo、cho)、リア・ミュークス&ティワナ・ポーター/メラニー・ジャクソン(cho)

発売元:キング(輸入盤国内仕様) 品番:KKP-1049 本体価格:¥2,400 発売日:2020.3.20

◎Special Interview
本誌2005年5月号掲載、ガリバルディ×ロッコによる貴重な対談を抜粋して公開中!
→アーカイヴ・インタビュー記事はコチラ

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【A】ヴァージル・ドナティ『ルーイネーション』

d:ヴァージル・ドナティ

冒頭からブチかます32分音符のコンビネーション
今作はホールズワース系の変態サウンドがうれしい

ヴァージルの最新ソロ作品はテクニカル系、プログレッシヴ・メタルと形容されている。プログレ、フュージョン、メタルという幅広いジャンルのファンを唸らせる今作は、ハンパない凄腕のメンバーが総勢13名。ヴァージルは冒頭からスリップ・ビートに32分音符のコンビネーションをブチかましている。ドラムのサウンドはサンプル音源を鳴らし、正確にクオンタイズをかけたような、手間暇をかけた編集がされている。僕としては、もっと生音が聴きたいと感じるのだが、M6の「ザ・クワイエット・プレイス」あたりから生音のパーセントが上がってきて、ダイナミクスのレンジが広がり、いい感じになってくる。全体を通じてホールズワース系の変態サウンドがうれしい。(菅沼孝三)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】ヴァージル・ドナティ(d、key)、ジュニア・ブラグインハ/エヴァン・マリエン/アントン・ダヴィディアン(b)、アンドレ・ニエリ/ジュリアン・ラージ/マルコ・スフォーリ/カール・モルナー・リングストレム/マッテオ・マンキューソ(g)、クリス・クラーク/ジョー・シンダモ/スティーヴ・ハント/アレックス・アルジェント(key)、アーウィン・トーマス(vo、g)

発売元:ディスクユニオン(輸入盤国内仕様) 品番:DUPG-258 本体価格:¥2,364 発売日:2020.4.25

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【A】サンダーキャット『イット・イズ・ホワット・イット・イズ』

d:ルイス・コール/ロナルド・ブルーナーJr./アレックス・ソウィンスキー

ブラック・ミュージックをキャッチーに昇華
偉才のドラマー達が放つプレイは見逃せない

キャッチーなエッセンスを織り交ぜ、ブラック・ミュージックを新しい形に昇華させるベーシスト、サンダーキャットの新作。豪華ゲスト陣の中でも、偉才のドラマーが揃っている点は見逃せない。ロナルド・ブルーナーJr.が参加するM2は、ゴースト・ノートを駆使し、ダイナミクスを絶妙にコントロールする流麗なドラミングが聴きごたえ満点。彼の“引きのプレイ”に注目できるM4では、シンプルなビートを基調としながら、ハーフ/ダブルタイムのアプローチで、ファンキーなノリに見事な変化を与えている。さらに、“ルイスといると自分はクレイジーじゃないとわかる”という歌詞が微笑ましいM3のドラムは、ルイス・コール本人が演奏。高速テンポで刻むビートがご機嫌なメロディにマッチしている。(錦織文子/編集部)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】ルイス・コール(d、key)、ロナルド・ブルーナーJr./アレックス・ソウィンスキー(d)、ステファン・ブルーナー(b、vo)、チェスター・ハンセン(b)、ペドロ・マーティン/マット・タヴァレス(g)、ミゲル・アトウッド・ファーガソン(strings)、スティーヴ・レイシー(vo、g)、スコット・キンゼイ/テイラー・グレイヴス/デニス・ハム/ブランドン・コールマン(key)、スティーヴ・アーリントン/マイケル・マクドナルド(key、vo)、スティーヴン・エリソン(key、cho)、カマシ・ワシントン(sax)、ザック・フォックス/リル・B/タイ・ダラー・サイン/チャイルディッシュ・ガンビーノ(vo)、ニキ・ランダ(cho)

発売元:ビートインク 品番:BRC-631 本体価格:¥2,200 発売日:2020.4.3

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【A】パール・ジャム『ギガトン』

d:マット・キャメロン

これぞバンドの屋台骨!
不動のドラミングで現在のグランジ・ロックを体現

パール・ジャム7年ぶりとなる新作が完成。いやーカッコいいです! 90年代に世界を席巻したグランジ・ロックがここに健在……いや変わらないと感じさせる時点で、相当進化しているということなのだろう。プロデュースは彼らのサウンドを熟知したブレンダン・オブライエンではなく、エンジニア&ミックスを務めたジョシュ・エヴァンスとの共同名義で、M3など今までになかったテイストの楽曲も収録されている。そんな骨太サウンドの核を担うのがマット・キャメロン。近年は初のソロ・アルバムでギター&ヴォーカルに挑戦していたが、本作では“これぞバンドの屋台骨!”という感じで、安定感と躍動感を備えた不動のドラミングを展開。古巣サウンド・ガーデンのドラマーも兼任するマットこそ、現在のグランジ・ロックを体現している存在と言えるだろう。(北野 賢/リズム&ドラム・マガジン編集長)

