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ゼロから始める! 初心者のためのドラム・ガイド
- Text:Yuichi Yamamoto (RCC Drum School)/Photo:Takashi Yashima/Illustration:eobrazy(iStock)/Model:Koharu Yamaki
【Section7】“もっと叩きたい!” 自宅に作る練習環境
“自宅でも練習がしたい!”と思っても、本物のドラム・セット、もしくは“エレドラ”を導入するのは決して簡単なことではありません。かと言って、「何もないから何もやらない」というのはもったいないですね。ここでは、市販されているトレーニング・パッドの導入を中心に、自宅の練習の環境作りを考えてみたいと思います。せっかくの“ヤル気”が失せないように、自分の環境に合わせて考えてみましょう。
トレーニング・パッドの種類と選択
いざトレーニングパッドを買おうと調べてみると、いろいろな種類があって迷ってしまうと思います。実際に自分で試してみて“コレが良いな”と思えるならばそれを選んで良いと思いますが、“全然わからない!”という人に私からオススメする基本条件は……スタンドがついていること(別売りのスタンドを使うのも可)、打面は自然な打感とバウンドがあるという2点ですね。
ドラム・セットは椅子に座って演奏する楽器なので、自宅での練習も椅子に座った姿勢を基本にしましょう。そう考えると、家にある椅子に応じて高さや角度調整ができるスタンドつきのタイプが最適です。打面に関しては、本物のドラムと同様に“叩いた”と“弾む”という両方の感覚をシッカリ味わえる方がいいですね。最近のパッドは“打感がリアルなのに音は静か”というタイプもいろいろとあるので、以下のQ&Aコーナーも参考にしつつ、楽器店で相談してみましょう。
〜気になる自宅練習と音量のアレコレ〜
Q.1 パッドの音量はどれも同じ?
A.1 これはタイプによってさまざまですね。例えばドラム・スクールのようにある程度の音量が必要な場所では、本物のヘッド構造に近く、音もシッカリと出るタイプが役立ちます。また、音量の大小よりもリアルなバウンド感だけを追求して作ったタイプもありますね。
逆にできるだけ小音量で、あえてバウンドもなくしたジェル・タイプ(左写真)もあります。この打感は独特なので初心者にはあまり向かないのですが、あくまでも“静音重視”であるならば選択肢に入るでしょう。そして、右写真のようなメッシュ・ヘッドを張ったタイプも静音性に優れています。チューニングキーで打面の張り具合いを調整できるので、いろんな打感での練習もすることができます。
Q.2 パッドの練習で注意することはある?
A.2 “エレドラ”のページでも書きましたが、やはり“叩く”という動きである以上、多かれ少なかれ音は出てしまいます。また、打面を叩いた音だけではなく、その衝撃で床下に伝わる振動もあるので、アパートやマンションの場合は注意が必要ですね。スタンドの下に防振性のある素材を敷くなどの工夫で、ある程度は軽減できます。
また、パッドは音が小さいぶん、必要以上に強打してしまいがちです。機会があれば、愛用のパッドと本物のスネアを並べてみましょう。そして“パッドを叩いてからスネアを叩く”、逆に“スネアを叩いてからパッドを叩く”という比較テストをしてみると、どのくらいの強さでパッドを叩けば、本物のスネアでちょうどいいか?という目安がわかります。
上の写真のような足用のパッド一式と、スタンド式のパッドがあれば、少ないスペースでかなり密度の濃い練習ができます。ただ、足用パッド&フット・ペダルのコンビは、やはり相当な振動を床下に伝えてしまうので、一戸建ての家ならばともかく、集合住宅の2階以上は注意が必要ですね。
Q.4 どうしてもパッドを買わなきゃダメ?
A.4 “どうしても”ということは全然ないのです。実際、いろいろと工夫して自作のパッドを作るのもアリですね。昔からよくあるのは、少年誌などの分厚い雑誌を布製のガムテープで巻いて打面を作る方法。その他にも、ホームセンターで板やゴム素材を買って自分好みのパッドを作る人もいます。あと、個人的にオススメしたいのはブラシを使った練習です。
ページ・トップの写真は“ナイロン・ブラシ”というドラマーが使う道具(楽器屋さんで手に入ります)で机を叩いているイメージです。スティックを使う基礎練習とは異なりますが、曲の確認練習ならば、結構しっかり叩いても騒音や振動は少ないので役立ちます。ちなみに本格的な上写真の“ワイヤー・ブラシ”でもいいのですが、叩いた場所が黒くなってしまうので注意してください。