NOTES
UP
ゼロから始める! 初心者のためのドラム・ガイド
- Text:Yuichi Yamamoto (RCC Drum School)/Photo:Takashi Yashima/Illustration:eobrazy(iStock)/Model:Koharu Yamaki
【Section3】“本格スタートへの道” マイ・スティックを手に入れる
“さぁ、ドラムを始めよう!”と思い立ち、楽器屋さんにスティックを買いに向かったところでいきなりのピンチ! “な、何でこんなにたくさんの種類が……”、そして“どれを買えばいいんだろう?”と迷うのは、初心者ドラマーの“あるある”かも知れません。というわけで、ここでは“どういう違いがあるのか?”という基礎知識を記しつつ、スティック購入時のアドバイスをしていきましょう。
ドラム・スティックの見た目は “木の棒”でありながら、とても緻密かつ精巧な作りになっています。その細かい違いはドラム歴に応じて感覚的にわかってくるのですが、まずは材質、太さ(径)、長さ(スケール)、ショルダーとチップの形状の4点を意識できるようになるといいですね。
材質については、代表的な種類の特徴を一覧にまとめました。同じ材質、長さ、太さでも、ショルダーやチップの形状が違うと重量感や音色も違ってきます。そういった違いが生まれるポイントを少しずつ理解していく中で、自分に必要なスティック選びができるようになるといいですね。
【スティックの代表的な素材】
■ヒッコリー(Hickory)
最もポピュラーなスティックの材質。
すべてにおいて平均的、かつオールマイティ。
■オーク(Oak)
やや比重が重くパワフルなサウンドを求めるドラマーに適している。
耐久性も高い。
■メイプル(Maple)
比重が軽いぶん、繊細で澄んだ音色が出しやすい。
耐久性はやや弱く突然折れることもある。
〜覚えておきたい“スティック選び”のポイント〜
Q.1 楽器店でスティックを選ぶときの注意点は?
A.1 すべてのスティックは売り物です。試打をするのはOKですが、不用意に傷をつけないようにしましょう。品揃えが豊富な店では試打用の練習パッドも用意されているので、それを使いつつ丁寧に扱うのがエチケットです。
また、初心者が長時間悩み過ぎるのも疲れてしまいますね。決して人生最初で最後の1組というわけではないので(笑)、「よし、今日はこれを買って帰ろう!」くらいの決断力も大切です。あとは、天然の木材がゆえにスティックが反っている場合も時々あります。平らな場所で転がすか、目視で反りの有無を確認してみましょう。
Q.2 初心者にオススメのスティックは?
A.2 初心者に“最初の1組”として私がオススメしているスペックは下記の図の通りです。スティックの細かい情報は楽器店の棚に書いてある場合がありますし、カタログやWebでも確認することができます。小学校の低学年くらいまでは子供用の小さなスティックもいいと思いますが、そうでない場合は以下の範囲内から好みで選んでみるといいでしょう。ある程度の太さや重さがあった方が弾ませる感覚を意識しやすく、また音量も自然に出せます。
Check It!
🔰初心者にオススメのスペック🔰
材質……ヒッコリー
チップ形状……自由
長さ……390〜410mm
太さ……14〜15mm
Q.3 好きなドラマーのシグネチャー・モデルを使うのはあり?
A.3 好きなドラマーのモデルは私もたくさん買いました。それを持っているだけで憧れのドラマーに近づける気になりますよね。それを実際に使ってみて叩きやすければOKです。でも“何かシックリこないなぁ”と思う時間が続くならば……それは大切に飾っておきましょう(笑)。
“あのドラマーと同じスティックを使えば突然速く叩ける”といったような奇跡はおそらく起きません。逆に、そのモデルのドラマーが誰だか知らなくても、使いやすいと感じたら使うのもありですね。私の生徒の年配男性で、L’Arc~en~Cielのyukihiroシグチャー・モデルしか使わない人がいましたが、その人はラルクを知らないようでした……(汗)。
Q.4 スティックの交換時期は?
A.4 スティックは決して安くありません。なるべく長持ちさせたい気持ちはわかります。とは言え、“え! どうして折れないの?”という状態まで細く削れてしまったスティックを使い続けている人も見かけますね……。
スティックは消耗品。左写真(スマホの場合は上写真)のように激しくささくれると、いつ折れるかわからないし、トゲが刺さる場合もある。また、右写真のようにチップが削れてしまうと音色が濁ってしまうので、トラブルが起きる前に交換しよう。
これは折れる危険度は当然のこと、ボリュームやリバウンド感もなくなり、本来の自分の力が発揮できなくなっている可能性大。ある程度の削れや、ささくれ状態までは私も使い続けますが、新品の音色やボリュームとかけ離れてきたら、まだ折れていなくても潔く交換しましょう。