◎Disc Information

【参加ミュージシャン】マット・キャメロン(d、g)、ジェフ・アメン(b、g、p、key、kalimba)、マイク・マクレディ(g、per)、ストーン・ゴッサード(g)、エディ・ヴェダー(vo、g、key)、ジョシュ・エヴァンス/ブレンダン・オブライエン(key)、メーガン・グランドール(cho)

発売元:ユニバーサル(直輸入盤) 品番:UICU-9101 本体価格:¥2,700 発売日:2020.4.3

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【A】吉田佳史『Charge』

d:吉田佳史

ハイブリッド・セッティングでの録音という意欲作
西海岸を感じさせる大きなスケールのビートが心地良い

近年では若手〜大御所まで幅広いサポートをこなすTRICERATOPSのドラマー、吉田佳史の1stソロ・アルバム。本人が作曲したインストのオケにATVの音源モジュール&パッド+アコースティック・シンバルのハイブリッド・セッティングによる録音という意欲作で、注目はやはりそのドラム・サウンドと言えるだろう。「乾いた空気が感じられる海外のスタジオで録ったような音を目指した」と本人が語るように、西海岸を感じさせる大きなスケールのロック・ビートがとにかく心地良い。単に力強いだけでなく、ファンク、R&B、ソウル、ハード・ロック、フュージョンなど、さまざまな音楽を吸収してきた吉田の確かなテクニックも光る。(横尾 彰)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】吉田佳史(d)

発売元:TRINITY ARTIST 品番:TTLC-1015 本体価格:¥1,909 発売日:2020.4.22

◎Special Interview
吉田佳史が、本作『Charge』の制作やねらい、サウンドへのこだわりを語る!
→インタビュー記事はコチラ

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【A】RED ORCA『WILD TOKYO』

d:金子ノブアキ

唯一無二の“あっくんビート”が最高に気持ち良い
ルーツ全開のミクスチャー・サウンドが突き抜けていく

結成が発表されてから音源をめちゃくちゃ楽しみにしてたバンド。それぞれのキャリアがしっかりあるメンバーが新たに組むバンドって交わりが悪かったり、個々がぶつかり合ってバンドになってないパターンも多くあるけど、RED ORCAは1枚目、しかもここまで個が強いメンバーが集まってるにも関わらず、完璧にバンドの音になっている。その上メンバーの顔はしっかりと音から浮かぶ。にも関わらずやはり首謀者であるあっくん節がすさまじい!! まさに純度120%で唯一無二のあっくんビート全開! 最高に気持ち良い! めちゃくちゃ絶妙なバランスで1曲目から最後までバリエーション豊富ながら一切テンションが下がることなく、ルーツ全開のミクスチャー・サウンドが突き抜けていく。そしてとにかくライヴに行きたくなる音源。俺が憧れてる先輩は常に最高にかっこいいです!!(Katsuma/coldrain)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】金子ノブアキ(d、cho)、葛城京太郎(b)、PABLO(g)、草間 敬(manipulation)、来門(vo)

配信限定 品番:ORCA-0320 本体価格:¥1,800 発売日:2020.3.20

◎Special Interview
金子ノブアキに、新プロジェクト=RED ORCAや本作『WILD TOKYO』でのこだわりを聞いてみた!
→インタビュー記事はコチラ

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【A】TK from 凛として時雨『彩脳』

d:BOBO

TKの繰り出すイメージとシンクロして
アンサンブルの核となっていく圧巻のドラミング

“TK from凛として時雨”のソロ4作目。これまでの作品も一音一音への深い追求が伝わってくる質の高いアルバムであったが、今作のクオリティはもはや衝撃的。全13曲、バラエティに富みつつも一分のスキもないアレンジと、独特の歌声によって構築される世界は、どこかロック・オペラを観ているような感覚に包み込まれる。そして、生ドラムの全曲を委ねられたBOBOのプレイもまた衝撃の連続。どの曲のどんな場面でもTKの繰り出すイメージとシンクロしてアンサンブルの核となっていく様子は圧巻。もし「BOBOってどんなドラマー?」と聞かれたら、今は迷わずにこのアルバムを聴かせたいくらい、彼の魅力が存分に伝わってくる作品だ。(山本雄一/RCCドラムスクール)

◎Disc Information
【参加ミュージシャン】BOBO(d)、キタニタツヤ/吉田一郎不可触世界/山口寛雄(b)、TK(vo、g)、ちゃんMARI/Tomi Yo(p、cho)、小松陽子/Miku Nakamura/世武裕子/Kie Katagi/河野 圭(p)、須原 杏/佐藤帆乃佳(vln)、田島華乃/Mikiyo Kikuchi(viola)、関口将史/村中俊之(cello)、山内豊瑞(fl)、小山裕己(ob)、篠塚恵子(cl)、安藤裕子/suis/Salyu(vo)、鎌野 愛(cho)

発売元:ソニー 品番:AICL-3888 本体価格:¥3,000 発売日:2020.4.15

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