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ゼロから始める! 初心者のためのドラム・ガイド
- Text:Yuichi Yamamoto (RCC Drum School)/Photo:Takashi Yashima/Illustration:eobrazy(iStock)/Model:Koharu Yamaki
【Section8】“わかると楽しい!” ドラム譜の世界
楽器に楽譜はつきもの。そしてドラム・セットにも“ドラム譜”というものがあるのです……と言われると、“うわ〜、そういうの苦手!!”と逃げ出したくなる人もいるかもしれませんね。でもそこは考え方次第。ドラム譜がわかるようになると、ドラムを叩くことがもっと楽しくなるし、先々もいろいろと便利になります。他の楽器の譜に比べると少し特殊な世界ですが、外国の言葉を覚えるような感覚で初歩にチャレンジしてみましょう。
上の図は、私がドラム譜を書くときの基準にしている設定です。ピアノなどの音階がある楽器は“ド・レ・ミ〜”と鍵盤の高さを五線上に書きますが、ドラムの場合はこのように楽器ごとに高さや符頭(黒丸や×印)を設定して記していきます。また、足で踏む音は棒が下向き、手で叩く音は棒が上向きになるのも特徴です。ドラム譜は、書く人によっていろいろな書き方があり“これが正解”という世界共通の書き方は存在しないのですが、まずはこの図を理解できると、これとは違う表記を見ても応用できるでしょう。
〜理解したいドラム譜の活用法〜
Q.1 ドラム譜の簡単な例を知りたい
A.1 では、前項の【Section7】でやった8ビートのリズムをドラム譜にしてみましょう。“ドン・チッ・パン・チッ・ドン・チッ・パン・チッ”と叩いたリズムを楽譜にすると、以下のEx-1のようになります。
この段階では“楽譜を見て叩こう”とは思わなくて大丈夫。むしろ、すでに叩いたことのあるリズムを“なるほどね、ドラム譜にするとこうなるんだ”と気楽に考えられるといいですね。
また、【Section4】“手足でドラマー体験”で叩いた“右・全部・右・全部”というパターンをドラム譜にすると、下のEx-2になります。
どうでしょう? これが“右→全部”という動きに見えてきたら、ドラム譜の基本がわかってきた証拠です!
Q.2 ドラム譜を読むコツはある?
A.2 これはまさに“読む!”に尽きますね。その典型がQ.1にあるEx-1。そこに書かれている音符を“口ドラム”で読めるように訓練していくのです。例えば、“東京都”の文字を見た瞬間、みなさんの頭の中では“トウキョウト”と自然に変換されていませんか? これと同じです。ドラム譜を見た瞬間に“ドン・チッ・パン・チッ〜”という言葉に変換できるようになるのが第一歩。ちなみにドラムの音を言葉に変えるときのルールはありません。自分で感じるイメージで自由に発音してOKです。
その力がついてくると、実際のドラム・セット上でも楽譜を見て叩ける力もついてきます。もちろん最初から簡単にはいきません。でも、ドラム教室の生徒さんを見ていると、繰り返し取り組む中で自然と読めるようになっています。みなさんも根気よく頑張りましょう。
Q.3 バンド・スコアって何? ドラマーはどうやって使えばいいの?
A.3 “バンド・スコア”というのはバンドで演奏するのに必要な全パートが載っている楽譜です。例えば初心者バンドで「SiMの曲をやりたい!」となったときは、市販されているSiMのバンド・スコアを手に入れて練習していくのです。でも、実際は1曲が何ページにもおよんでしまうので、それをめくりながらは叩けません。
また実際の演奏時は、スコア通りの100点満点を目指す必要はありません。ドラム・パートに限っていうと、“この譜面はヒント”くらいの心構えがいいですね。細かい部分は気にし過ぎず、途中で決して止まらず、原曲のノリを最優先で1曲を叩き通す……を目標にしてバンド・スコアとつき合っていきましょう。