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芳垣安洋が語るトニー・アレン Part.1 トニーのアフロ・ビート解説

トニー・アレンの奏法

YouTubeに、トニーのクリニック映像があって、最も基本になるリズムの話をしているので、それも参考に解説していきましょう。まずは足からバス・ドラム、次にハイハットを加えて、基本のビートを作ります(Ex-2)。

ハイライフでは2ビート的だったものが16分音符のアタマ2つを踏むことで独特のウネりを作ります。このダウン・ビートは西アフリカのポップスにもよく見られる形です。バス・ドラムの塊が、ファンクのように、前の拍のアップ・ビートからの流れでダウン・ビートにつながるのとは違うので、16分音符の間隔が詰まらないように注意してください。

腰から下が安定したら、次はスネア(Ex-3a)。ここまでリズムが組み上がったら、ハイハットなりライドなりで細かいパルスを入れていきます(Ex-3b)。できればハイハットを手で刻むとき、ウラ拍を足で踏みながら、それがうっすらとアクセントに聴こえるように演奏できると、彼のニュアンスが理解できると思います。

トニーの奏法は、カカトをつけたスタイルで踏み込み、ビーターやハイハットの打面/打点に当たる時間が長めです。スネアを叩くスティックも反対に持ち、グリップ・エンドで落とすように打っています。音符の正確な立ち上がりと音価が感じやすくなるのでしょうし、音も太くなります。16分音符が詰まってしまうときにもこれを試して、リズムに慣れたら普段の自分の奏法に戻してみてください。

リズムの形としては、以上が基本なのですが、バス・ドラムを8分音符で踏んだものや、スネアと入れ替えた形、ハイライフ的なものなどもあります(Ex-4a〜c)。

また、「ドラム以外はいらない」と言ったものの、大きなリズムのウネりが欲しかったのでしょう。フェラ・クティはバンドにパーカッションを入れました。この中で特にウッドブロックとシェケレは重要なパートを担っています。曲に合わせてこのリズムを刻んでみると、さらにグルーヴがよくわかります(Ex-5)。

▶︎Part.2では芳垣が選ぶトニー・アレンの必聴盤14選を紹介!