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    【連載】博士 山本拓矢がデジマートで見つけた今月の逸品 ♯7 〜Yamaha AMS1460 〜

    • Photo & Text:Takuya Yamamoto
    • illustration:Yu Shiozaki

    第7回Yamaha Absolute Hybrid Maple Snare Drum (AMS1460)

    ドラム博士=山本拓矢が、定番商品や埋もれた名器/名品など、今あらためて注目すべき楽器たちを、楽器ECサイトであるデジマート(https://www.digimart.net/)で見つけ、独断と偏見を交えて紹介する連載コラム。今回は博士自身がテーマを設けて選んだスネア・ドラムにフォーカスします!

    いつもご覧いただき、ありがとうございます! 今回は、2014年7月に発売され、後続の製品群と比較してもその輝きを失わず、名実共に定番商品と呼べるに至ったであろう、YamahaAbsolute Hybrid Mapleのスネア・ドラム(AMS1460)に注目していきます。

    今月の逸品 【AMS1460

    • Pink Champagne Sparkle

    今月は選定に際して、テーマがありました。難しいテーマなので、前置きが長くなりそうですが、この記事をお読みいただくことで、限られた予算における楽器探し・楽器選びの一助になるであろう視点が得られると思います。ぜひおつき合いください。

    テーマは“5万円以下で、値段以上の価値があると感じるスネア・ドラムをピックアップしてみる”というシンプルなものです。

    まず、楽器に対して費用対効果(コスト・パフォーマンス)を求めることについては、いち表現者としては否定的な立場であることを先に述べておきますが、その概念自体は実際に存在しています。楽器が好きであれば、所有することの満足度は決して無視できない要素でしょう。仕事の道具として捉えた場合は、対応範囲や耐久性など、ある程度ドライにきちんと見る事も必要だと思います。前述の個人的な立場の補足としては、演奏活動や作品の制作が、金銭的な対価だけを求めているわけではないことが挙げられます。

    大量生産される工業製品的な側面がある楽器は、材料の調達から製造、流通まで、さまざまな要素が絡んでいるので、割安、割高、それぞれにそれなりの事情があります。無理がある楽器は製品として生き残ることが難しく、発売にこぎつけた段階で、大抵は価格相応の価値に落ち着いています。

    5万円以下という価格帯の選定理由についても説明します。

    利益の幅の都合はあると思いますが、10万円前後の楽器は値づけに無理がなく、妥協が少ない印象があります。例えば、LudwigのJAZZ FESTや、GretschのBroadkasterなど、個人的にほぼ手放しで勧められるような楽器は、この辺りに集中しています。

    3万円以下となると、選択の幅としてはかなり厳しいというのが正直なところです。しかし、これが楽器の面白いところで、音色だけで見た場合、結果としてこのレンジの楽器に辿り着くことは少なくありません。先日、Thundercatの公演で来日したLouis Coleが、YamahaのTMS1455を使用していたのは記憶に新しいところです。

    7万円ならそれなりに豊富で、永く使える楽器もたくさんあります。とはいえ、7万円を躊躇なく支出できるであろう方はそう多くないはずなので、少し制限を設けて、5万円以下という数字を設定しました(この記事を執筆したのは、為替・物価の変動が激しい時期でした。2022年6月時点の数字であることを記しておきます)。

    以上を踏まえて、AMS1460を次ページから紹介します。

    次ページ 博士が選んだ逸品=AMS1460について