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ゼロから始める! 初心者のためのドラム・ガイド

  • Text:Yuichi Yamamoto (RCC Drum School)/Photo:Takashi Yashima/Illustration:eobrazy(iStock)/Model:Koharu Yamaki

【Section6】“楽譜を使わず8ビート!” リズムを叩く楽しさを知ろう

ドラムを叩きながら“うわ〜、まるでドラム叩いているみたい!”という不思議な気分になる……ちょっとおかしな表現ですが、初心者がドラムの楽しさを実感できるのは、リズム・パターンを叩けるようになったときだと思います。リハスタで本物のドラムを叩いたり、エレドラで練習できる環境を手に入れたら、ロックやポップス系の基本にもなる8ビートのリズムに挑戦してみましょう。

スティックの持ち方

本格的なドラミングの前に、スティックの持ち方を確認しましょう。ここでは(写真1)のように、左右の手を同じ形で持つ“マッチド・グリップ”を使います。

持ち方についてですが、まずは(写真2)ような向きで、人差し指と中指の上にスティックを乗せ、(写真3)のように軽く親指を添えます。そして(写真4)のようにフワッと包み込むような感覚で持ち、手の甲を上にむけて構える(写真5)で完成です。

標準的なスティック1本の重量は40~50グラムほど。幼児でも余裕で持てる軽さなんですね。ですから実際にスティックを持つときは、“へぇ~、スティックって軽いんだなぁ~”という気分で握るところから始めてみましょう。(写真6)のように、“よし、頑張るぞ!”と強く握り、腕と一体化してしまうと……腕の重さ(成人で3~4kg)が加わった、重たい棒に化けてしまうのです。

〜歌って覚えよう“初心者の練習方法”〜

Q.1 楽譜を使わなくてもドラムの練習はできる?

A.1 ここでは楽譜を使わずに、“言葉と動き”をリンクさせる方法に取り組んでみましょう。まずは3種類の言葉でリズムを表現するところからスタート。“ドン”、“チッ”、“パン”を組み合わせて……“ドン・チッ・パン・チッ・ドン・チッ・パン・チッ” というフレーズを何度も繰り返し歌ってみましょう。あたかもヴォイス・パーカッションのように、できるだけカッコ良くリズミカルな発音を目指します。

次にドラム・セットでも3種類の音の出し方を覚えましょう。どれも左足=ハイハットのペダルは常に踏んだ状態で叩きます。

まず、(写真7)“ドン”。バス・ドラムとハイハットを同時に叩きます。
(写真8)“チッ”。こちらはハイハットだけを叩きます。
(写真9)“パン”。ここではバス・ドラム、ハイハット、スネアを同時に叩きます。

最初に言葉で発したフレーズをドラム・セットの音に置き換えていくことでリズムが叩けるようになります。これが8ビートの基本型。焦らずにゆっくりとトライしてみてください。

Q.2 初心者が下手に聴こえちゃうのは何故?

A.2 経験が浅いうちはやはり“安定感”が違います。自分でも不安定なのがわかっているのに直せない。それはイメージ通りにスティックやペダルをコントロールできないのが原因で、それを修正したり克服していくのが“練習”になるわけです。また“音色とバランス”も大切な要素。

初心者はシンバルの音が汚かったり、バス・ドラムやスネアが弱過ぎたりと、楽譜としては合っていても損をしてしまいがち。これは上手な人の演奏を間近で聴く機会を作り、“良い音”の基準を知ることが必要ですね。そこで“あの人みたいな音を出したい!”と思えるようになることが大切な一歩です。

Q.3 メトロノームに合わせて練習した方がいいの?

A.3 正確なテンポを教えてくれるメトロノーム。それを聴きながらの練習は大切です。ただ、何も叩けないうちからメトロノームを鳴らすと、それはそれでパニックになってしまいますね。Q.1で紹介しているリズムだったら、ある程度の形になるまでは自由なテンポで練習をし、その仕上げとしてメトロノームを使うことをオススメします。

メトロノームにはさまざまな種類がある。左写真はドラマーに特化した機能のタイプ。右写真のようなスマホのアプリも充実している。

実際にメトロノームを使うとしたら、持久力を養うためにも“3分間は止まらずに叩き続ける”といったルールを作るといいですね。また、程良いテンポの曲に合わせて、Q.1のパターンだけをひたすら叩き続けるというのも効果的な練習。おすすめの練習曲は、星野 源さんの「SUN」ですね。フィルインとか何も要りません。1曲通して叩き続ける楽しさと大変さとを体験してみましょう。

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